中間店長の店舗目標は、「焼き立てをいつも切らさずに」である。
1．看板商品3品のシェア30％
この店の看板商品は、①「のびーるクロワッサン」(280円)。外はサクサク、中はもっちりとしてよくのびる、独特の食感が味わえる大ヒット商品で、1日80～100個を販売する。②「胡椒もち」(350円)。辛味の効いたもっちりパンで、台湾B級グルメナンバー1だ。③「ガトーショコラ ミニクロワッサン」(180円)も人気である。
この上位3品目で商品構成の30％を占める。またピザも冷凍のまま販売していて、マルゲリータ280円(5個セット1800円)が定番だ。
2．米粉パン人気
アールベイカーのパンは米粉をメイン材料としている。「心とからだにおいしいパンを」という想いで作られる、もちもち食感のヘルシーな米粉パンが大人気だ。国産米粉を使用し、食料自給率の向上と日本のお米農家のために貢献していることでも注目されている。また商店街の立地で地域密着型の店舗スタイルのため、常連客が多い。
3．冷凍パンの販売
焼き立てのパンを急速冷凍し、焼き立て本来の美味しさがぎゅっと詰まった冷凍パンを販売。保存が効き、自宅でいつでも焼き立ての味を楽しめるのが魅力だ。売れ残ったパンは翌日50％オフ（6個セット）にて冷凍販売している。
焼き立てアツアツのパンを提供する、ご家庭でも焼き立てのおいしさを楽しんでいただく、アールベイカーミニがそれらを可能にしているのは、独自の方法で冷凍した「冷凍パン」を活用しているからだ。中間店長は、「冷凍パンを用いることで、おいしさだけでなく、店舗運営上の大きなメリットが生まれます」と言う。
通常のベーカリーではパン職人が必要で、それが高いハードルになりがちだが、ここでは職人は不要。焼き立て用のパン生地は冷凍配送され、それを解凍して使うため、生地のロスもない。8坪の小さな店なので、パンづくり未経験のスタッフ2人で運営が可能だ。
祖師ヶ谷大蔵店では3種のパンを販売している。「焼き立てパン」は、オーダーを受けてから焼き上げる。10分ほどでアツアツのパンを提供できる。「クロワッサン系」は発酵させて1時間ほどで焼き上がる。いずれも注文に応じて焼いていくため、食品ロスを最大限に抑えられる。そして、前述した「冷凍パン」の販売だ。
オープンは朝10時。これに間に合わせるには、通常のパン屋なら早朝5時ごろ出勤しないといけないが、この店では8時に入店。10時には約50品目の準備が整う。
新人スタッフは、30時間のトレーニングで製造と販売について学ぶ。中間店長はこの店に週2回、土日のサポートのために入店するだけである。
この店では、スタッフから作業効率アップのための改善案が多く出される。ちょっとした便利な備品の要望があると、店長はすぐに買ってくる。こんなパンを作りたいというアイデアが出ると、店長が材料を買ってきてスタッフが試作し、実験販売する。売れれば定番商品になるのだ。（これはやる気が出ますね！）
パンの中身をいろいろ変えたりもする。この店では新商品に果敢にチャレンジすることが認められているのだ。「現場のスタッフがお客様のニーズを一番よくわかっています。彼らがお客様の声を聞いて、新商品の提案が行われます。こういう提案が必要なんです」と、中間店長は語る。こうして自立型スタッフが育っていくのである。
4店舗を統括するポイントを中間店長に伺った。「コミュニケーションが大事です」と彼は言う。「もちろん、時には不満も出ます。いいことも悪いことも、とにかくスタッフの話を聞くことにしています」とのこと。こまめな声かけ、仕事のことに関わらず困っていることの話や雑談など、できる限りスタッフの想いを吸い上げて、対応できることはすぐにやる(クイックレスポンス)ようにしている。このためスタッフの定着率は高い。
以下は、私の店長セミナーにおいて紹介している定着率アップのポイントだ。
1．毎日全員に声をかける（プライベートな話を聞く）
2．いつも感謝の気持ちで接する
3．やる気を引き出すほめ言葉を効果的に使う。
4．カウンセリングを定期的に行う（2ヶ月に1回）
5．スキルや能力がつく仕事を任せている
6．スタッフには平等、公平に接し、スタッフの意見を取り入れている
7．店内行事やコンテストを通じて、仲間意識チーム（チームワーク）を高める
…等々だ。中間店長も常にこれらを実施している。
中間店長の「ほめる」と「叱る」のバランスは、「ほめる8、アドバイス2」とのこと。ほめ言葉は「以前よりスピードアップしたね」「きれいなパンだね」「これは売れそうだ！」「常連さんとの会話、よかったよ」など。
今後の夢を伺うと、「アールベイカー ミニの店舗をたくさん増やし、海外にも出店したい」と語ってくれた。将来は『中間FC教育部長』ですね。
ガンバレ！ ありがとう、中間統括店長！