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MS常時190点以上のポイント

 MSでいつも高得点を維持できるのはなぜだろう。そのポイントをお聞きしてみた。
(1)「とろろや」らしくあり続ける
「美味しくて笑顔あふれる居心地のよい店」、そして「親戚の家に来た時のように寛げる店」であること、つまり「相手を思いやる心」こそが「とろろやらしさ」である。このため、P/Aに対する「心の教育」に力を注いでいる。「すべての仕事に心をのせる」という言葉が、取材中何度も店長の口から出たのが印象的だった。
(2)チームワークの良さ
 取材に同席した森口女将は、「コミュニケーションとチームワークの素晴らしさ」「問題を先読みして先手を打つスピード感」が尾川店長の強みだと言う。
 尾川店長はいつもP/A全員に声がけしていて、スタンドミーティングがとても多い。朝礼、連絡ノート、社員ミーティング、ホールやキッチンメンバーでの少人数ディスカッション等々、いずれも実施している。また、相手がP/Aでもお客様の場合でも、素早く状況を察知して問題を未然に防ぐ。そういう能力があるのは実力店長の証だ。
(3)お客様アンケート有効活用
 とろろやではお客様アンケート調査を行い、結果を運営に役立てている。以下は内容の一例。
●本日「とろろや」に行こうと思った動機を教えてください。
●お店に入った第一印象を「一言」で表すと?
●本日接客をしたスタッフの笑顔・態度はいかがでしたか?名札をご覧になって名指しで叱ってください。ほめてやってください。
●本日の満足度 100%以内で。 □%
…などの設問がA4サイズの用紙の両面に設けられ、きたんのないご意見をいただいている。「笑顔が素晴らしい!」「スタッフ同士の会話やかけ声が心地良い」というコメントも多い。チームワークの良さがお客様に温かく伝わっているのだ。もちろん「こんなにおいしいぶりカマ食べたことがない」のように料理を称賛する声もいっぱいだ。
 満足度の平均点は、何と95%。120%などと書くお客様もいる。70%以下の評価は女将に報告する仕組みだが、お客様がお帰りになる前にそれに気付いた場合は、店長自らすみやかに対応する。店を出てしまったお客様は駐車場まで追っていくという。(この姿勢が素晴らしい!)

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スタッフ採用の基準

 以下は、尾川店長の採用基準。
@第一印象の良さ(笑顔、声)
A店で働く姿が想像できる
B素頭の良さ
 Aは一緒に楽しく働けそうか、とろろやらしさの演出に貢献してくれそうか…等をイメージできる人材かどうか見極めるという意味。Bは、質問に対して的確な答えやウィットに富んだ反応が返ってくるかどうかを見る。採用率は3割。狭き門だが社員もP/Aも定着率は極めて高い。

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小さな改善でコツコツと進化

 店舗運営全般において気を付けていることを伺った。
@小さな改善の連続
 前回の来店時と比べてほんの少しでも変化があると、お客様は新鮮な印象を受ける。おすすめメニューが変わった、POPやバナーが新しくなった、器がお洒落になったなど、どんなことでもいい。小さな改善(マイナーチェンジ)の連続が、お客様にはちょっぴり嬉しい。飽きさせない工夫がリピーターづくりへと繋がっていく。 A問題はその日のうちに解決
 前述したように、尾川店長は問題が起こる前に手を打つ。万が一起こってしまった場合は、その日のうちに解決。徹底したスピーディーぶりだ。すぐに社員やP/Aと話し合って結論を出し、連絡ノートや日報に書き込んで全員への徹底を図る。
 この店では、基本的にP/Aに権限委譲をしている。ボトムアップしやすい、風通しの良い風土づくりを進めているため、店長が細かく指示せずとも、全員が問題解決のためすみやかに動く体制ができている。

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とろろやのちょっといい話

 常連客の一人が一昨年関東へ引っ越しすることになり、その前日に来店して名残りを惜しみつつ去っていった。それから半年後、少し大きくなったお子様を連れて再び来店。以来、里帰りのたびに必ず訪れるそうだ。(とろろやのおいしい食事だけでなく、店長に会うのも楽しみなんだと思いますよ!)
 もう一つ、ほっこりする話。家族でよく来店していたお客様が、法事でご利用とのこと。とろろやが好きだったおばあちゃんを偲んで、この店で法事をすることにしたという。「おばあちゃんはここのお料理が大好きでした。今日は本当によかった。ありがとう」とお礼を言われ、店長もありがたい気持ちでいっぱいになったそうだ。
 こういう話を聞くと、飲食店は本当に素晴らしいと改めて実感。地域の人々に愛されて20年のとろろやは、景気に左右されることなく繁盛を続けている。

部下が売上ナンバーワンの店長に!

 最後に、嬉しいと思った最近の出来事をお聞きした。
 仕事ができるとはお世辞にも言いがたかった部下社員が、昇進面で同期の女性に抜かれてショックを受け、店長のところへ「なぜ自分は主任になれないのか」と直談判に来た。3時間かけてじっくり話したそうだ。
 「主任というポジションを意識し、それにふさわしい働きをすれば主任になれる」という店長のアドバイスによって、彼にスイッチが入った。それ以来彼は教育面にも、原価や人件費などの経営面にも積極的に関わるようになり、今では名古屋ラシックを切り盛りする売上ナンバーワン店長として活躍している。(スゴイですね!)

 尾川店長の人間性(EQ)が素晴らしいから、チームワーク抜群の店になり、従業員満足度が高まって、その結果顧客満足度が向上し、繁盛店になる。このプラスの循環の大元は店長だ。店に対する店長の「愛着心」が強いがゆえに、卓越した店づくりができるのだ。サービスとは「愛情」のことだと、再確認させられた。
 浜松に「とろろや」という名店があります。ぜひお立ち寄りください。ありがとう、尾川店長!