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平均月商1450万円(坪売上65万円)の要因 |
川崎銀柳街店は24時間営業だ。私が取材で訪れたのは15時だが、その時間帯でも6割以上の席が埋まっており、さらに次から次へとお客様が来店するのには驚いた。
隣に同じ家系ラーメン店がオープンしても、この店の売上前年比は157%。好調要因は次の通り。
1.圧倒的な商品力
看板メニューは@家系ラーメン850円、A味玉ラーメン1000円、BMAXラーメン1160円。
「一度食べたらクセになり 二度食べたら忘れられない 三度食べたらやめられない」というキャッチフレーズに、壱角家のこだわりが表れている。旨さの源は「妥協を許さない本物の濃厚スープ」だ。85℃と、その温度にもこだわる。スープの消費期限は6時間だが、この店は回転率が高いので、1時間程度でどんどん新しいものに変わっていく。
2.笑顔×元気=活気
壱角家には、「笑顔×元気=活気」という公式がある。元気が100点でも笑顔が0点だったら活気は0点なのだ。ラーメン屋には活気・元気・笑顔が不可欠。取材中も、女性スタッフの活気あふれる声が店内に響き渡っていた。
全スタッフの笑顔率は「80%です」と滝野店長。他には「所作を大事にしよう」と指導している。身のこなしや挨拶のしかたなどのことで、例えば「物を置く時に音を立てない」「ゴミを拾う時は素手ではなくティッシュを使う」といった、気配りに満ちた仕草のことだ。(大事なことです!)
また、お客様がビジネスマンならスピーディーな接客、同世代、学生のような同年代のお客様ならフレンドリーに、年配の方なら丁寧に商品説明をするなど、お客様の年齢や立場に合った応対を意識させている。
3.イベントとインバウンド
毎月11日は壱角家の日で、家系ラーメン850円が580円になることから、1日の客数が1000人を超えるとのこと。
デリバリーも多く、その売上は月間160万円にも上る。
また最近、欧米やアジアからの観光客がたくさん訪れるようになった。早朝の来店が多いそうだ。
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外国人のお客様との、ちょっといい話 |
1ヵ月ほど前のこと。欧米系の40代のご夫婦が店の前で入店を迷っている様子だったので、滝野店長が片言の英語で説明し、入っていただいた。ご主人は黒家系ラーメン、奥様は塩チャーシュー麺を注文。スープまで飲み干し、「デリシャス!」と絶賛していただいた。ちなみに家系ラーメンでは、スープまで全部飲み干すことを「完まく」と言う。
このご夫婦はそれから何と3日間連続で来店し、3日目には満面の笑みを浮かべながら日本語で「おいしい!」と言ってくださった。デリシャスの日本語を調べて一生懸命伝えていただけたことに、店長はたいへん感激したそうだ。
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家族や友人が訪れる店 |
滝野店長がスタッフ応募者を採用する率は、わずか2割と厳しい。採用のポイントは、@挨拶ができる、A目線が合う、B笑顔が出る。この3点を満たす人は決して多くない。
驚いたことに、川崎銀柳街店にはダブルワークのスタッフが5人も在籍している。昼間はビジネスパーソンとして働き、夜間や休日に出勤しているのだ。すでに社会人として活躍しているため、仕事への取り組み方についてはかなりレベルが高いという。優れたスタッフが多ければ、お互いに切磋琢磨してさらに高め合う。
壱角家のアルバイトスタッフのランクアップ制度は5段階。ホワイト・ブロンド・シルバー・ゴールド・プラチナ(星5つ)だ。ゴールドやプラチナになれば社員と同格で、発注からシフト作成、クレーム対応まで行う。
この店には、スタッフの家族や友人がお客様として頻繁に来店する。「ファミリー的な店として気軽に利用し、みんなで支えてくれているのが本当に嬉しいですね」と、滝野店長は語る。従業員の家族・友人が多く来店するのは、実力店長の共通点でもある。
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スタッフの強みを伸ばす教育 |
滝野店長にこの店の一番の強みを尋ねたところ、スタッフの「愛店心」だと即答した。「店を好きになってくれることが最も大事です」と店長は言う。社員に愛社心があるように、スタッフには愛店心が必要。店に対するロイヤリティーの高さは、店の大切な財産と言える。
教育について滝野店長が最も意識しているのは、「スタッフのストロングポイントを伸ばすこと」だ。ほめて伸ばすことに尽きるという。たとえ失敗しても、それは貴重な経験である。「良い経験をしたね」と励ますのだ。(さすがベテラン店長です!)
滝野店長の「ほめる」と「叱る」のバランスは9対1。ほめることがほとんどだが、時にはスタッフが泣いてしまうほど厳しく叱ることもある。お客様に対して失礼な態度をとった時や、きちんと謝罪しなかった時だ。(店長の「本気」が伝わります)
今、滝野店長が心から嬉しく思っているのは、「現在トップクラスの店を任されていること、部下が8人、店長になったこと、アルバイトが社員になったこと、学生スタッフが一流企業に就職したこと」だ。そんな彼の今後の夢を伺った。「5年前の社員総会で、ガーデンを背負っていくことを公言しました。家系ラーメンはたくさんありますが、そのナンバー1になることです」と熱く語ってくれた。
滝野店長、今後も壱角家を背負っていってください。いい話をありがとうございました。
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