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月商1400万円、好調の3つの要因

 名鉄サンロード店はランチタイムには行列ができる繁盛店で、月商は1400万円に上る。好調の要因は以下の通り。
1.ニコ・キビ・ハキの接客力
 ココイチにはココスペシャリストという資格制度がある。資格は初級、3級、2級、1級、スターの5段階。1級以上になると制服も黒シャツとなる。資格認定には、ペーパーテスト、衛生管理、作業、ハンディ操作の早さや正確さなどの基準が設けられ、1級以上は部長承認となるのだが、名鉄サンロード店には1級が6人もいて、とにかく接客力が抜きん出ている。お客様に対する気働き、所作、分離礼など、いずれをとっても他店の模範となっているのだ。
2.タブレットオーダーの導入
 ココイチでは各テーブルに設置しているタブレットオーダーを各店にて導入中だ。見やすくて使いやすいだけでなく、トッピングメニューも増えたことで、客単価の向上にも繋がっている。タブレットオーダーで注文が入ると、キッチンスタッフが「ご注文ありがとうございます!」と答える。元気よく声掛けすることを徹底させている。
3.ゆったり4名席増加
 リロケートして4名席を10テーブルに増加したことから、客層として4人グループの会社員が増えた。また店内を明るい雰囲気の内装にしたため、若者や女性客も増え、アイドルタイムの客数も伸びた。

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スタッフの成長が一番うれしい!

 石田SVは店長時代、仙台の店に勤務していた。常連客とのコミュニケーションが何よりも楽しかったそうだ。常連客がココイチのおいしさや新メニューの情報を広めてくれることも多かったという。
 スタッフの成長には常に感動を覚えた。ある優秀な女子大学生は入店6ヶ月目、店長代行資格の取得に挑戦した。「調理2級、接客3級、クレーム対応可能」というハードルの高い内容だ。2回失敗したが、懸命に努力して3回目の挑戦で合格した。
 彼女は「石田店長のおかげで店長代行資格が取れました。ありがとうございました!」と、涙を流して喜んでくれた。石田店長も感激のあまり泣いてしまったという。その後、このスタッフは一流企業に入社した。
 SVに就任してからは、人を育てることに力を注ぎ続けている。このサンロード店から、接客コンテストや調理コンテストの全国大会に8人も入賞するなど、優れた人材が多く育っているのだ。(いい仕事していますね、石田SV!)

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店舗運営(QSC)で気をつけていること

 石田SVは店舗運営全般において、次のことに留意している。
Q…商品管理
 カレーの温度管理は、サラダ40℃、ライス50℃、カレーソース60℃以上という基準があり、巡回時には温度計でチェックしている。
 盛り付けはメニューの写真通りか、ご飯とカレールーがきちんと半々で直線に盛られているか、トッピングの位置は正しいか、などに厳しく目を配っている。
S…お客様目線
 お客様が求めているものは何か、常にお客様の立場に立って考えることを意識している。ピッチャーの水の量(注ぐ時の音で判断)、車イスの方への対応、冷えが気になる方にはブランケットの、また薬を服用する方には水の提供等々、気働きを忘れないこと、いつも優しい笑顔で接客することが重要だ。
C…クレンリネス
 ココイチではクレンリネスを非常に重視していて、清掃チェックリストは25項目に及ぶ。近隣の歩道を1日3回清掃するほか、3軒両隣の店の前も掃除している。
 これは大阪の焼肉チェーンの店長から聞いた話。「ココイチのアルバイトさんがいつも自分の店の前を清掃してくれているので、自分もやらなければと思い、ココイチさんの店の前を掃除に行ったら、高校生らしき女子スタッフがお店から出てきて、笑顔で『ありがとうございます!』と挨拶してくれました。感激しました!」とのこと。「ココイチには神がいる」と、私はしばしばこの話を店長セミナーで紹介している。

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SV巡回時の4つのポイント

 店舗巡回時のポイントを石田SVに伺った。
1.ユニフォームでの巡回
 いつでもオペレーションに入れるように、ユニフォームで巡回している。率先垂範で手本を示すことが大切なのだ。
2.挨拶・感謝・ほめること
 SVは、スタッフにとっては店舗評価のチェックマンというイメージがあり、距離感を持たれがちだ。それゆえに、スタッフへの挨拶・お礼・ほめることを常に忘れない。また人は納得しないと動かないので、明確な根拠に基づいて教え伝えることを心がけている。
3.社員・スタッフのスキル向上
 一人ひとりの仕事の幅を広げることを重要視。例えば、アルバイトスタッフには細部に至るまでのクレンリネス意識を、また社員には求人・ストアレベル・マーケティング企画などの能力を、それぞれ向上させることだ。
4.クイックレスポンス
 すぐやる行動力が重要。部下の提案やアイディアに対して、いかに早く対応するかが大事。些細に見えることでも、簡単な修理でも、とにかく速やかな対応が必要なのだ。

 石田SVの将来の夢は「この人に聞けば何でも答えてくれるというような、頼られる存在になること」だという。これまで多くの尊敬する上司に恵まれてきたので、育ててくれた先輩たちに早く追いつき、追い越したいと語ってくれた。
 十数年後にはCoCo壱番屋の大きな柱となる人材だと確信した取材だった。ありがとう、石田スーパーバイザー!