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売上好調、3つの要因

 昨年までのコロナ禍にあっても、上尾店は月商1000万円をキープしていた。とんかつ弁当のテイクアウト比率は35%だったという。現在は10〜15%だ。
 上尾店の客層はビジネスマン、ファミリー、シルバーと幅広いが、週末は3世代での来店も多い。地域に愛されている店である。
 売上好調の要因は以下の通り。

1.優れた接客力
 女性店長ならではのきめ細やかな気遣いが素晴らしい伊井店長。その視点がスタッフの育成にも反映されている。たとえばお子様の近くに熱い味噌汁などを置かない、お客様が薬をお持ちなら水の用意をする、高齢者には「とんかつを細かくカットしましょうか?」、また料理を残したお客様には「お持ち帰り用のパックをお持ちしましょうか?」と尋ねるなど、こちらから声がけをする。
 伊井店長は、電話オーダーを受けた際でも「〇〇様ですね」と言える。電話越しでもお客様を認識できるのだ。またスタッフの隣で電話を聞いている時は、「いつも玉ねぎ抜きのかつ丼をご要望だけど、その確認をしなくても大丈夫?」などとサポートする。(お客様のことを本当によくわかっていますね!)
 常連客を何人ぐらい覚えているか伺ったところ、150人ぐらいとのことだった。

2.卓越した商品力
 かつ敏の看板メニューは、@ロースかつ定食1400円 Aヒレかつ定食1550円 B三元豚御膳1700円。またミルフィーユかつ定食も人気だ。
 豚肉は、開放豚舎で日本のお米を食べて健康的に育った、日本最高峰と言われる平田牧場の三元豚を使用。油は、食物繊維や抗酸化作用を高めるビタミンEが豊富で体にやさしいとされる米油を使っている。素材にこだわり、揚げたての美味しさにもこだわった逸品揃いだ。

3.チームワーク・雰囲気抜群
 オープンキッチンのため、キッチンからもお客様に声がけし、明るくて活気ある雰囲気を作り出している。楽しい店づくりの基本は、挨拶の徹底だ。スタッフが入店する時も退店する時も、店長のほうから全員に積極的に挨拶する。もちろん、店長とスタッフとの毎日のコミュ二ケーション量は多い。

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店長の「ちょっといい話」

 伊井店長は新卒で入社後、上尾店に1年間在籍していた。そのときの常連客だったあるおじいちゃんのメニューは、いつも三元豚の細かいカットと小ライス。もちろんちゃんと頭に入っていた。それから5年が経過し、店長は他店に異動したのだが、その頃におじいちゃんも引越しをし、新しい店にやってきた。そして伊井店長の顔を見て「上尾店にいたよね」と声をかけてくれた。覚えていてくれたのだ。
 実はその時おじいちゃんはすでに認知症だったのだが、外食の際にはいつも奥様に「伊井さんの店に行く」と言って家を出たという。(「伊井さんの店に行く」、嬉しい言葉ですね!)
 やがて本社の人事部への異動が決まり、駐車場までおじいちゃんを追いかけてそのことを伝えると、「またお店に戻ったら教えてね」と言ってくれたそうだ。あなたに会いに行きたい。商売をする人にとって最も嬉しい、商いの原点のような言葉である。
 もう1つ、高校1年生のスタッフの話をしよう。その高校生にとって生まれて初めてのアルバイトで、伊井店長は初めての上司だ。伊井店長は彼女に社会活動への登竜門として、サービスの心構え、礼儀、礼節、挨拶の重要性や感謝の大切さなどを教えた。
 店長が異動のことを伝えた時、彼女は泣いて寂しがった。彼女からもらった手紙には、「伊井店長にたくさんのことを教えてもらって、本当によかったです。教えてもらったことの全てを大切にして、後輩たちに伝えていきたい」と書かれていた。
 私は店長セミナーにおいて常々、「飲食店の店長には日本の若者を変えていける力がある」と話している。伊井店長のように、良い影響を与えられる店長になりたいものだ。

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朝礼でクレドと今日の目標を発表

 毎日の朝礼では、企業理念の唱和、ケイディーアールの行動目標の唱和を行う。またアールディーシーのクレド(19番まである)の1つも読み上げる。それに対し何を考えて行動するかを全員が発表するのだ。これは全社を挙げて毎日行われていることだ。
 ここで、アールディーシーのクレドの一部を紹介しよう。
1 私たちのモットーの1つは、「ちょっとうれしいサービス」です。人は、期待よりもほんの少し多くのサービスを受けることで感動します。お節介焼きの文化を風土にしましょう。
2 気持ちの良い空間をお客様に提供するために、従業員一人一人には、良好なチームワークを作る役割があります。
3 人は感動すればまた行きたくなります。「家」を見に行くのではなく、「家庭」を訪ねるのです。
 このクレドについて、その日の具体的な目標を全員が発表する。毎日全社でこれを実行する。これが確実に継続されることで、企業文化や良い社風が醸成されていくのだ。

 最後に、伊井店長のスーパーバイザーとしての夢を伺った。「ケイディーアール全社における教育担当のような仕事を担当したいですね」との答えだった。
 これからもスタッフ、社員、店長たちに素晴らしい影響を与えられる女性リーダーとして、ますます活躍してください。がんばれ、伊井SV!