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売上好調 3つの要因

 荒尾店長の店舗目標は「料理もサービスもお客様目線で提供」である。栄ラシック店の月商は1000万円、名駅ユニモール店は1400万円。好調の要因は以下の3点だ。

1.看板メニューは名古屋コーチン親子丼
 鳥開総本家の親子丼は、全国丼グランプリ(親子丼部門)で金賞を8度も受賞している逸品である。コクがあって旨味が強く、地鶏の王様と称される名古屋コーチンの中でも上質な肉を厳選し、濃厚な味となめらかな舌触りの卵を3つ使用して、「ふわっふわ、ぷりっぷり」の食感を実現。この究極の味を楽しめる名古屋コーチン親子丼が、堂々の看板メニューとして君臨している。

2.オリジナルメニューの開発
 荒尾店長が和食職人のため、美味しさの追求にはこだわりをもっている。オリジナルメニューを開発できるスキルとノウハウがあり、これまでに焼鳥丼、鶏の天丼、鶏めし丼、チキンカツ丼などの商品を開発・導入して成果を上げてきた。プログレという会社には、自由な発想で開発に挑戦できる風土があるのだ。

3.スタッフの団結力抜群
 楽しく働ける環境をつくろうと店長が常に気を配り、スタッフ同士、またスタッフとお客様とのコミュニケーションを積極的に後押ししている。笑顔・会話・情報共有などを推し進めているため自然に団結力が高まり、チームワークが非常にスムーズだ。店の雰囲気もおのずから良くなり、スタッフの定着率も高い。

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店長のちょっといい話

★その1
 コロナ禍で夜間営業が困難になったのをきっかけに、ランチ限定のメニューを開発。これがお客様にたいへん好評で、常連客が増え、テイクアウトの売上も向上した。また、荒尾店長考案のオリジナルメニュー(つくねとだし巻き卵の鶏玉丼)が大ヒット。インフルエンサーを通じて売上拡大につながった。

★その2
 遠方から名古屋を訪れた観光客の皆さんから、名古屋コーチンの親子丼や手羽先がとても美味しいと感動の声をいっぱい聞く。鳥開総本家に来てよかったと実に多くのお客様に喜ばれている。ディナーはインバウンドの団体予約が増え、店内の半数以上のお客様が外国人という日も多い。鳥開の味が全国や世界に広まっていく兆しが感じられて嬉しいと、荒尾店長は語る。

★その3
 初めてのアルバイトだという高校2年生の女子。面接時の不安そうな様子を見て少し心配だったが、大学生になった今では、アルバイトでナンバーワンと言えるほど上手に親子丼を作れるようになったのが嬉しい。また、スタッフがお客様と積極的に会話し、多くの常連客を覚えてくれるようになったのも喜ばしいことだと、荒尾店長は破顔だ。

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スタッフに愛される店

 荒尾店長が店舗運営において最も気を付けているのは提供時間。親子丼単品なら5分以内、定食なら10分以内に提供する。もちろん商品の完成度は高くなければならない。
 また、お客様とのコミュニケーションも大切だ。お客様と積極的に会話し、できるだけその会話を広げるようにと指導している。
 スタッフの笑顔も重要。常に笑顔を引き出すよう促し、良い笑顔が出たときには「その笑顔で行こう!」と励ます。

【スタッフとのコミュニケーション】
 スタッフとのコミュニケーションについては、@毎日の店長からの声掛け、A2店舗へのグループLINEで徹底事項を連絡、B定期的な全員の面談、などを実施している。面談では体調、業務の進捗状況、仕事に対するやりがいや困りごとなどをじっくり聞いてカウンセリングする。
 私がクライアント先の店長セミナーで解説している、カウンセリングの手順を紹介しよう。
面談の目的
1 お互いの信頼関係の調整。
2 スタッフの業務内容を整理し、優先順位を決める。
3 目標を設定することで、スキルを向上させる。

面談の進め方
1 良くなったことと問題点を明確にする。(承認と課題)
2 相手の話をよく聞く。(8対2で聞く割合を多くする)
3 相手と共に解決策を考える。

面談後
1 スタッフの変化や達成したことを賞賛する。(最重要)
2 スタッフから受けた提案やリクエストについて進捗を返答する。
3 目標やスキルアップについて話し合う時間を定期的に取る。

 荒尾店長の「ほめる」と「叱る」のバランスは7対3。職人時代は叱ることが中心だったが、今はしっかり認めてほめるようになった。
 プライベートな部分も含めて、スタッフとたくさん会話をするよう心掛けているという荒尾店長。一人ひとりの個性や考えを知り、それぞれの力を活かせる場へとさらに店を磨き上げ、「もっともっとこの店を愛してもらいたい」といつも思っているからだ。
 最近の話だが、アルバイトリーダーからの提案で情報共有ノートを作成。早番のスタッフから遅番への報告や連絡事項を記入し、情報を共有化するようにしたそうだ。
 これも最近のことだが、スタッフたちの売上に対する意識が高まり、「今日の売上予算を達成しました」と、進んで報告してくれるようになった。そんな時は大入りと称して、まかないを店長のおごりにしている。
 荒尾店長の今後の目標は、店舗数がもっと増えていくこと。「ミドルマネージャーを目指し、一層会社に貢献します」と、熱い口調で語ってくれた。ありがとう、将来の荒尾部長!