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32年間、毎日1000人の来客

 コメダ珈琲店本店は1977年(32年前)に直営店の3号店としてオープン。増席しながら現在の188席に至る大型店だ。企業理念の「コーヒーを大切にする心」は河野店長自身のモットーでもあり、お客様を煩わせないフルサービスと、元気で明るい接客を目指している。
 コーヒーに次ぐ看板メニューは、名古屋人なら誰もが知っているシロノワール。デニッシュ生地のあつあつパンケーキの上に冷たいソフトクリームを載せ、好みでメープルシロップをかけて食べるユニークなデザートだ。
 河野店長に、驚きの数字を元に店のポイントをお聞きした。

1.客単価550円で月商1800万円
客単価は高くないのにこの月商!
2.32年間毎日1000人以上来店
概算すると1日約1090人来店。これが32年間毎日続いている。
3.お盆は日商100万円以上、客席回転率10回転以上
八事霊園に近いため、お盆には年間最大のピークを迎え、連日1800人以上が来店する。今年8月の売上は2200万円だった。
4.珈琲チケット毎月750冊以上
珈琲チケットは1冊3000円で9枚綴り。昨年までは毎月550冊売れていたが、今年は特に営業努力をしなくても750冊に増えた(225万円)。着実に超常連客が増えているということだ。
5.モーニングが売上の40%以上
日本の外食チェーンにおいて、朝食が売上シェア40%以上というのは他に類を見ないと思う。
6.1日3回(年1000回)来店の超常連客
これは店長の出勤率よりも高い来店率だ(笑)。珈琲チケットを毎月10冊購入する顧客である。
7.新聞代は毎月64,000円
新聞は毎月15部を購入。かなりの金額になるが、これをゆっくり読みたくて来店するお客様のために不可欠な経費なのだ。
 河野店長が常に強く意識しているのは客数。本店の店長として配属されて以来4年間、毎年客数と売上を伸ばし続けている。

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感動エピソード1「誕生日のプレゼント」

 常連客の多いコメダでは、来店曜日や時間、席まで決まっていたりするので、お客様同士が自然に親しくなることも多い。「コメダは街の公民館みたいなもの」と河野店長。そんな常連客にとって、いつも顔を合わせる店長はとても身近な存在だ。
 本店には毎日来てくれる超常連の4人組のおばあちゃんがいる。彼女たちはアルバイトから店長の誕生日を聞き出し、(店長のお酒好きもなぜか知っていて)赤白のワインをプレゼントしてくれたそうだ。おばあちゃんに愛される店長って、素敵だね。

感動エピソード2「父に替わってありがとう」

 河野店長は新人時代にも本店で働いていた。当時、ほぼ毎日来店してくれるご両親と娘さんの3人家族がいた。やがて河野スタッフは24歳で異動。26歳で富士見橋店の店長となった時、久々にこの家族と再会した。中学生だった娘さんは社会人になっていた。お父さんは店長への昇進を自分の家族のことのように喜び、それからまた3人で来店するようになったのである。
 ところが店長が29歳になった頃、この家族が急に顔を見せなくなった。どうしたのかなと思っていたある日、娘さんが一人で来店し、思いもよらない事実を店長に告げた。「昨日、父が癌で亡くなりました。父は店長のことが大好きだったので、足しげく通わせていただいたんです。本当に今までありがとうございました」…父がまるで息子のように可愛がっていた店長に真っ先にそれを告げようと、彼女は哀しみをこらえてわざわざ出向いてくれたのだ。河野店長は衝撃のあまり返す言葉がなく、お悔やみも慰めも言えずに、ただ涙を流したという。
 この話に私も思わず泣いた。飲食店の店長をしていると実に数々のドラマに遭遇し、感動で胸が打ち震えることがあるのだ。

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P/Aの定着率は抜群

 河野店長は、中・高・大学時代に運動部所属経験のある人をアルバイト採用することが多いという。体育会系の部活では礼儀・礼節を重んじて厳しく指導するケースが多いからだ。また、第一印象も重視している。採用率は非常に狭き門で、2割程度。
 ユニークなのは、採用されて初日が終了した後に必ず面談し、「続けられそうですか?」と聞くことだ。この時点で結論を出すようにすれば定着率が高まり、卒業まで頑張ってくれる学生アルバイトがほとんどだという。
 接客の挨拶も河野流。「いらっしゃいませ」や「ありがとうございました」は語尾を上げ、「いらっしゃいませっ!」のように小さな「っ」を入れるよう指導。このテンションの高さが、モーニングに来店するお客様を目覚めさせるかのごとく、気持ちよく迎え入れてもらえるのだ。

本店はコメダのシンボル

 棚に15部も置かれている新聞だが、ピーク時には空になることもある。そんな時は読み終えた様子のお客様に確認し、読みたそうにしている別のお客様へとお渡しする。また硬い椅子席のお客様には、ソファ席が空いた時点で「よろしければお席を移れます」と声をかける。さらに長時間利用のお客様には、何度でも新しい水をお持ちする。こんな具合に、小さな気配りがいっぱいできるお店なのだ。
 クレンリネスにおいても、河野店長はP/Aに「掃除しよう」ではなく「さあ、お店を磨こう」と言う。言葉の響きも良いし、磨き込まれて艶が出そうな雰囲気がある。これが32年間にわたって磨き込まれた店風・ノウハウ・味わいなのだろう。
 「本店はコメダのシンボルです。ここは名古屋でも屈指の高級住宅街で、お客様の目も厳しい。プレッシャーも感じますが、誇りでもあります」と河野店長は胸を張る。(すばらしい!)
 300人以上の常連客を覚えていて気軽に声をかける河野店長。むろん来店する曜日や時間、座る席、オーダーメニュー、新聞の種類まで頭に入っているのだ。
 彼が店舗運営上最も配慮しているのは、P/Aとのコミュニケーション。仕事後の事務所での会話を大切にしている。できるだけ多く、しかも徹底して話し込む。自らプラスの気を出し、みんなをプラス志向の空気で包みたいのだ。「スタッフとの信頼関係をより強めたい。こんな僕に50人もの人がついてきてくれることに心から感謝しています」としみじみ語ってくれた。
 将来の夢はコメダ珈琲での独立。実現可能ですね、河野店長!