ブルーム・ザ・ルール 10ヶ条の徹底

稲垣店長の店長方針は「春日井で誰からも愛されるお店になろう。そして誰からも愛される人になろう」であり、そのために「人を大切にする」「あたり前のことをあたり前にできる人になろう」と続く。そして「ブルーム・ザ・ルール」というハウスルールの実践を毎日徹底させている。

 1.スーパー元気・スーパー笑顔・スーパーハイテンション♪
 2.仲間を大切に。思いやりの心を持つ。
 3.元気を与える元気なあいさつをする。(あいさつは先手必勝)
 4.オシャレな身だしなみ。(一人ひとりがお店の看板)
 5.時間厳守、遅刻・当日欠勤厳禁!(信用第一)
 6.仕事も遊びも全力投球。
 7.整理・整頓。ゴミを拾う。履物を揃える。
 8.何事もプラスに解釈。すべてに感謝。
 9.カゲグチを言うな。聞くな。マイナス言葉は、自分にマイナス。
10.自分に正直であれ。思ったことは素直に伝える。

 地方都市ではフリーターや大学生のアルバイトは少ないので、高校生(1年生を含む)も採用する。ごく基本的なしつけ教育が重要だ。スタッフ同士の挨拶から「ハイ」という素直な返事、「いただきます」や「ありがとうございます」の言葉、賄いの片付けや履物の整理、ゴミ拾いに至るまで、あたり前のことを一つずつ教えていく。そして、仕事を通してイマドキの若者が少しずつ変わっていくのだ。
 ご両親からもお礼の電話がしばしば入る。家の手伝いができるようになった、ありがとうと言われてびっくりした、といった内容だ。お客様からも「若い子がすごく頑張ってる姿を見てうれしい。息子もここで働かせてほしい」と言われたりする。元気いっぱい、一生懸命の若者たち。これが春日井ホルモンの大きな武器の一つなのだ。

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大学生のアルバイトが泣き崩れる

 稲垣店長は小田井ホルモンのグランドオープン時に初めて店長になった。気合いが入りすぎて、アルバイトたちを叱ってばかりいたため、厳しすぎる店長を敬遠するアルバイトもいた。A君もそんな大学生アルバイトの一人で、元気で素直でノリの良いタイプだった。店長は彼をちゃんと評価していて、店長の春日井ホルモンへの異動が決まった時、ご案内の仕事を彼に完全に任せたのである。

 しかし彼には余裕が全くなかった。キッチンとの調整やホールコントロールがうまく行かない、お客様を待たせてクレームが入る、ついに怒って帰るお客様も出てしまった。全力で取り組んだものの失敗の連続で、お客様の前で平静を保つのが精一杯の状態。自分の力量不足にいらだつばかりだった。

 営業終了後、彼は店長に「今日は力不足ですみませんでした」と謝るや、泣き崩れてしまった。張りつめていた気持ちが切れたのだ。ごく普通のアルバイトが責任のある仕事を任され、本気で取り組んで失敗した。それが悔しくて、思いっきり泣いたのである。店長はその姿を見て、真剣さに胸を打たれたという。

 一つの山を越え、壁を破って人は成長する。集中し、戦うことで能力は磨かれる。彼はその後、小田井ホルモンのリーダーとして、すばらしい笑顔でお客様をご案内している。店長には「任せる」という勇気も必要なのだ。

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幸せノートでコミュニケーション

 スーパーハイテンションは春日井店の自慢の一つだが、お客様の状況に配慮しないと、押し付けがましいものになる。つねにその場の状況に応じた気配りが必要で、稲垣店長は店の運営においてそのことに最も気を遣っている。気配りのポイントは次の通り。

1.お客様の火傷に注意し、様子を見て冷たいおしぼりや氷を運ぶ。
2.油の跳びはねに備え、しみとり液をつねに用意して、すみやかに対応。
3.子どもの好きなメニューの提案。子どもは食事に飽きるので、一緒に遊ぶ。
  「○○お姉さんと仲良くなった」ことが重要。
4.雨の日は駐車場までジャンボ傘でお迎えに行く。
5.トイレにはお客様とのコミュニケーションノートを置く。
  お客様が記入したら、必ず店長自らコメントをする。

 お客様への気配りもさることながら、アルバイトたちのモチベーションや向上心が非常に高いのもこの店の特徴だ。新しい仕事を覚えたいという要望が次々と出てくるという。
 そんな志の高さを支えているものの一つが、「振り返りノート」と呼ばれる交換日記。全員が持っていていつも事務所に掲示しているオープンな日記で、毎日全員が記入し、店長が様々なコメントをする。毎日忙しくてゆっくり話せないことを少しでも補うための、コミュニケーションノートだ。内容は、お客様にほめられたこと、お客様の本音やクレーム、他のアルバイトをほめる言葉など、幅広い。
 アルバイト同士でほめあう内容はかなり多い。「Aさんは体調が悪いのに笑顔いっぱいで頑張ってました。見習いたいと思います」「Bさん、仕込みの準備を手伝ってくれてありがとう」など。時には「Cさん、叱ってくれてありがとう」といったレベルの高い内容もある。新人の悩みに対し、先輩がアドバイスしたりもする。
 このように従業員同士が関心を持ち合い、気遣い合うことで店の雰囲気はどんどん良くなる。そんないい空気を生み出すノートのことを、私は「幸せノート」と呼んでいる。稲垣店長の赴任と同時にこの店でも幸せノートがスタート。以来、着実にコミュニケーションが良好になり、結果として売上アップにつながっている。あなたのお店でも、ぜひ幸せノートにチャレンジを!
 月1回の全体ミーティングも欠かさない。高校1年生のアルバイトに「お客様満足度」などと口で言っても理解できない。具体的な事例を挙げて、あなたがお客様だったらどう思うかというようにサービスのシミュレーションをし、ブレーンストーミングする。
 6月には会社主催のありがとうイベントを開催した。従業員とその家族および友人・知人、取引先企業や常連客など150人が集まり、幸せの花を咲かせようというメッセージを込めたライブで大いに盛り上がった。(環境保護活動をする映像作家・パフォーマーのてんつくマンや、人生の応援歌をうたう路上詩人さとちきなどのライブ・パフォーマンスや、加藤社長のメッセージなど)稲垣店長はこのイベントの幹事を担当。入場料は中国の植林に役立てられることになった。

 稲垣店長が最近とてもうれしかったのは、このイベントに多くの人が集まり、ボランティアへの意識が高まって、少しではあるけれど地域の活性化に貢献できたことだという。また、現場のアルバイトたちがお客様のために毎日本当に一生懸命働いてくれていることがすごくうれしいとも語ってくれた。
 店長がすばらしいから、アルバイトもすばらしいんです。ありがとう、加藤社長、稲垣店長、全アルバイトのみなさん!

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