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魅せる演出で看板メニューを売る!

 岡崎店はグランドオープン後5か月経過した現在でも、平日の日商60万円、土日は100万円を超える。平日でも行列ができるが、土日は開店11時前から午後4時まで行列が続く。ピーク時の行列は50〜60人に上る。
グランドオープンの月には月商2800万円を突破。5店舗で最高の売上を記録した。
 繁盛店の秘訣の一つにファサードのマグネット効果が挙げられるが、この店もそれが功を奏している。店の入口から炭火焼ハンバーグを焼くところが見え、香りや煙や音などシズル感たっぷりの演出で、おいしさを五感に訴えてくるのだ。(写真参照)
テーブルではホールスタッフやコック長が目の前でハンバーグにソースをかけてくれる。鉄板の上でジュッと音を立ててソースがはね、香ばしい香りが漂う。このライブ感がたまらない。
 看板メニューは黒毛和牛入り炭火焼ハンバーグ(レギュラーサイズ200g)。ご飯とみそ汁のセットで1330円は、決して安くない。ところがこの商品の売上が全体の60%以上を占める。しかも連日の行列だ!
 私はこれまでにもしばしば、商品シェア30%を超える看板メニューがあるのも繁盛店の秘訣の一つだと述べてきた。だがこの店の看板メニューは60%以上と、圧倒的な強さを誇っている。

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店長方針は、目配り・気配り・心配り

 フレンドリーなサービスがとにかく印象的な店だ。ファミリーから若いカップル、年輩客までの幅広い客層に対し、スタッフは常にお客様目線で積極的に笑顔で対応。コック長は自ら料理を運び、テーブルでソースをかける。「目配り・気配り・心配りを利かせ、リピーターを大切に!」という松田店長の方針が、店全体に浸透している。
 松田店長はお客様との会話が大好きだ。会話を通じて満足感が伝わって来る時は本当にうれしいという。重要なのはお客様の満足。満足していただくために不可欠なのが、この目配り・気配り・心配り。つまり、目で見て状況をつかみ、快適に過ごせるよう気を回し、心を込めておもてなしするのだ。
 目配り・気配り・心配りのできる人は、おもてなし能力だけでなく、部下を育て、全員のやる気を高める能力にも優れているといえる。松田店長に、目・気・心を配る上で重要となる、ホールでの視点を聞いてみた。
1.お客様の顔の表情や仕草
2.従業員の表情や態度、声や言葉遣い
3.テーブル周辺の様子
4.商品の完成度
5.全体の流れや入口付近の様子
 QSCも、やはり目配り・気配り・心配りが基本となる。
Q(品質)
毎朝仕込みの状況をチェック。驚いたことに、松田店長は毎日オープン前にハンバーグを1個食べるという。水分量や味を確認しているのだが、実はカキヤスのハンバーグが大好きで、毎日食べても飽きないそうだ。(すばらしい!)
S(サービス)
特にお子様に気を配る。鉄板の油はねを防ぐよう席に配慮したり、持ち物や服を覆うエプロンやカバーを用意。
C(クレンリネス)
オープン前の清掃の他、アイドルタイムには細部にわたる掃除を徹底。取材中にも、全員で真剣に清掃に取り組む姿を見かけた。  松田店長に熱烈な常連客が多のは、この目配り・気配り・心配りがすばらしいからだろう。1号店のイオンナゴヤドーム前店に毎月来店してくださる家族客がいたが、店長がイオン大高店に異動すると大高店へ、そして今では岡崎店に来てくださっている。お客様は親しくなった店長のいるお店に行きたいのだ!また岡崎店では現在、ナゴヤドーム前店時代に常連客だった人がパートで働いているという。
 松田店長を慕っているのはお客様だけではない。埼玉の越谷レイクタウンのグランドオープンには、1号店時代の主力スタッフが応援に駆けつけてくれたそうだ。人望の厚い店長なのだ。

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チームワークはコミュニケーションの量に比例

 松田店長は「スタッフが働きやすいように環境を整え、チームワークを大切にしていきたい」と熱意を込めて語る。店長がP/Aを大切にすれば、P/Aもお客様を大切にするからだ。
 そのためにはコミュニケーションがとても大事。「どんなに忙しくてもアイドルタイムや営業終了後に、毎日2〜3時間かけて一対一のコミュニケーションを図ります」と言う。「元気がない」「笑顔が減った」「問題がありそう」な人たちを優先し、積極的にカウンセリングを実施。同社の運営する健康ビュッフェレストラン「三尺三寸箸」の先輩店長から教わった次のことを着実に実践している。
1.従業員を大切にしなさい
2.コミュニケーションを大切にしなさい
3.料理長とぶつかっても、じっくり話し合いなさい
 先輩調理人とぶつかっても、ただ引き下がるのでなく、素直に話し合って一つずつ解決している。また店長が間違っている場合は、相手がP/Aであってもちゃんと謝るそうだ。
 イオン岡崎店のP/A応募者には個性の強い人が多く、まとまりに欠けそうな危機感を抱いた松田店長だが、毎日彼らと話し合い、十分にコミュニケートすることで、チームワークがめざましく向上していったという。
 今では改善提案もどんどん出されるようになった。たとえば「もっと見やすいメニューにするには?」という意見も、コミュニケーションを通じてつかむことができる。実際にP/Aがお客様の声を聞いてメニューブックを改善し、より見やすいものに作り直した。この話を聞き、チームワークや店全体の雰囲気はコミュニケーションの量に比例するとあらためて実感した。
 松田店長は販促というものを全く考えていない。来店したお客様をとことん大切にして常連になっていただくこと、そしてP/Aの意見を取り入れてやる気を引き出すこと、これが松田流「繁盛の秘訣」なのだ。
 彼はアルバイト時代、当時専務だった現社長に声をかけられ、社員になった。当初は料理人と衝突してばかり。年齢を考えて仕事しろと言われたが、同時に言いたいことはちゃんと言えとも教わった。カキヤスハンバーグ1号店の店長に決定した時は「俺でいいのか?」と自問し、悩みもした。それでも先頭に立ち、5店舗を引っ張ってきた。緊張感に満ちたグランドオープンを複数回経験することで、店長は大きく伸びるのだ。
 松田店長からは、26歳という若さからは想像もつかないほどのバイタリティ、シャープさ、前向きさ、包容力が伝わってくる。20年後が非常に楽しみだ。
これからもガンバレ、松田店長!