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営業方針と採用ポイント

 山下店長は、大学時代に経営学部でホスピタリティを専攻。当時からすた丼が大好きだったことから、アントンワークスの飲食ベンチャー1期生(新卒第1期生)に応募し、入社した。
 山下店長の営業方針(あるべき営業の姿)は次の通り。
@チームワークが抜群で、店の雰囲気が良い
Aマニュアルではなく、P/Aの自主性を重視
Bお客様想いの行動ができるキーワードは「チームワーク」「コミュニケーション」「自主性」「楽しい」「お客さま想い」などだ。
 また、P/Aの採用ポイントは以下の4つ。
@第一印象(雰囲気)
Aやる気や表情
B仕事に対する誠実さ
C反応(レスポンス)の良さ
特にCを重視。的を射た反応が返ってくるかどうかをチェックしているという。

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ランクアップ制度&職人技

 すた丼は教育システムが整っている。アルバイトのランクアップ制度は、研修生→ファースト(アルバイト)→セカンド→サード→キャプテン→グレートアルバイターという6段階で構成され、キャプテン以上になると片番代行まで担当する。
 また、年4回の評価制度も稼働。モラル面では@身だしなみ、A意欲、B勤務態度、C店舗貢献度、Dエリア貢献度を、また技術面では@ホール、Aセットポジション、Bあおり、C売上意識、DQSSCA意識を、それぞれABCで段階評価し、ランクアップを決定する。
 「QSSCA」とは、Q=クオリティ、S=サニタリー、S=サービスC=クレンリネス、A=アトモスフィアのこと。また『あおり」とは、タレと豚バラ肉を絡ませたりする、キッチンの要のポジションのことで、店長か社員しか担当できないという鉄則がある。これは社長のこだわりでもある。例外的に一部のグレートアルバイターも可能だが、まだ全店で7名にしか許可が出ていない。タレの煮加減や絡ませる技こそが秘伝の味であり、すた丼の生命線であるからだ。
 山下店長がこのあおりを担当できたのは、入社後半年が経過してからのこと。日夜時間外で練習を続け、ようやく許可が出たという。味に対するこれだけのこだわりと職人技を持つ和食チェーンは、他に類を見ない。

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雰囲気アップで集団をリード

 山下店長は亀戸店に異動してからまだ間もないが、千葉富士見店ではグランドオープンを任され、4カ月で上司も認める優秀店に育て上げた実績を持つ。オープン前のトレーニングでは、P/Aたちの緊張感の少なさを懸念して、「もっと早く動け!」「ダラダラしてるんじゃない!」「こんな商品をお客様に出すのか!」などと、空気が凍るほどの厳しい言葉を連発した。
 「叱る」と「ほめる」の比率は7:3という山下店長だが、叱った後は必ずねぎらいの言葉をかけているそうだ。
 山下店長は日頃からP/A教育に力を注いでいる。特に効果が大きいのが、店長とP/A全員で共有する「店舗連絡ノート」だ。店長は今日の問題点や今後の課題を書き、P/Aは店長からの指示や教わったことなどを他の人に伝えたり、今月の目標などを書き込んでいく。毎日全員が記入する仕組みで、連絡の徹底にたいへん役立っている。
 中でも店長が繰り返し指示しているのは、伝説のすた丼屋のこだわりである@圧倒的なボリューム、A威勢の良い従業員、B変わらぬ味の、3つの基本だ。またP/Aの今月の目標例としては、「調理工程時間1分30秒」「セットのスピードアップ」「鍋洗い時間10秒」など、生産効率を上げるための時間短縮が多い。
 このようなきめ細かい指示やP/A自らの目標設定により、日毎にP/Aの自主性が育っていった。オープン当時からの女性アルバイトの一人は、当初は「ついていけない、辞めたい」と言い続けていたが、店長からの声掛けや仲間とのコミュニケーション、チームワークの良さでみるみる成長し、3カ月が経過した頃には仕事にやりがいを感じはじめ、自主的におすすめメニューのPOPを作成したり、リーダー的な役割まで果たすようになるほど、行動力が身についたという。(すばらしい!)
 千葉富士見店の強みは、元気がよくて勢いがあり、スタッフ同士気持ちのよい挨拶ができ、店の雰囲気がすばらしいことだ。店長のリーダーとしての重要な役割は、まさしくこのように、よい雰囲気を醸成して集団を導くことである。スタッフ一人ひとりの資質を引き出して活躍の場を提供し、店全体に共鳴現象を引き起こして、業績を向上させていきたいものだ。

コーチング店長

 山下店長は店舗オペレーションの最中に、P/Aによく質問をする。たとえば、@洗い場の作業をスピードアップするには? A手が空いたときは何をする? B料理の提供とご案内が同時に起きたらどうする?…等々だ。Bの場合、手の空いている人に頼んだり、お客様に一言お断りして待っていただくわけだが、答えを教えるのではなくP/Aがまず自分で考え、自主的に行動するよう導くのだ。
 相手が自ら考えて答えを出せるような質問をしたり、相手の話を聞いて、その人が目指す目標をより早くより多く達成できるようにサポートすることを、コーチングという。山下店長は、このようなコーチング技術を自然に身に付けているのだ。
 最後に、山下店長の夢を伺った。「以前の私は、決してやる気に満ちた人間じゃありませんでした。でもアントワークスに入社し、優秀な店長やエリアマネジャーから刺激を受け、鍛えられて、自分が変わっていったことを実感しています。だから将来は、自分が教育を担当して新人たちの夢を膨らませることができたらいいなと思っています」と、目を輝かせながら語ってくれた。
 すた丼が好きで、会社が大好きで、育ててくれた良き先輩たちや、サポートしていきたい後輩たちがいっぱいいる、若きフードサービスマンだった。目指せ、山下教育マネジャー!