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売上アップの決め手は「スピードと愛情」 |
新宿店のランチタイムには、前菜・パスタ・ピッツァ・ドリンク・デザートが食べ放題のブッフェ(1500円)を目当てに、毎日50〜80人もの行列ができる。またディナーでは備長炭の炭火串焼き(サルヴァトーレ風つくねなど)も提供。40〜50代のサラリーマンにも人気だ。
まずは多賀マネジャーに売上前年比120%(月商1600万円から2000万円)の要因を伺ってみた。「スピードと愛情です!」との即答だ。
スピード:案内と会計のスピード。おすすめを聞かれたらすぐ答えられることが大切。クイックレスポンス、1ウェイ3ジョブ、チームワークの良さなどを徹底させてきた成果といえる。
愛情:気配り、心配りのこと。個人店のようなクオリティの、愛情のこもったサービスを追求してきた。最近それが実を結びつつある。リピーターが増え、常連客が目立ち始めている。
「スピードと愛情」にまつわるエピソードをご紹介しよう。まだ寒さの厳しい2月のある日、ピーク時にベテランアルバイトの姿が見えなくなった。「この忙しい時にどこへ?」と思ったマネジャーだが、5分ほどして戻って来た彼女を見てびっくり。使い捨てカイロを山のように抱え、外で行列しているお客様一人ひとりに笑顔で配っているのだ。コンビニ2件を回ってカイロを買い集めたという。お客様のためを考えて、自分の判断ですぐに行動したのである。
マネジャーは日頃から、お客様にとって良いと思われることは、事後報告でかまわないからどんどん行うよう指導している。この時は「よくやった!」と称賛したそうだ。(すばらしい!)
このエピソードを聞いて、絶対にノーと言わない高級デパートとして知られるアメリカのノードストロームの、次のような姿勢を思い出した。「あなたがベストだと思うことを実行しなさい。それ以外のルールはない」
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オペレーション改善とコミュニケーション強化 |
多賀マネジャーが新宿店を任された当初は、まるで少年サッカーチームのように、ボールが転がると全員でそれを追いかけてしまう程度のオペレーションレベルだったという。まずは意識改革が必要だった。
責任を明確にするためテーブル担当制とし、力を伸ばせそうなスタッフは、商品知識アップ、おすすめの強化、自分のお客様を持つというレベルへとスキルアップさせ、それが困難なスタッフは作業効率を上げることに集中させた。役割分担によって生産性の向上を図ったのだ。やがて、12人を要していたピークタイムのオペレーションが、8人で可能になった。
最近では、常連客を30人以上持つ学生アルバイトも出てきた。予約の指名をいただくようになり、店へのロイヤリティも高まっている。彼らが卒業で店を辞める時には、常連客から花束やプレゼントをいただくまでの関係が生まれている。
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モチベーションアップの方法 |
スタッフのモチベーションを向上させるため、多賀マネジャーは次のようなことを実践した。
1.連絡ノートにマネジャーの熱い想いを記入。深夜、何ページにもわたって書く。3〜4か月に1冊のペースだという。
2.マネジャーと想いを共有し、店を変革できるリーダーを育成。リーダーが伝道師となり、やがて熱い想いを持つ人が2人、3人と増え、店が進化していった。
3.スタッフ全員とのカウンセリング実施。毎日30分〜1時間面接をして個々人の性格や強みを知り、長所を引き出して自信を持たせることに成功した。
4.朝礼でマネジャーが感動したことやお客様に喜ばれたことを紹介し、拍手でスタッフを称賛。一人ひとりの能力を評価し、みんなで共感し、店の空気やチームワークを良くしていった。
ビジネスマンの業績のうち、知識や技術によるものは15%で、残りの85%はやる気や人との関係だといわれる。最も大切なのはモチベーションの向上なのだ。
多賀マネジャーに「2:6:2の法則」について伺ってみた。「着任当初は、精神的な意味で2:0:8でした。今は10:0:0まで向上し、チームとしてとても満足しています。技術的にはまだまだですけどね」との返答。(最高ですね!)
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スタッフの小さな成長がうれしい! |
面接時の際、採用すべきかどうか悩んでしまうケースがある。おとなしそうな人の場合が多く、A子もその一人だった。ところが面接を終えて「よろしくお願いします」と言ったその一瞬の、彼女の笑顔がピカイチだったので、採用することにした。
つい先日、ランチタイムの混雑時にマネジャーがご案内とレジをしていた時のこと。電話が鳴ってマネジャーが応対したため、その間ご案内係が不在となってしまった。そのときA子がすばらしい笑顔でお客様のもとに駆けつけ、ご案内を始めたのだ。まだやり方を教えていないのに、マネジャーや先輩の仕事を見て覚えたのである。「感激しました」と多賀マネジャー。「採用を迷うほどおとなしい感じだったのに、こんなふうに積極的に変わるなんて!こういう小さな成長がうれしいですね」
ところで、多賀マネジャーの「ほめる」と「叱る」のバランスは、社員に対しては「0:10」で叱るのが中心。カラッと叱り、フォローも忘れない。ただしアルバイトに対しては「8:2」でほめるのが中心だという。
本場ナポリの味をお届けする店だけに、料理に対する多賀マネジャーの目は厳しい。お客様が残した料理はすべてチェック。「おなかがいっぱいだから残した」と言ってくださるお客様もあるが、それに甘えてはいけない。特にパスタは塩加減一つでゆで具合にバラツキが出ることとがある。作った人に徹底的に味見させ、問題点をその場で明らかにして解決させている。
この店は「ピッツァが安くてうまい店」といった、事前期待で勝負する業態ではないと多賀マネジャーは言う。安さではなく、客単価10,000円以上のリストランテのごとき上質のサービスを目指し、事後評価を高くしたいと語る。事前期待と事後評価の差が大きいほど、繁盛店となるのだ。さて、お客様がお帰りの際、あなたの店の事後評価はどれぐらいだろうか?
ありがとう、多賀マネジャー。これからも世界一のピッツァとロイヤリティの高いスタッフで、最高の店を創り続けてください。
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