実力店長はここが違う 田中コンサルティング事務所 田中司朗
売上好調の3つの要因

1.安定した商品力
 看板メニューは、@そばと、海老と野菜の小天丼 1800円、A天せいろう(小海老のかき揚げ付き)2000円、B天ぷらそば2000円。
 菊池店長の店長方針は「魂を込めた商品を早く丁寧に正確に」だ。打ち立ての香り高いそば、三日三晩かせたコクのある伝統のそばつゆ、ごま油100%で揚げる極上の天ぷらなど、こだわりが多い。
 ごま油はあっさりとした味わいで、特に女性から人気が高く、女性客が6割以上を占める。

2.落ち着いた雰囲気のサービス
 スタッフは40〜50代の主婦パートが多く、目配り・気配り・心配りに満ちたサービスができているため、落ち着いた雰囲気で食事を楽しむことができる。
 また菊地店長自ら丁寧に料理の説明をしてお客様との会話も多いことから、常連客が増えている。お酒も幅広く揃えているため、一品料理を味わいながらいろいろなお酒を楽しみ、締めでそばを召し上がるお客様が多い。

3.予約が前年より3割アップ
 一昨年からネット予約システムを導入したことで、前年から予約が3割もアップし、毎月100件ほどになった。予約が増えるのは繁盛店のバロメーターである。

実力店長はここが違う 田中コンサルティング事務所 田中司朗
そば職人への道

 そば職人が修業するにあたり、「そば打ち3年、こね8年」という言葉がある。熟練の技術がないと、納得のいく美味しいそばが作れないという意味だ。「仕事は見て盗め」というのも、そばのみならず様々な職人の世界で伝えられてきた、いわば文化のようなものとも言える。現在ではそういった指導方法には賛否両論ある。学校で学んだり、本やネットなどで知識を得ることも可能な時代だ。だが、経験からしか得られないものもある。先輩の技を見て覚え、何度も叱られて実践を繰り返すことで体得できることもあるのだ。
 菊池店長に、一人前になる年数を伺った。「1年目は中台(盛り付け)とそば打ち、2年目は天ぷら、3年目に釜、4年目で出汁の取り方、5年目で一人前」との返答だった。もちろん、本人のやる気次第でもっと早く成長できる場合もあるという。

実力店長はここが違う 田中コンサルティング事務所 田中司朗
QSCで気をつけていること

店長は常にどこを見ているか?
 店舗運営において、菊地店長が常にチェックしているポイントを伺った。
1 その満足度(一口目のお客様の表情)
2 商品の品質・盛り付け・スピード
3 従業員スタッフの動き(笑顔、気配り)
4 入店時・退店時のお客様への挨拶
5 全体の流れ

 特にそばを一口すすった時の表情や様子をしっかり見ている。おいしそうに頷くのを見れば、満足いただいているのが分かる。
 カウンター席と調理場が近いので、常連のお客様から気軽に声をかけられるし、時にはアドバイスしていただくこともあるそうだ。人気のあるパイナップルの天ぷらは、常連のお客様に試食していただき、感想を伺いながらできた新商品である。「このようなお客様との交流が嬉しいですね」と、菊地店長は語る。
 また11月には新そばの食べ放題(税別4500円)のイベントも行っている。大皿(そば4枚分)で提供し、多い人は8枚から10枚食べるとのことだ。

職人店長の「ほめると叱る」

 菊地店長に、職人として「ほめる」と「叱る」について伺った。
 店長が20代の頃の修業時代は、ほめてもらうことなどほとんどなかったそうだ。毎日先輩のそば職人に叱られ続け、時にはかなり厳しい叱責もあって、落ち込むこともしばしばだった。昭和の時代には、現在ならパワハラと呼ばれるようなきついお叱りが多々あったということだ。
 創業者である会長からは、ホールのスタッフに対してはたくさんほめること、調理場担当の社員に対してはあまりほめず、的確に指導するようアドバイスされている。ホールはほめることでモチベーションが上がり、笑顔が出るようになる。だが調理場はほめると仕事が雑になり、集中力や緊張感が緩くなりがちとのこと。
 ただし今の時代は、いずれのポジションであれほめないとやる気が出ない人が多い。このため菊地店長は、「ほめると叱る」のバランスは「5対5」を目安にしているそうだ。「スピード感が出てきたね」「だし巻き玉子がきれいにできたね」といった言葉を添えながらほめるようにしている。自身の修業時代の大変さとは裏腹に菊地店長は笑顔の絶えない明るさがある。

 最後に、菊地店長の今後の目標を伺った。ズバリ、「お客様満足度評価の数値を上げたいと」とのこと。現在は「大変満足42%」「やや満足37%」「普通21%」という内訳である。「普通」を0(ゼロ)に近づけ、「やや満足」と「大変満足」で90%以上になるよう努力していきたいと、熱のこもった口調で語ってくれた。

田中司朗の実力店長はここが違う!