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増益増収の理由

 好調をキープしているのは、次のような理由からだ。
@ドリンク比率80%で低単価(客単価1500円)
Aハッピーアワー設定で(19時までカクテル半額)客数増加
Bメンバーズカードの推進強化
Cキャッシュ・オン・デリバリー(セルフサービス)の定着
Dサッカー人気が追い風。
特に、ビジネスマンたちの宴会前の集合場所として、また気の合う仲間との二次会の場として、頻繁に利用されている。
 ドリンクのベスト3は生ビール、ジントニック、ハブエール。人気フードはフィッシュ&チップス(580円)、ローストビーフ(580円)、ジャケットポテト(290円)。手軽に楽しめる低価格がうれしい。

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売上2年連続110%、3つのポイント
 渋谷2号店の売上は、2年前に神谷店長が異動してくるや、たちまち110%に伸びた。ワールドカップ開催という外部要因もあったが、それは数日間のことだ。その後も好調を保ち、今年の5月には一昨年12月の売上を超える最高売上を記録するほど、伸び続けている。そのポイントを3つ挙げよう。
@売り子が店内でショット販売
1杯500円のショットを中心に店内を回って販売。最高の笑顔でフレンドリーなサービスを提供し、店内を活気づける。週末には120〜150杯(6〜7万円)も売れ、渋谷店の大きな武器となっている。売れ行きがよくなくても落ち込まない、タフなベテランスタッフを配しているのがミソだという。
Aメンバーズカード入会増加
5%オフやポイントプレミアム等の特典があるメンバーズカードのお勧めを徹底。会員による売上は全体の30%を占め、基礎売上を形成。週4日以上来店する会員が50人以上もいるのだ。特にハッピーアワー(16時〜19時)の売上が著しく伸びている。
Bチームワーク抜群
 渋谷2号店には、店長不在時でも自ら積極的に考えて行動するクルー(アルバイトスタッフ)が多い。仕事に対する一人ひとりの意識が高く、チームワークもすばらしい。13年勤続の女性トレーナーもいるほど定着率も高い。店長にとって最も大切な業務はチームワークの醸成とスタッフの意識向上だが、この店ではいずれもうまくいっている。

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みんなで決めたことは必ず実践

 新人の採用率はわずか1割だ。時給は900円と普通だが応募は多く、今月は30人面接して2人採用。ポイントは以下の通り。 @第一印象
A自然な笑顔
BHUBで働く姿が想像できる
即戦力となる能力の高さを求める、厳しい採用率だ。
 店長方針は「活気ある店づくり」。HUBのスタンダードステージ(笑顔、声出し、アイコンタクト、挨拶)が徹底できるよう、繰り返し指導している。
 HUBにはクルーのランクアップ制度があり、ステージ1〜5が設けられている(それぞれホール、レジ、カウンター、キッチンの項目あり)。最上位のトレーナーになると、教育担当としての手当てまでつく。ステージごとにバッジが用意され、ランクが上がるたびにバッジが増えて、モチベーションも上がる仕組みになっている。
 神谷店長が教育上最も重視しているのは、月1回の全体ミーティングだ。深夜2時間、ほぼ全員が集まり、連絡事項や売上状況などの情報を共有化した後、3班に分かれてディスカッションする。テーマは「お客様に再度来店してもらうには?」「キャンペーン商品の拡販方法は?」という具体的なもの。ディスカッション後に3班が発表し、全員で決定する。みんなで決めたことは必ずみんなで実践するのがポイント。いつもいいアイデアが出るし、自分たちで考えたことだから実行力も極めて高い。店長からのトップダウンではなく、クルーからのボトムアップがいかに大切かが分かる好例だ。
 神谷店長はまた、コミュニケーションを一層強化するために、朝礼、コミュニケーションノート、連絡ノート、カウンセリングもしっかり行い、飲み会も充実(!)させているそうだ。

店長感激!「天使のサイクル」

 笑顔と声がすばらしく、一生懸命仕事し、積極的に学ぶ姿勢も持っている女性クルーがいる。カウンセリングの際、神谷店長は彼女に「どうしていつも笑顔でいられるの?」と聞いてみた。すると彼女は「私は楽しく働きたい。お客様の笑顔を見ると私も嬉しくなる。だからこそ、まずは自分が笑顔でいることが大切。ずっと笑顔でお客様と接していたい」と答えた。店長は、彼女が店のことを真剣に考えてくれていることに感激した。
 この背景には昨年3月の大震災がある。震災後しばらくの間、お客様も減ってクルーにも十分にシフトインしてもらえない状態が続いた。おかげで、お客様から笑顔をもらうことで自分たちが日々いかに励まされているかを、誰もが実感したのだ。笑顔のキャッチボールによってみんなが楽しく幸せな気持ちになることを、私は「天使のサイクル」と呼ぶ。読者の皆さんも天使のサイクルを循環させて、笑顔あふれる店づくりを目指そう。

店舗運営上の気遣い

 店舗を運営する上で神谷店長が日頃から気を遣っているのは、@ニーズに合ったBGM(客層、スロータイムやピークタイム)、Aノリのよいフレンドリーな接客、Bお客様と従業員の距離感の近さなど。お客様に楽しんでもらうことが第一なのだ。テーブルが満席になると、「スタンディングになります。楽しんでください!」と言って案内する。
 また、商品の品質維持にもこだわる。190円のジントニックでも定期的に技術講習を実施。
 最も配慮しているのはクルー教育。ほめると叱るのバランスが8:2の典型的な「ほめる派」だ。最近ではベテランのクルーが後輩を注意したり叱ったりしてくれる。クルー同士が何でも言い合える環境ができているので、店長はフォローするだけでいいのだ。また、クルーに「これについてどう思う?」と質問し、自分で考えて実行させるコーチング手法も用いている。
 将来的には、本社の営業企画部でキャンペーン等の企画に携わりたいという神谷店長。チームワーク抜群で、全体ミーティングをうまく活用し、自立型スタッフを養成している実力店長だ。ありがとう、神谷店長!