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おもてなしなら「きちり」と言われたい

 清原店長は全社会議において第1回MVP(最優秀店長)を受賞した、きちりを代表するベテラン店長。不景気にも関わらず、アッパー傾向のダイニングながら、売上前年比100%以上をクリアしている。
 おすすめメニューは「総料理長自慢の特製ローストビーフ780円」「京とうふ藤野 牛蒡、蓮根、お豆富の金胡麻サラダ680円」「フォンダショコラ バニラアイス添え580円」など。
 清原店長の方針は、顧客・従業員・求職者から『おもてなしなら“きちり” 』と言われる店になることだ。近隣の方に、月に一度はきちりに行きたい、記念日には必ず利用したいと思ってもらえるような、暮らしに密着した店を創りたいと、熱い口調で語ってくれた。
 素晴らしいおもてなしをするための仕組みは次の通り。

1.採用面接は2段構え
一次面接は部長と店長で行う。きちりを選んだ理由や将来の目標などを聞き、意志の強さ、積極性、志の高さなどを判断する。この時点で2人が合格と判断すれば採用が決まるが、決定できなかった場合は店長が二次面接。目を見て話せるか、前向きな姿勢が感じられるか、礼儀礼節などのハウスルールが守れそうか、などをチェックする。
2.ストアミーティングとおもてなし研修
秋葉原店ではストアミーティングとおもてなし研修を毎月交互に実施。ストアミーティングでは、共有情報確認、感動事例紹介、クレーム対応、新メニュー試食会などを行う。注目すべきはグループディスカッション。一つのテーマについて徹底した議論が行われる。気配りなどの具体例をグループで発表し、決定していく。店長の指示ではなくパートナー(P/A)が自ら考えて実行するので、効果は大。おもてなし研修では、人に関心を持つことの大切さを学ぶ。お客様は一組一組来店理由が異なる。ふれあいを通してそれぞれのニーズを先読みし、きめ細やかにおもてなしすることを、みんなで学習していく場なのだ。清原店長は「心のこもったおもてなしとは、心を形にのせることです」と語る。パートナーたちの学習への意欲が、秋葉原店のホスピタリティ向上に大きく貢献していると実感する。
3.従業員の共有スペースを美しく
事務所や従業員の更衣室・トイレ・下駄箱などの共有スペースが整理整頓されている店は、店内もきれいでサービスも優れているものだ。清原店長は従業員が自分たちのスペースを大切にして、常に美しく保つことに重きを置き、その徹底を心がけている。このような姿勢はすべてのパートナーに浸透し、きちりの企業文化ともなっている。
4.パートナーの「ボイスノート」
秋葉原店にはパートナーの誰もが自由に記入できる「ボイスノート」がある。困っていること(備品や消耗品の故障、不足など)からレクリエーションのお知らせ(ボーリング大会や誕生会など)、またパートナーの個人的なメッセージまで、どんなことでも自由に書ける。(いいですね) さまざまな情報をみんなで共有できるので店の雰囲気はアップするし、店長がみんなの声にすみやかに即対応することで、店長への信頼感も増すのだ。
5.ワンスマイル、ワンメッセージ
清原店長はパートナーへの声がけには特に配慮している。毎日出勤時や退店時に必ず全員に笑顔で一声かける。一人ひとりに気を配り、「テストどうだった?」「試合には勝った?」など、個別に話しかけている。もちろん退店時には「今日も一日ありがとうございました」という感謝の言葉を忘れない。この誌面で何度も述べてきたように、「いつもあなたのことを気にかけています」というメッセージを伝えられるのはEQの高い店長であり、清原店長はまさしくそんな優れた店長である。
6.パートナーの卒業式
きちり本部では毎年、就職等で卒業していくパートナーたちのために、これまで働いてくれたお礼の意味を込めてパートナー・コンベンション(卒業式)を開催している。会場はザ・リッツ・カールトン大阪。全店から集まった卒業生たちに対し、MVP、ホスピタリティ賞、きちり賞などが授与されるのを見て、「次は自分も!」と、後輩たちのモチベーションも上がるのだ。

