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長所を伸ばす三つの仕組み

 上田店長の店舗運営方針を尋ねると、「長所伸展法が教育の基本です」と即答。スタッフそれぞれが持っている長所に着目し、それをいいポジションで発揮・活躍してもらう。面接時でもいい笑顔が出たらほめるという。お客様の前でもその笑顔を出してほしいからだ。スタッフの個性を大切にしつつ、お客様を思う心を育てていくのだ。
 ダンクには、長所伸展法を実行するための仕組みが3つある。

一.ホスピタ総会
ダンクがシーズ(ほめる覆面調査企業)とともに企画・実施している、半年に一度の社内表彰大会。最優秀MHS(めっちゃホスピタリティなスタッフやんの略)を筆頭に、最優秀店舗賞やグッドサービス賞、グッドドリンク賞、調理者賞など、各部門のグランプリが設けられ、全スタッフが受賞を目標にしている。表彰式では受賞者の両親の手紙や大学の恩師のメッセージが紹介されるなど、毎回涙と感動のシーンが繰り広げられる。
二.ありがとう通信
毎週月曜日に発行される社内報。毎月のミーティングで目標設定用紙に基づく評価と表彰が行われ、その内容が通信に掲載される。毎月の最優秀・優秀スタッフが全員に紹介されるのだ。認める、ほめる、長所を伸ばす、お店からの感謝を伝える、それがこの通信の目的だ。
三.ありがとうの手紙
店長からアルバイトへ、アルバイト同士、他店からの応援スタッフへなど、毎月感謝の気持ちを込めた手紙を出し合う仕組み。便せんに何枚も書く人もいる。これを店長が回収し、本社(ダンク)が給与明細書と一緒に本人に手渡す。一度に7〜8人から手紙を受け取る人もいるそうだ。上田店長も毎月ほぼ全員に宛てて書いているという。もちろんもらった人はとても嬉しい。こうして店の雰囲気がますます良くなっていく。

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彼女にスイッチが入った瞬間

 スタッフの長所を伸ばすチャンスやタイミングは必ずある。大きく伸びた人もいっぱいいる。
 ある時、「人見知りをしますが、ここで働かせてください」という女子大生が面接にやってきた。やる気を買って採用し、洗い場からスタート。負けず嫌いで頑張り屋だったので少々のことにはへこたれないだろうと店長は考え、厳しい指導で臨んだところ、いつも「ハイ!」と元気についてきてくれたそうだ。
 半年後、彼女のほうから「ホールで仕事したい」と言ってきた。最初はお客様の顔を見ることさえできなかったが、店長はあきらめずに教え続けた。ある日、彼女はお客様から「Aさん」と名前で呼ばれて、そちらを振り向いた。それを見ていた上田店長の目には、振り向いた時の彼女の輝くような笑顔が今でも焼き付いている。その瞬間、彼女にスイッチが入ったのだ。
 その日を境に彼女はホールだけでなくキッチンの仕事もどんどん覚えていき、「満点生ビール」(生ビール提供の資格)を語れば社内ナンバー1といわれる最高のアルバイトスタッフになった。ホスピタ総会でもグッドサービス賞を受賞。上田店長は、人は認められた喜びをバネに努力すれば大きく伸びることを、彼女から教えられたと実感している。

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誕生祭の新聞をスタッフが企画

 上田店長は、鴫野店オープン1周年が近づいた時、アルバイトのみんなから「ありがとう誕生祭」をやりたいという要望を受けた。お客様に感謝の気持ちを伝えたいというのだ。
 こうして手づくり誕生会企画が始まった。全員の1歳の時の写真を集め、店とお客様への感謝の言葉を一人ひとり寄せ書きして、素敵な新聞を作った。そしてお客様に「よろしければお店の誕生日を祝ってください」とお願いしつつ、新聞と一緒にコメントを記入してもらうためのメッセージカードを配布した。
花束を持って来店する常連客や、「スタッフの笑顔がいいからいつも来ているよ」という数多くのメッセージに、みんな大感激!お客様との一体感を味わった誕生祭。ミーティングでメッセージが読み上げられ、やる気や店への誇りが大いにアップ。さらにホスピタ総会では特別賞を受賞し、みんなで熱い涙を流した。もちろん2周年でもハートフルな誕生祭が行われている。

地域に愛され、常連さんの多い店

 サービス面で上田店長が特に気をつけているのは次の事柄だ。
1.全力で返事。いつどこで呼ばれてもすみやかに答えて伺う。
2.呼び鈴を押される前に気づく、気配りサービスの徹底。
3.週末はファミリーの常連客が多く、満席時には70%が顔見知り。最近では開店から8組連続で超常連客が続いたケースも。家族客への対応強化を心がける。
4.クレンリネスは、特に女性用トイレへの気遣いを忘れず、アメニティグッズにも配慮。

店舗見学でコミュニケーション

 上田店長は営業後のミーティングの他にも常にスタッフとのコミュニケーションを図っている。休日を使ってスタッフと一緒に評判のよい店や鳥貴族の他店舗へ視察に行くのもその一つ。月8回の休日のうち3回は店舗見学をしているという。勉強を兼ねて楽しく会食するのが習慣になっているのだ。
 そのおかげもあってか、スタッフの定着率は抜群だ。卒業以外の理由で辞める人はいない。補充要員はアルバイトが紹介してくれる。常連客からの紹介もあるし、お客様自身がここで働きたいと応募してくることもある。だから求人費はほぼゼロ。社員の大半もアルバイトを経た人だ。このように、すべて好循環で店は回っていく。
 上田店長は、自転車通勤中でもコンビニで買物をしていても、地域の常連客から「店長!」と声をかけられる街の人気者だ。
 そんなステキな店長の夢は、ダンクの鳥貴族メガFCとして100店舗達成を目指すこと。その折には幹部となり、分社化の暁には10店舗を運営する社長になりたいと、熱く語ってくれた。10年後、夢は叶うと思いますよ、上田店長!