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コロナ禍の居酒屋で坪売上35万円!

 有楽町店は18坪32席という小型店でありながら、平均月商700万円(坪売上35万円)の繁盛店で、昨年12月は900万円を売り上げている。中村店長の店長方針は「お客様目線での気遣いを大切に!」である。売上好調の主な要因は以下の3点だ。
1.おでん32種の商品力
 「あごだし」と「鶏だし」の2種の出汁で提供する創作おでんが32種類。看板メニューは@大根240円、A青竹蛸(たこ)つみれ460円、B鶏だしトマト380円。この上位3品で商品構成の30%を超える。
 おでんの提供にはひと手間かけている。「大根」にはとろろ昆布がたっぷり盛られている。また白濁の鶏だしスープに浮かんだ「トマト」にはベーコンをトッピングしブラックペッパーやパセリで仕上げた、さながら洋風料理のようなビジュアルだ。自宅ではなかなか味わえないおでんを提供しているためか、女性客の満足度が高い。
2.鮮度抜群の刺身と旨い日本酒
 鮮魚は市場直送で鮮度抜群。魚の入荷状況によって刺身のお品書きは毎日変わる。チェーン店であっても個店の良さを追求しているのだ。
 また日本酒の種類も多く、おすすめの6種5種も定期的に入れ替わる。おでんに合う銘柄が常に新たに入荷しており、日本酒好きにはたまらない。
3.お客様との関係の近さ(常連客増加)
 有楽町店は、スタッフとお客様との関係が近い店だ。電話予約の際にはまず「スタッフの〇〇さんはいますか?」と聞かれる。近隣のお客様も気軽に来店し、常連客ならではの気さくな会話や注文が飛び交う。
 客層はサラリーマン6割、女性が4割で、居酒屋にしては女性客が多い。1人で訪れてカウンター席でおでんと日本酒を愉しむ女性の姿も、この店では珍しくない。
 中村店長が他店へ応援に行くと、そこでもしばしば有楽町店の常連客に会うという。おでん屋たけし自体のファンが増え続けているのだ。

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スタッフの笑顔率100%!

 新人スタッフには、おでん屋たけしのコンセプト・マインド・意識をしっかり教育する。挨拶はコール&レスポンスを徹底。「〇〇入りました!」という声に、全員で「ありがとうございます!」と続ける。
 スタッフの笑顔率を尋ねると、中村店長は「100%です」と即答。(すばらしいですね。平均50%程度ですよ) その理由は、毎日スタッフの入店時に、店長が笑顔で迎えて元気よく挨拶をしているからだ。もしその時スタッフの様子や体調に違和感を覚えたら、すぐに面談をする。元気が良さそうな時には「何か楽しいことがあったの?」などと聞く。このような毎日の声掛けやちょっとした会話が大切なのだ。
 中村店長はスタッフをほめる場合、人を介してほめること(陰ぼめ)を意識しているという。第三者を通じてほめられると、自分が認められていることをより明確に認識できる上、それを他のスタッフが知っていることもわかって、一層嬉しくなるものだ。
 店長のこういった日頃の気配りがスタッフの気持ちをほぐしてモチベーションを高めさせ、その結果店の雰囲気が向上し、「笑顔率100%」に結びついていくのだ。

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ミーティングはスタッフの意見を吸い上げる場

 中村店長は、全体ミーティングを定期的(1〜2ヶ月に1回)実施している。ミーティングでは、店長の今月の方針、店の売上状況、新商品の紹介、季節のキャンペーン、最近気づいたことや問題点、改善点などを報告する。「〇〇さんの気遣いあふれる接客が良かった。みんなで参考にしよう!」といった、具体的な目標も掲げる。
 また、問題点をどう解決していくか全員でディスカッションする。例えば「ピークタイムにどうしたら笑顔でいられるか」「先月のクレームに対して具体的にどう対処するか」「どうすればきちんとお見送りができるようになるか」などだ。ちなみにこのディスカッションによって、お見送りはかなり改善した。外まで出てきちんとお見送りできるケースが80%まで上がっている。
 「全体ミーティングは、スタッフの意見を吸い上げる場です」と、中村店長は語る。(いいですね!) 店長がスタッフに何かを指示するのではなく、スタッフが具体的な意見を言い、店長はあくまでもそれを尊重して対策を考え、その上でアドバイスをしているとのこと。(すばらしい!) 自分たちで考えれば、「他人事」や「店長事」は「自分事」に変わる。自立型スタッフはこうやって育っていくのだ。

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 中村店長の夢は、おでん屋たけしや野朗めし(ホットランドのブランド)でも今後FC展開を目指していくこと、そしておでん屋たけしのフランチャイズで独立することだ。このハイレベルな店舗オペレーションなら、必ず成功すると思います。
 がんばれ、中村店長! ありがとう。