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ナレッジ(知恵)の成功事例と標準化

 きちり各店では、料理の品質やサービスに対する検証が常に行われている。
 料理のクオリティについては、定期的にパートナーへの調理指導会を実施。キッチンスターター(キッチンスーパーバイザー的役割)という職位の社員が、料理のスタンダード維持のために各店を巡回指導もする。またキッチンも含めて全パートナーがインカムでオペレーションを共有しているため、「おすすめメニュー、おいしかったよ。ありがとう」といったお客様の声が、ホールからキッチンへと直接伝わるため、キッチンのパートナーや社員にとって大きな励みになる。日報もPCで共有化され、本部にも料理に対するお客様の声がダイレクトに届き、商品開発に反映されていく。  サービスについては、ナレッジと呼ばれる気配り事例が標準化され、ナレッジグランプリという表彰制度も設けられるなど、積極的に取り組んでいる。その事例の一部を紹介しよう。
1.お帰りのお客様のためにエレベーターを呼んでおく。
2.お子様が食事に飽きたら、お絵描き帳で遊んでもらう。
3.お客様の来店目的(記念日かどうか)を、乾杯のかけ声やコースメニュー等から判断する。
4.名前を一度伺った後は、名前で常に呼びかけることで親近感を抱いていただける。
5.連れのお客様が遅れる時は事前に名前を伺っておき、「○○様お待ちしておりました」とお迎えする。(小さなサプライズ)
6.「疲れた〜」と言いながら席に着くお客様には、まず冷たいお茶とおしぼりを「お疲れ様です」と言って渡すと喜ばれる。
7.ワイン等は、わかりやすく、かつ興味も持ってもらえるよう、実物を見せておすすめする。
8.暑い時期、食品などを納入してもらう取引業者さんに冷たいお茶を出すと喜ばれる。
9.金胡麻サラダの胡麻は提供直前に一摺り。運ぶ時からよい香りが漂い、お客様にはもちろん自分にとっても心地よく、おいしそうな顔でサービスできる。
10.お客様の前でチーズを削りながら混ぜて取り分けるクリームリゾットを提供する際、お客様一人ひとりの好みに対応できるよう、個別に味見してもらう。

 このようなナレッジが各店から報告される。それらを朝礼やスタッフミーティングで紹介することで、気配りの精神やおもてなしのレベルが一段とアップしていく。あなたもぜひ参考に!

 気配りの精神は人から人へと伝わる。清原店長が勤務明けの深夜に駅前の路地に落ちているタバコの吸い殻を拾って掃除しているのを見たパートナーたちが、店長に倣って掃除するようになり、駅前がきれいになったというエピソードもある。  清原店長は、きちりでの仕事を通じてパートナーたちが気配りのできる人になり、人間的に成長していくのがとてもうれしい、そのことに自分が少しでも携われるのが誇りだと語る。

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きちりコインとワンモアチョイスカード

 きちりの販促ツールの一つに、3ヶ月に1度配布される金と銀の「きちりコイン」がある。金はお客様本人が使える500円コインで、銀は大切な人にプレゼントしていただくための500円コイン。いずれもきちり全店で使用できる。リピーターと新規客を同時に呼び込める、なかなか工夫された販促だ。
 ワンモアチョイスカードという販促もユニーク。これは、例えばお客様から「デザートにフォンダショコラを食べたいと思ってたんだけどお腹がいっぱいで・・・」など、食事の最後に実は召し上がってみたかったというメニューを伺い、そのメニューを次回来店時にプレゼントするチケットをお渡しするというものだ。

お客様との会話を弾ませるきっかけにもなる、アイデアツールである。
 最後に、最近うれしいと思ったできごとを清原店長に伺うと、店長の誕生日の話をしてくれた。その日、パートナー全員が集まってお祝いしてくれたのだという。全員の写真とコメント付きのアルバムをプレゼントされ、感動のあまり涙がこぼれそうになったそうだ。(店長の深い愛情が、全員にしっかりと伝わっているんですね)
 「今が本当に楽しい。だから本部スタッフやエリアマネジャーにはならず、生涯現場でお客様とパートナーたちに尽くすことで、きちりの発展に貢献していきたい」と語ってくれた。
 現場の大好きな、愛情いっぱいの素晴らしい実力店長だった。

COMPANY MIND(企業精神)

「きちりを大好きで一杯にしたい」

家族、恋人、友達、お客様
社員、パートナー、お取引業者様、誰でもいい
自分の周りにいる人達を大好きになろう
そして大好きに思っている人達から
愛されるべき人間になろう
顔を見たら、目が合ったら“ニコッ”とされるような
愛すべき人間になろう
そしたらみんなすごく幸せな人間になれると思う
大好きが一杯な人達と一緒に
仕事が出来たらすごく楽しいと思う
大好きが一杯で溢れている店を
みんなと一緒に創っていきたい
そして「きちり」が沢山の人達から
“ニコッ”と微笑みかけられるような存在になりたい