売上前年比128%の理由

 茶屋町店のオープンは2006年7月。オープン当初の月商は1000万円前後だったが、その後知名度も売上も伸び続けて、現在は1600万〜2000万円。その主な理由として、以下の4つが挙げられる。

1.外商活動、1ヶ月200件以上
 原店長が就任後すぐにスタートさせたのが、積極的な外商活動だ。少しでも知名度を高めるため、近隣の阪急インターナショナルホテルや帝国ホテルを訪問し、パーティの二次会等の営業活動を実施。営業は午前2時までなので(金・土・祝前日は4時)、「仕事が終わった後にご来店ください」とのふれこみで物販店や飲食店も回る。訪問件数は月約200件。今ではアシスタントMgrやスタッフリーダーが外商活動を実施。この地道かつ徹底した活動により、知名度アップの効果は急速に高まっている。最近では、あのザ・リッツ・カールトン・大阪のスタッフまで「勉強に来ました」と訪れたそうだ。(スゴイ!)

2.「サーヴィス20大行動」の徹底
 グローバルダイニングには「サーヴィス20大行動」という、顧客に満足と感動を与えるための行動規範がある。たとえば「イスを必ず引く」「道は止まって譲る」「お客様を見て声を出す」「知っているお客様に挨拶するなど。「あたり前のことのようですが、これらを必ずやる、100%徹底する、それが大切なんです」と原店長は言う。徹底できるかどうかが勝負の分かれ目。繁盛店をつくるのは徹底力の高さなのだ。
 原店長が特に力を入れているのは、「感動するお出迎え」と「記憶に残る温かいお見送り」だ。「お出迎え」の場合は、10年ぶりに懐かしい友人に再会した時のように、最高の笑顔で、全身で喜びを表しながら迎える。また「お見送り」は全員で手を振り、心を込めて見送るのだ。お客様からは「すごいね、ディズニーランドに来たみたいだね!」と言われる。(すばらしい!)
 トイレを案内する時も、スタッフが次々と手を上げて、身振りで案内の連携プレーをする。スタッフも楽しいし、お客様も思わず笑みがこぼれる。スタッフ全員が「すべてのお客様を喜ばせたい」という気持ちで仕事に臨んでいるのだ。

3.バースデー予約、月100件以上
 茶屋町店ではバースデーをこんなふうに演出している。まずBGMが止み、照明が消される。ホールとキッチンのスタッフ12人全員がお客様のテーブルに行く。ケーキやデザートプレートも用意される。そして全員でハッピーバースデーのメロディをハーモニカで生演奏し、そのあと全員で歌うのだ。
 びっくりして、そして感動して、涙を流すお客様もいる。外国人のお客様が多かったある日、スタンディング・オベーションまで起こった。幸せを感じてもらいたいというスタッフの願いが、お客様に伝わった瞬間である。 こんなバースデーの予約は月に100件以上。ますます増え続けている。

4.ピザ・パスタのおいしさ
 イタリア直輸入の麺によるパスタ、薪釜で焼くナポリピザ、いずれも本格的な味わいで評判の店だ。常に最高の食材を用いて、絶対に美味しいものを作るという高い意識を持っている。すべてのメニューに試験があり、チーフがその出来を自分の舌で確かめて判定する。これに受からなければ料理を作ることはできない。それほどまでに厳しく、味にこだわっている。

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大切な人をどんなふうに喜ばせているか?

 原店長の方針は「カッコいいレストランをつくる」こと。「カッコいい」とは、お客様を喜ばせるマインドを持ち、徹底してサービスするという意味だ。

 ポイントの一つはリコグニション。全員がお客様の名前や好みを覚え、チームで共有してよりよいサービスに徹すれば、お客様は必ずラ・ボエムの虜になる。もう一つはアンティシペーション。予測能力のことで、お客様の出すサインを見逃さずに先読みし、すみやかにサービスする。この二つはとても重要!

 原店長のP/A採用率は約2割。非常に厳しい。面接時には「人を喜ばせることが好きか」を尋ね、「大切な人を喜ばせたエピソード」を語ってもらう。これはザ・リッツ・カールトンから学んだことだという。ちなみに私も本連載の中で度々この話にふれてきた。大切な人を喜ばせることのできる人は、顧客にもそれができるのだ。

 また、最近どんな本を読んで感動したかも聞く。感動する心、学ぼうとする心がある人を採用することにしているそうだ。

 オリエンテーションでは「サーヴィス20大行動」を説明し、なぜ感動するお出迎えが必要なのかという、おもてなしの根本的なスピリットについても語る。そしてアシスタントMgrにOJTを任せ、順調に進まない時はアシスタントMgrを叱る。社員に対しては8:2の割合で叱り、アルバイトに対しては8:2でほめる。これが原店長のやり方だ。

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カフェ ラ・ボエムは自己価値向上の場

 茶屋町店には外国人アルバイトが何人かいる。イギリス人、フランス人、スペイン人だ。特にホスピタリティのリーダーを務めるイギリス人のクリスは、お客様と会話をして楽しませるのに長け、全席をテーブルタッチで回っている。ワンテーブルで5分間お客様と話し込むのでなく、1分間でいいから5回テーブルへ、と原店長は指導している。

 最近、店長はお見送りをするクリスを女性客がハグするのを見て感動したそうだ。「クリスいてる?」と言いながらお客様がやってくる店なのだ。(スゴイ!)「笑顔のすばらしいイギリス人が最高のサービスをする。それだけで店の雰囲気は変わります」と店長。(それ、よくわかります!)

 原店長は、次のようにしてアルバイトとのコミュニケーションを図っている。
1.カウンセリング:全員と月1回 2.全体ミーティング:月1回(時給審査会、及びハウスミーティング=各スタッフが議題を持ち寄って議論) 3.リーダーミーティング:月2回(社員とアルバイトリーダーによる会議。早・中・遅番のリーダーが時間帯の問題点を議論して解決)

 最近、店長はお見送りをするクリスを女性客がハグするのを見て感動したそうだ。「クリスいてる?」と言いながらお客様がやってくる店なのだ。(スゴイ!)「笑顔のすばらしいイギリス人が最高のサービスをする。それだけで店の雰囲気は変わります」と店長。(それ、よくわかります!)

 また、普段は厳しい店長だけに、飲み会などを通じて個人的に話しやすい雰囲気をつくるなどのフォローをしている。

 「カフェ ラ・ボエムは、時給を稼ぐためでなく、自己価値を高めるための場です」と原店長。好きな言葉は社訓の「自己価値向上のために、上を見てより困難な道を選ぶ」だ。向上心のない社員やアルバイトは、容赦なくたたきのめすという。部下を育てる強い信念がひしひしと伝わってくる。

 実力主義のグローバルダイニング。売上を向上させたことで夏のボーナスは約180万円出た。目標にしていた「30歳で年収1000万円以上」もクリアした。(実績に見合った収入が得られる会社だ。時給1700円、月35万円のアルバイトもいる)そんな原店長の夢は、社員やアルバイトリーダーを育て、大勢の店長をつくり、西日本の責任者になること。この夢、数年後にも実現しそうですね、原店長。

 大阪のグローバルに、すばらしい超実力店長がいた。ありがとう、サービスの達人!

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