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売上前年比115%アップ、3つの理由

最近10か月の売上前年比は平均115%。すばらしい伸び率の理由を尋ねた。
1.呼び込み強化
名古屋駅構内のコンコースで、流動客に対して「お席空いてます、すぐご案内できます」「醤油らーめん、塩らーめん、台湾らーめんございます」と、大きな声で元気よく呼び込みをする。女性スタッフのAさんは声のすばらしさで有名。居酒屋の店長がスカウトにくるほどだという。
2.提供時間短縮
売上アップに最も貢献したのは、ピークタイムの商品提供時間の短縮だ。作業上の問題点の改善、マニュアル徹底の他、店長自ら率先垂範で作って見せ、スタッフの横についてスピード教育をした。また、オーダー受注時のホールからキッチンへの声がけも徹底。こうして、10分かかっていた提供時間が6分に短縮された。おかげで、これまで5回転だったランチが7.5回転に増えた。(すばらしい!)就活のため短期間休んでいたアルバイトは、そのスピードアップぶりにかなり驚いたそうだ。
3.ピークタイムの人員増加
1と2を徹底するために、ピーク時のホール人員を通常の4人から6人に増やした。うち1名は呼び込み担当として配置。ただし人件費を増やしたわけではない。アイドルタイムの人員調整やワークスケジュールのコントロールを的確におこなったのだ。結果的に、FLコストは65%から58%へと低下。商品開発も担当する田渕店長の、数字を操る見事な手腕だ。
駅構内にあるお店なので、ほとんどのお客様は時間に余裕がない。お急ぎの場合は4名のグループでも2名ずつ、またカップルでも1人ずつご案内することもあるという。もちろん席効率をアップさせるためでもある。(スゴいですね)
 ご案内方法にもワザがある。「あの席でよろしいですか?」ではなく、「あの席でしたらすぐにご案内できます」と、ポジティブな言い方をするのがポイント。また、駅なので荷物を抱えたお客様も多い。大きな荷物を置ける位置への気配りも必要。
田渕店長から、昨今の面白い傾向を伺った。男性客の場合、女性客3人との相席を嫌がる人が多いが、その逆はあまりない。女性のほうが、おいしいらーめんを早く食べたいという意志が明確らしい。

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田渕店長の、ちょっといい話

この店に異動する前の、一宮店での田渕店長のエピソードを紹介しよう。
オープンから閉店時まで、店長が呼び込みを続けていた時期があった。毎日大きな声で通行人にあいさつをしていたため顔なじみが増え、常連客になった人も多かったという。
そんな常連客の一人に若い女性がいた。週に3〜4回来店し、らーめん作りは店長ご指名のことも多かった。ある日、食べ終えた後で突然彼女が店長に話しかけた。「いつもお店の前で店長さんの明るい声を聞き、元気をいただいていました。夢を追いかけてこの地に来たけど、何度も負けそうになりました。でも店長さんの声がいつも私を励ましてくれたんです。明日、沖縄の実家に帰ることになりました。淋しいですけど、もう一度沖縄で一から頑張ります。今まで、おいしいらーめんと元気な声をありがとうございました」店長は胸が熱くなり、「私も淋しいです」としか答えられなかったそうだ。…小さなドラマだけれど、飲食店のすばらしさがしみじみと伝わってきた。
もう一つ素敵な話を紹介する。ある日、高校も専門学校も中退した女性がアルバイトの面接にやってきた。態度はぶっきらぼうだし、爪の色は派手でピアスも両耳にしっかり。髪も今日だけ一時的に黒くスプレーしてきたようだ。それでも店長は採用を決めた。この子がこの店で働くことによって変わるような気がしたからだ。
 初めてレジに立った時、お客様に「スープ、とてもおいしかったよ」と言われた彼女は、その言葉にじんときた。うれしくてたまらず、すぐさまキッチンに駆け込んで「スープがおいしかったと言われました!」と、泣きながら報告したのだ。
 店長はつい「あたりまえだろ」と答えてしまったのだが、彼女に「なぜそんなこと言うんですか? すごく嬉しかったのに!」と言われ、ハッとした。人に感謝されることの喜びを初めて体験した彼女の純粋な気持ちに、やっと気づいたのだ。この精神を絶対に失ってはいけない。店長は、それをあらためて彼女に教えられた気がした。
 彼女はそれ以来、お客様に喜ばれるための努力はもちろん、売上を上げるためのアテンドにも精を出すようになった。サジェストコンテストで頑張ったり、サンプルショーケースのディスプレイまでやるようになり、店に対する愛着心をどんどん高めていったそうだ。
田渕店長にとって一番うれしいのは、人との出会いや仕事を通じてP/Aの心が豊かになり、成長していくのを見ることだ。
田渕店長は「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」が言える限り、面接で不採用にはしない。やるかやらないかは本人に決めてもらう。採用が決まると両手で握手をするのだが、両手に力をこめて握手を返してくれる人は、たいてい長期間頑張ってくれるという。最近ではアルバイトマネジャーに面接・採用を任せ、責任を持って教育するよう指導している。

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P/Aアンケートで責任感アップ!

この店では、P/Aを対象とするユニークなアンケートを実施している。質問は次の通り。
@お店の売上を下げるには?
Aお客様が来ないお店にするには?
Bあなたの時給は本当ならいくら?(自己査定)
Cキッチンとホールと洗い場、どこをやりたい?
Dあなたの長所は?
Eあなたの短所は?
@とAは逆説的な問いで、たいてい「活気がない」「汚い」「提供時間が遅い」などの項目が記入される。「わかっているなら、そんな店になるのはやめよう」とわかりやすくアドバイスする。

この店では、P/Aを対象とするユニークなアンケートを実施している。質問は次の通り。
コミュニケーションも重要だ。月に1度、全員で会食をする。深夜だがみんな参加する。
モチベーションアップの仕組みとして面白いのは、最近全社体制で導入された「店長即賞」だ。お客様からスタッフがほめられたら、即500円のクオカードをプレゼント。田渕店長がこれまでに渡したのは、車イスのお客様に対する対応がすばらしかったスタッフ1名、ランチタイム過去最高売上(28万5千円、客数3320人)を記録した時に頑張った、ホールとキッチンのスタッフ各1名だ。
これからスーパーバイザーを経験し、将来はコンサルタントになるのが田渕店長の夢だという。現場ですばらしい実績を積み上げているのだから、必ず夢は実現しますよ。ありがとう、田渕店長!