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この価格でこの味とボリューム!(お客様の声) |
功刀店長はイオン八千代緑が丘店の店長も兼務。こちらは坪月商25万を売り上げる人気店で、提供時間も3分とスピーディな、ファーストフード的とんかつ店だ。「早い・安い・うまい」の三拍子が揃い、看板のソースかつ丼の商品シェアは30%。学生街の高田馬場店に至っては、50%を超える日もあるという。
松戸元山店は駐車場付きの郊外型大型店である。ランチの客層はビジネスマンが多く、次いで50〜60代の年配客。平日でもウェイティングがかかる盛況ぶりだ。夜はファミリー客が中心。ランチもディナーも、近隣のファミレスより客数が多い。現在の月商は1000万円だが、目標は平日30万・土日60万で1100万円だ。
私は高田馬場店でソースかつ丼を食べ、そのボリューム(写真)に脱帽してファンになった。その後坂井社長とお会いして、今回の取材につながったのだ。お客様からも「この価格でこの味とボリュームはすごい!」と、日々驚きの声が届く。これでトータル原価が35%以下というから、さらにびっくり。飲食店にとって、驚きは必須のテーマだ。
また、単品のお持ち帰りも多い。この店は10%だが、店によっては20%を超えるという。
3分以内に提供が可能なのは、かつの揚げ方に工夫があるからだ。まず低温で5分揚げ、提供時に高温で1分程度、カラリと揚げる。提供時間が早いおかげか、お客様の平均滞在時間も20分程度と短く、回転率が高い。
功刀店長は、早さだけでなく揚げ方の技にもこだわっている。パン粉は自家製。1回押しでパン粉を立てて肉をくるむ。価格は安くても、手づくり感を実感できるクオリティの高い料理を提供したいからだ。
「圧倒的なコストパフォーマンスで、お客様に感動を与えたい」と、功刀店長は熱く語る。(すばらしい!)
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部下の自主性に任せるのも、リーダーの務め |
イオン八千代店のキッチンスタッフに、仕事の覚えも作業スピードも遅い女性アルバイトがいた。坂井精肉店にはステップアップシートという100時間に渡る教育システムがあるが、彼女はそれもなかなか進歩しなかったそうだ。
やがて功刀店長は松戸元町店のグランドオープンに携わることになり、心配ではあったものの、しばらくの間イオン八千代店はアルバイトスタッフに任せる体制となった。
ところが2週間後に戻って来た店長は驚いた。店全体がうまく運営されていたのみならず、何もかもがスローだったあの彼女の動きが見違えるほどスピーディになっていた。スピードだけでなく前準備も徹底され、キッチンを手伝おうとする店長に対して「キッチンは大丈夫です。店長はホールのフォローをお願いします」と言うほどの、実に著しい進歩を見せたのだ。このとき店長は、責任を持って仕事を任せることがいかに部下にとって大切かを、あらためて学んだという。リーダーは、時として部下に全面的に仕事を任せることも必要なのだ。
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今月のワンポイントアドバイス! |
トム・ピーターズは著書の中で「リーダーシップの過去と現在」というリーダーシップ論を述べている。一部を紹介しよう。参考にしていただければ幸いだ。
過去 |
現在 |
部下を変える |
→ 部下を仕事に燃えさせる |
何にでも手出しをする |
→ 部下に任せる |
指令と統括 |
→ 環境づくり |
計画・計画・計画 |
→ 実践・実践・実践 |
命令を出す |
→ ヒーローを見つけ出す |
トップダウン式リーダーシップ |
→ 草の根式リーダーシップ |
管理 |
→ 権限委譲 |
部下を正す |
→ 部下と気持ちを通わせる |
規則 |
→ 人間関係 |
人は重要だ |
→ 人がすべてだ |
(参考文献「トム・ピーターズのマニフェスト(2) リーダーシップ魂」ランダムハウス講談社)
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見せてやらせて指導する、これが功刀流 |
功刀店長のアルバイト採用時の基準は、1.人柄 2.元気 3.素直でハキハキ。また、飲食店経験者を優先している。
松戸元山店のグランドオープンに向けて80人の面接を行ったが、採用は20人。狭き門だ。
教育は前述のステップアップシートをもとに行う。100時間で仕事に必要な一通りの項目がチェックできる仕組みになっている。ホールではエスコート・商品説明・レジ・配膳・補充、キッチンでは肉切り・パン粉・フライヤー・洗浄・オープン・クローズ作業などに分けて、明記されている。
功刀店長の「ほめる」と「叱る」の比率は、ほめることのほうが多いという。ただし、作業をチェックしてスピードや完成度に問題がある場合は、直接注意する。どうすればよいかと問われたら、自らやって見せ、本人にもやらせて、具体的にアドバイスする。注意する→やって見せる→やらせる→アドバイスする。この繰り返しが功刀流。問題点が改善されたら、徹底してほめるのだ。
笑顔の練習も実践している。朝礼などで笑顔のキャッチボールをすれば、気持ちよくスムーズにオープンが迎えられる。
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大切なのは、話すことでなく聴くこと |
P/Aとのコミュニケーションを最も大切にしているという功刀店長。時間の許す限りふれあいを心がけ、仕事中もワンポイントアドバイスを実施している。ピークタイムに緊張感が高まりすぎた時には、リラックスできるようなおもしろい言葉をかけたりもする。
休憩中はP/Aからのいろいろな相談にのっている。特に聴く姿勢が大切だという。「聞く」よりも積極的な「聴く」姿勢がポイント。とにかく真剣にじっくりと話を聴く。
コミュニケーション方法の優先順位(重要性)について調べた、こんなデータがある。
聴く → 63%
話す → 22%
書く → 11%
読む → 4%
聴くことがいかに重要であるか、おわかりだろう。話すことより何倍も大切である。店長に話を聞いてもらうだけで、問題が解決しまうこともあるのだ。
最後に、功刀店長の将来の夢を伺ったところ、「とんかつ業態で核となる人材になること」と、きっぱり。圧倒的なコストパフォーマンスを誇るソースかつ丼を武器に、200店舗展開を率いるコア的人材として、大いに活躍してください、功刀店長!
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