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6年連続売上伸長

 赴任後最初の3年間は売上前年比103〜105%と伸長させ、その後リニューアル効果もあって2年連続110%を達成。現在も102〜103%と伸ばし続けている。
 平均月商は2600万円。だが中島店長は売上をさほど意識していないという。「おいしい料理を提供して、おもしろい販促をして、楽しく仕事をしているだけです」とのこと。
 会社からの報奨金も年間トップ3回の栄誉に輝く中島店長。報奨金は売上伸び率順位、利益伸び率順位、従業員1人当たりの売上高を元に評価され、毎月全店を対象にランク付けされる。成果に対してランクごとに報酬が得られ、ランク1位はなんと50万円。その使途は店長に一任されており、中島店長は店のスタッフ全員に配分している。

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オリジナルメニューNo.1「天津炒飯」の開発

 「餃子の王将」の商品3本柱は、餃子・炒飯・唐揚。特に餃子は、これぞ日本の餃子のスタンダードといえるほどのポピュラーな商品だ。堅田店では平日1000人前、土日2000人前を販売。餃子1品で20%以上の商品シェアを占める。
 1人前6個だから、土日には12000個もの餃子を手づくりしていることになる。これが看板商品の強さなのだ。ちなみに、仕入れた皮とあんはその日のうちに使い切るのが基本。
 堅田店にはオリジナルメニューも20種類ある。中でも中島店長が発案した「天津炒飯」は、全国の店舗でも導入されている大ヒット商品だ。この商品、常連客とのコミュニケーションから生まれたもの。いつも天津飯と炒飯を注文するお客様に「一緒にしてみましょうか?」と提案したのが始まりである。そのお客様に喜ばれたのはもちろん、たちまち人気商品となり、当初は1日200食も出たほどだ。
 中島店長は調理好き。天津炒飯の他にも、あぶりチャーシュー麺や鶏肉の香味唐揚げ、海老の香味マヨネーズなど、人気メニューを開発している。なお、今月のオリジナルメニューとして「堅田の冷し」「大連の冷し」が登場している。

全力でほめて叱って、人を育てる!

 取材当日、中島店長は取材時間ギリギリまで女性社員を叱っていたらしい。何と朝9時から午後1時までみっちり4時間だ。本気でこんなに叱ることのできる店長には、近頃めったにお目にかからない。厳密には「3時間叱って1時間諭しました」とのこと。叱るだけでなく、最後は気づかせて励ますのだ。
 この社員が確認チェックを怠ったのが叱責の理由。「最近は仕事熱心で信用できる女性スタッフが多く、女性でも本気で叱ってしまいます」と中島店長。ただし「全力で叱って全力でほめます」と、きっちりサポート。「一番大事なのは人。売上をつくるのは人ですから」と語る。
 最近の店長には厳しさが不足していると感じる。人を育てるには、規律を守らせる父性的な厳しさと、広い心で受け止める母性的な優しさの両方が必要。中島店長のように本気で厳しく優しく接することが重要なのだ。
 中島店長は、ある新入社員のエピソードも語ってくれた。入社当初、仕事の基本もわからず、責任感も失敗への危機感もないのに態度が大きくて、4年後には独立したいと平気で言う生意気な若者だった。だが、初歩的なことから仕事を教え始めると、どんなにしくじっても歯を食いしばってついてきたという。
 やがて彼は他店に異動し、数年後、チーフとして再び堅田店に戻ってきた。ところが、技術はあっても人の心がつかめず、人をうまく使えないタイプ。部下に命令するだけで、フォローもコミュニケーションもない。これではまずいと思った中島店長は、命令・指示を一切やめさせ、突き放してしまった。
 この店ではP/Aの能力や自主性が高く、発注もキッチンもP/Aに任せられる。指図するだけのチーフなどそもそも不要なのだ。結局、彼のやることはなくなった。やることがないほどつらいことはない。
 …というわけで、彼はチーフとして何をすべきか考えざるをえなくなった。そうして気づいたのが、P/A教育とコミュニケーションの重要性だった。彼はこれに力を注ぎ、見事1年間で変身を遂げたという。
 部下の面倒見がよくなって相談相手にもなり、プライベートでも付き合えるようになった。人間力が増してきたのだ。こうして彼は、本当の意味でチーフとしての役割が全うできるようになり、やがてその実力は店長レベルにまで達していった。中島店長にいったん突き放されたことで、大切なことを自ら学んでいったのである。
 彼は今、リニューアルした近隣店の店長として活躍している。中島店長が脅威に感じるほどのすご腕ライバルへと成長したのだ。すばらしい!

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500人以上の常連客を知っている主婦パート

 「楽しく仕事をしよう!」というのが中島店長の方針。P/Aの採用基準は「声が大きくて、元気で、よく働く」だ。いかにも餃子の王将にふさわしい。
 キッチンでの仕事にはスピードと段取りのよさ、つまり先の読めるオペレーション力が必要。小さい声ではオペレーションの指示はできない。声が小さい人は駐車場で発声練習をする。
 この店では、キッチンに入っている10人のうち3人は、自分の仕事をしながら他の7人に指示や指導をしている。キーマンとなる3人が的確にオペレーションコントロールすることで、提供時間を早くしているのだ。
 ホールには、20年のキャリアを持つベテランの主婦パートが3人いる。3人とも500人以上の常連客を知っていて、メニューの好みも掌握している接客のプロ中のプロで、店長でさえ太刀打ちできないほどの強者だ。また、ほぼ毎日来店する超顧客が多いため、味のスタンダードをキープすることがとても重要になるが、彼女たちはその点でも厳しい目を光らせており、非常に頼もしい存在となっている。

 販促も、店長のアイデアで実行している。子どものお客様にはガチャガチャや花火のプレゼント、抽選でプレステが当たるキャンペーンなどを実施。また2500円以上お持ち帰りのお客様に、季節の果物プレゼントや、シャーベットの詰め放題などを企画・実行した。
 堅田店のもう一つの強みはチームワークのよさだ。マネジメントチームのミーティングは毎週実行。朝礼では社員と主婦パート中心にディスカッションやロールプレイングを実施。夕礼では若手アルバイトを中心にミーティングをおこなっている。
 P/A全員との面談も定期的に実施。プライベートでは一緒にカラオケやボーリングに行き、会食もする。仕事も遊びも熱心な、親分肌の中島店長だ。

 近ごろ最もうれしいと思うのは、No.2の部下が次々と店長に昇格していくことだという。強くて、優しくて、あたたかい店長だった。こうのようなパワフルな実力店長が、餃子の王将を支えているのだ。ありがとう、中島店長!