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坪売上80万円、4つのポイント

  中目黒店は、オープン当初は月商800万円だった。メディアで取り上げられることが増え、現在は1200万円にまで拡大。いつも行列のできる店となった。予約半分、フリー半分で、予約は2週間以上前でないと取れない状況だ。
 土日は5時オープンから12時まで満席状態が続く。このため100m離れた場所に50席の中目黒店別館をオープンさせたが、ここも月商1600万円と絶好調だ。(これはスゴイ!)
 以下が繁盛のポイントである。
1 超看板メニューの魅力
 「はみ出るカルビ」1500円の原価は何と80%。ツイッターやフェイスブック、ブログなどで次々と紹介され、口コミ効果バツグンの商品である。(ちなみにトータルな原価は30%)
2 スタッフがフレンドリー
 スタッフが焼肉を焼きながら、肉の部位や店のコンセプトを説明したり、お客様の来店動機を尋ねるなど、フレンドリーに話しかける。会話の弾む楽しい雰囲気も、ふたごの強みの一つ。「幻のハラミ」「半殺しキムチ」といった、面白いメニュー名の話題で盛り上がったりもするのだ。
3 常連客が増え続ける
 お客様は10回以上来店すると、ゴールドクラブカードが発行されネーム入りのゴールドトングがもらえる。ゴールドクラブになればふたご祭へ招待、ファーストドリンク無料、食後のヨーグルトサイズアップ、覆面調査員としてコメントできるなどの特典が得られる。常連客ほどトクをするシステムだ。
 常連客を増やすことで新規客の拡大を図ることも重要。新規の4人グループが料理やサービスに感動し、4人がそれぞれ新たな4人グループを紹介すれば、お客様が16人増えることになる。同じようにして64人、256人と、お客様が増えていくのだ。
4 抜群のチームワーク
 小野店長はスタッフを信頼し、「看板メニューはスタッフです」と言い切る。店長はスタッフに愛情を注いでおり、チームワークは抜群。それが店の空気をすばらしいものにし、お客様を一層心地よくさせている。スタッフの誕生日にお客様からケーキが届いたり、出張先からのお土産をいただいたりする店なのだ。
 そもそも株式会社ふたごには、スタッフをねぎらうユニークな仕組みが多い。親孝行手当ては「生んでくれてありがとう」という手紙を添えて1万円相当の品を親に贈るもの。配偶者には誕生日にはカタログギフトを贈る。大いに盛り上がるのは、1等70万円、2等50万円、3等30万円、ハズレでも1万円が当たる決算宝くじだ。
5 ローコストの店づくりで高級サービス
 店構えは決して高級ではないが、グレードの高いサービスにより、ファンが増え続けている。
 例えばトイレから戻ったお客様にはおしぼりを提供。2時間制のため必ずラストオーダーを伺う。最後にヨーグルトドリンクをサービスし、お茶とおしぼりも改めて提供するなど、きめ細かいサービスを心がけている。

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優れたP/Aを育てるのは優れた店長

@抜群のチームワーク
 この店はP/Aのやる気や責任感やロイヤリティーが非常に高い。自分が休みの日でも、悪天候を心配して「今日の営業はどうでした?」と連絡を入れるP/Aがいるほどだ。もちろん定着率も高い。小野店長はその理由を次のように5つ挙げた。
@店長が先頭に立って一生懸命働く
AP/Aが一番大切だと考える
B礼儀・礼節・規律を重んじる
C常にP/Aに声をかけてコミュニケーションを図る
Dすべて店長が責任を負う姿勢

 最近、スタッフが肉を焼いているとき油が飛び跳ねてお客様に迷惑をおかけするアクシデントが起きたが、店長のすみやかで適切な対応により大事には至らなかった。スタッフはこのような店長の姿勢と行動を常に間近で見て、学んでいる。
 P/A300人に理想の店長像を聞いたデータがある。理想とされたのは以下の内容だ。
@忙しいときにイライラしない
A尊敬できる
Bトラブル時に冷静に判断できる
Cコミュニケーションを図ってくれる
D仕事ができる
E自分の非を認める
F差別しない
小野店長はこれらすべてを満たしているようで、人間的にたいへん優れた店長だと実感する。

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ポジティブ、かつきめ細やかに

 ふたごでは本部にて新人教育が4日間行われる。新人はその後、各店に配属される。彼らは基本的な商品知識や動作、接客用語などをすでに学んでいるため、店長は次のステップから指導することができる。
 ランクアップ制度も稼働。トレーニーからスタートし、レア、ミディアム、ウェルダンとアップ。ネーミングもユニークだ。ウェルダンは店長代行が可能で、時給は1500円になる。
 売上が低迷した場合。多くの企業は人件費の削減を考える。だがふたごでは、人件費を投入してQSCレベルを上げることで売上向上を図るという、超ポジティブな策を取る。攻めの営業に徹する企業なのだ。
 小野店長が最近取り組んでいるのは、「客席回転率を上げながら、リピーターを増やすこと」。ふたごは2時間制である。2時間という限られた時間の中で、最大の満足と感動をお客様に味わっていただき、再来店を促さなければならない。時には、食べ過ぎかもしれないお客様に対し、料理を止めることもある。一見お客様の意に反するようだが、実はお客様の気持ちを先読みしてのこと。食べ残した場合の罪悪感を和らげるよう、さりげなく気を配っている。このような配慮を、きめ細やかに、かつ積極的に行うことが、リピーター増につながっていく。
 最後に、将来の目標を小野店長にお聞きした。「焼肉・ホルモン ふたごが、5年後に100店舗を達成することです。私自身はあまり表に出ず、生涯現場で頑張って、会社の発展のために尽くしていきたい」とのこと。年齢こそ若いが、まるで高倉健のようにいぶし銀の魅力を感じさせる実力店長だった。
 情熱の塊のような企業だから、遠からず必ず100店舗を達成できると思いますよ!