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売上前年比128%の理由

 セコンダバンビーナがなぜこれほど売上を伸ばしてきたのか、その理由を渡邊店長に伺った。
1.常連客の増加
オープン2年目で認知度がアップしたことも手伝ってか、常連客が増えた。主な客層はオフィスワーカーで、仕事帰りに寄る人が多く、男性と女性の比率は4:6だ。店長が認識する常連客は300人以上。月に20日来店する超常連客もいる。売上の5割が常連客で構成されている。
2.メニューの進化
旬の食材を使った季節メニューを毎日10品以上、日替わりメニューとして提供。ファサードのブラックボードにも記入される。これが、毎日来店しても飽きない理由の一つだ。また、ランチはピザもパスタも大盛り料金無料に。さらに、お客様との会話から要望を聞いて新メニューに反映させるなど、メニューをどんどん進化させている。
3.お客様との距離感の近さ
店のイメージはカジュアル・イタリアン。「チャオ」「ボナセーラ(こんばんは)」と気軽なあいさつが飛び交う。店長はいつもお客様に気さくに声をかける。「今日のピッツァメニューはいかがでしたか?」と尋ねて「とてもおいしかった」という声が返ってきたら、すぐにピッツァ職人を呼んで名刺交換と会話のお膳立てをする。店長が料理人やピッツァ職人やホールスタッフをお客様に紹介するのは、スタッフ全員のお客様だという気持ちがあるからだ。この店ではアルバイトも全員名刺を持っていて、いつでもフレンドリーな会話をする心構えでいる。だから店長の不在時でも、お客様がガッカリすることはない。会話は1分程度。「もう少し話したいとお客様に思ってもらえることが大切です」と店長。常連客は、常連客ならではの会話を求めているのだ。
4.抜群のチームワーク
チームワークがよく、スムーズな連携が自慢のセコンダバンビーナ。ホールが混んでいる時は料理人も料理を提供する。ピッツァ職人がピッツァを運んでくれて、さらに説明までしてくれたら、お客様にはよりおいしく感じることだろう。電話の場合も、3コール以内にホールスタッフが出られなければ料理人が対応する。「まかないの食事の時間に、いつも自由な意見交換や軽いディスカッションをしていているんです。チームワークがこんなにいいのは、日頃から言いたいことを言い合える環境があるからでしょう」と渡邊店長は語る。

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ピークタイムの店長の仕事は?

 常連客を増やし続けている渡邊店長だから、大勢のお客様でごった返すピークタイムには、さぞかし奔走していることだろうと思い、どうやって乗り切っているか伺ってみた。
 すると意外なことに「ピークタイムには、スタッフのサポート以外、あえて何もしません」という答えが返ってきた。「店舗全体を見ているだけ」そして「お客様と楽しく会話しているだけ」だという。これぞ店長のあるべき姿だろう。
 では、ピークタイムに渡邊店長はどんなところを「見ている」のだろう?
@お客様の表情、仕草
Aスタッフの動き、表情
B取り皿、グラス、銀器の先読み
C料理、盛りつけのチェック
D全体の流れと入口周辺の状況
ぜひ参考にしていただきたい。

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お客様は家族や恋人

 渡邊店長は、以下の3つをアルバイトの採用基準としている。
@笑顔が明るくて自然
A清潔感がある
B個性が強い
 Bは、これまで取材してきた実力店長たちからはあまり出なかった基準だ。渡邊店長は「個性が強すぎて他の店ではうまく行かなかった人でも、この店なら個性を活かして活躍することができます」と言う。教育熱心でリーダーシップがあり、スタッフの個性を引き出して輝かせることができる自信があるからこそ、言える言葉である。
 「家族や恋人をもてなす気持ちで、すべてのお客様と接する」…これが店長の営業方針である。大切な人のためなら、心から喜んでもらえるおもてなしをしたいと願うし、より温かく親密に接したいと思うはずだ。
 セコンダバンビーナでは、誕生会などの記念日や、女子会などのお楽しみはもちろん、プロポーズといったスペシャルな席も多い。それぞれのシチュエーションにぴったりの音楽を流して雰囲気を演出する。また常連客が多いおかげか、お祝いが入ると他のお客様も気持ちを一つにし、店舗全体で盛り上がるという。たまたま隣り合ったお客様同士が、いつしかテーブルをくっつけて一緒に飲みはじめることも多い。この親しみやすさや温かさも、売上が伸び続けている要因の一つである。

 渡邊店長が嬉しいと思った最近の出来事は、複数店の統括店長になり、現場の声を会社のトップや幹部にダイレクトに言えるようになったこと。また各店の店長や社員に対して、会社の考えをきっちり伝えられるようになったことだ。
 そんな彼の夢は、フランチャイズを増やして活発に店舗展開していくことだという。
 家族的な雰囲気の中で、スタッフ一人ひとりの個性が光る…そこにこの店の強さを感じた。ありがとう、渡辺統括店長。これからも積極的に名駅エリアをリードしてください。