月商1600万から2500万円へ

 月商1600万円で赤字というのもすごいが、ともあれ後藤店長は月商を以前の2500万円へと復活させた。利益額は社内No.1だ。その経緯を店長に語ってもらった。

画像

1.全P/Aとの面談・カウンセリングを実施

 後藤店長はこの店に戻って来た時、売上の低迷でP/Aの士気が下がったのか、やる気がないから売上が落ちたのか、とにかく負のスパイラルが働いたようで、モラルまで低下しているのに驚いたという。
 そこで全員と面談し、チャンスロスをなくせば売上は絶対に上がると説き、モチベーションのアップを促した。飲食業のすばらしさや、日本のサラリーマンを元気にするんだという居酒屋の社会的役割について熱く語り続けた。こうして3ヶ月間も集中してP/Aのやる気を高めていったのだ。後藤店長のリーダーシップにより、やがてみんなの表情が生き生きとしはじめ、下降していた定着率も向上していった。

2.P/A募集とマンツーマン教育

 次に、売れる店づくりの体制を固めるため、P/Aの募集を開始。新宿歌舞伎町は学生アルバイトを確保するには厳しいエリアだが、紹介制度を活用して、特に日本語の堪能な韓国人学生を多く採用した。
 採用の基準は次の通り。
(1) 話が上手
(2) 素直でハキハキしている
(3) 目的意識が明確
15年間に及ぶ後藤店長の経験では、目的意識の低い人は定着率が悪いという。(なるほど!)
 新人教育は、店長自らオリエンテーションで理念や社会的使命を教えた後、マンツーマンで基本作業を指導する。その後、アルバイトリーダーの下で実践的に仕事を覚えさせていく。

画像

3.チャンスロスをなくし、客席回転率を上げる

 後藤店長が最も力を注いだのが、チャンスロスをなくすことだった。特に週末のピークタイムに集中。売れる時に最大に売るのが飲食店の原点なのだ。店長はP/Aに「東京には1万店以上の飲食店がある。その中で北の家族を選んで来てくださったのに、満席でお帰りいただくのは本当に申し訳ない。来店されたお客様を100%お受けし、高い満足度を提供しよう」と語り続けている。
 入口には絶えず目をやり、多少のウェイティングでも「10分ほどでご用意できます」と伝えるなど、お客様を逃がさないよう努力することを徹底させた。
 新宿歌舞伎町という立地は家賃も高額だ。後藤店長はユニークな後藤流の公式を持っている。
家賃÷31日÷12時間(営業時間)÷テーブル数=300円
これによると、ワンテーブルが1時間空席になると、家賃300円分を捨てたことになるというわけだ。(おもしろい!)
 客席は、現在ピークには3.5回転する(日商200万円、客数630人で割り出している)。ただし満席率は100%ではないので、実際には4〜5回転しているだろう。「目を光らせていますから、ロスがあればわかります。ゼロに近づける努力を続けることが、繁盛店の店長の役割です」と、頼もしく語る後藤店長だ。

4.コミュニケーションスキルを磨く

 前述した全員との面談のように、後藤店長はP/Aとのコミュニケーションには十分に時間をかけた。全体ミーティング、毎日の声がけ、新人アルバイトの歓送迎会を実施。一人ひとりに関心を持って見守り、ちょっとした変化を見つけては声がけした。たとえば韓国人学生には留学生活の大変さに配慮し、常に励ましの言葉をかけた。また主力メンバーやアルバイトリーダーとは飲み会も含めて何度も話し込んだ。(大切なことだ)
そして、そういった全ての場で「この店を北の家族トップの店にする」と語り続けたのだ。
 この地道な努力がP/Aたちを変えていった。店長に認められ、期待されていることを、みんなが理解していったからだ。

画像

<今月のワンポイントアドバイス>

あなたは次のことを実行しているだろうか?
(1)朝礼・夕礼・終礼を毎日実施。
(2)全体ミーティングを月1回実施。
(3)マネジメントチーム(P/Aリーダー以上)のミーティングを毎週実施。
(4)P/A全員が今月の店舗目標を知り、実践。
(5)店長自ら全員に笑顔で挨拶。(ワンスマイル・ワンメッセージ)
(6)帰りがけに「お疲れさま、ありがとう」と店長自ら声をかけている。
(7)疲れていても必ず全員に必ず1日1回は声をかけている。
(8)新人P/Aには毎日仕事のフィードバックをしている。
(9)全員に仕事上の評価をし、ほめている。
(10)P/Aとの約束を守っている。

あなたはいくつハイと言えただろうか?これらはコミュニケーションスキルを磨く上で欠かせないことばかりだ。ノーが多かった人は今日からすぐに実行しよう。あなたが変わらなければP/Aも変わらないのだから。

あなたは何を変えたか?

 後藤店長は月商を1600万円から2500万円に向上させ、原価率を24%、人件費23%でFLコスト47%に抑え、利益額月500万円を達成させた。これは北の家族No.1だ。彼が新宿スクエア店へ戻って3ヶ月目から、数字は動き出した。後藤店長は「3ヶ月で変わらなければ、店のペースに慣れてしまって、そのまま変わらずにズルズル行きそうな気がしました」と言う。店に変化を持たせるには、「変えよう」という強い意思が必要なのだ。私もクライアント先の実力店長養成講座では、異動後3ヶ月で結果を出すよう指導している。3ヶ月で店は変わる。それで変わらないようなら、店長の資格はない。
 米国の著名な経営コンサルタント、トム・ピーターズは「今日、あなたは何を変えたか?」と問いかける。確実に何かを変えていくことの重要性を説いているのだ。今日、ここ3日間、3週間、3ヶ月間で、あなたは何を変えたか。この言葉を日々噛み締めたいものだ。
「22歳の若さで店長になり、30人の部下を持ち、ひとつのお店をマネジメントできる業種は飲食店以外にないと思います。この経験は私の人生にとって大きなプラスになりました」と後藤店長。元部下たちが彼に影響され、社員から店長へと成長しつつあり、これほどうれしいことはないと語る。
 これからも北の家族を変え続けてください、後藤店長!チェンジこそ勝利だ。ありがとう。