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売上前年比110%、店舗マネジメントNo.1、その要因

 西新井店は「売上予算達成率」「フード・レーバーコントロール」「QSC」「店舗目標」などの店舗マネジメント評価がトップクラスの店。周辺に焼肉店が10店舗以上あるにも関わらず、今期の売上前年比も110%と好調だ。瀧澤店長はその要因として次の3点を挙げている。
@常連客の増加
地域密着型店舗を目指しており、近隣からのリピーター率が非常に高い。店長は300人以上の常連客を認識。2回以上来店したお客様は全て覚えているという(すばらしい!)。店長が駅前を歩いているだけで、近所の商店の人や常連客からひんぱんに声をかけられる。P/Aリーダーも50人以上の常連客を覚えていて、お客様のほうから「いつもありがとう」と声がかかるそうだ。
Aチームワークの醸成
店長とP/Aのコミュニケーションが密で、チームワークも抜群なので、定着率がかなり高い。店長は少しでも時間があればP/Aとスタンドミーティングを行い、きめ細かく意思の疎通を図っている。店長がいつも愛情いっぱいでP/Aに接するため、店全体の雰囲気もたいへんよい。
B毎月のチラシ配布(販売促進)
毎月10〜15品目の半額キャンペーンを実施。その告知チラシを近隣で1万枚程度配布している。ポスティングも、P/Aが毎月800〜1000件ほど自主的におこなっている。

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新人採用と教育

 新人採用基準を店長に伺った。
@挨拶ができる、時間が守れる
時間厳守は必須。事前連絡なしに遅刻した場合は不採用。最初の挨拶がきちんとできること。
A積極性と自己PR力
積極的のみならず、自己PRのパフォーマンスができることも大切。長所や特技を発揮できる人はお客様との会話も弾むのだ。
B第一印象のよさと自然な笑顔
飲食店は第一印象が肝心。スタッフの印象で牛繁の評価が決まると言って過言ではない。自然な笑顔は確実に強みとなる。
 また、瀧澤店長は面接中にお客様のことを「客」と呼んだ人は採用しない。お客様を大切に思う気持ちに欠けるからだ。
 新人に対する基本的な教育は、店長自らマンツーマンで5日間かけて行う。内容はオリエンテーション、商品知識、ロールプレイング、盛り付け、レジなど。オペレーションの達人である店長の直接指導がベストなのはもちろんだが、複数のスタッフが教育することにより、スタンダード(基準)にバラツキが出るのを抑える意図もある。

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地域密着へのこだわりと気配り

 西新井店は、気配りが行き届いていることでお客様から高い評価を得ている。
 七輪の網をスタッフが素手で交換するのを見て「えーっ、熱くないの?」と驚きの声を上げるのは、初めてのお客様である。
(網が七輪より一回り大きいため素手で持つことが可能)このように、お客様をよく見ていれば新規客かどうかがわかる。まずはそこから、常連になっていただくためのサービスが始まる。
 たとえば、新規客が残したものをチェックし、2回目の来店時に「ネギがお嫌いでしたよね」と声をかければ、お客様は「よく気づいてくれたね」と驚く。お客様一人ひとりに対するこまやかなサービスを実感していただくのだ。(大事なことですね)
 常連客の多くは地域のお客様である。「日頃からお客様をよく見て個別のサービスに努めることで、リピーターを増やしたい。地域の人々の憩いの場にしたい」と、瀧澤店長は語る。
 気配りあふれるそのサービスには驚かされる。お客様の持ち物にまで目が届いているのだ。ディズニーランドのおみやげを手にしているお客様がいれば、「一日ハッピーに過ごされたお客様だから、最後もおいしい焼肉で、今日という日を最高に幸せな気分で締めくくっていただこう」と、スタッフを指導する。
 また、お客様がシューズショップの箱を持っていたら、後日来店したときの靴に注目。新しい靴だった場合、「先日お買い物された靴ですね」と話しかけるのだ。(こまやかですね!)
 瀧澤店長はこのように、お客様の背景をよく見てサービスすることをP/Aたちに徹底指導している。他の例も紹介しよう。
●女性客の髪型の変化にも気づいて、「カットされたんですね」などのひと言を忘れない。
●ビジネスマンの場合、誰と一緒に(上司、部下、同僚、顧客など)どんなシチュエーションで(仕事の打ち上げ、商談、祝い事など)来店したのかを考え、それぞれに合うサービスをする。
●子ども連れなら、「大きくなられましたね」といった声がけをする。お子様向けメニューのケアも必要。「スープはコショウ抜きで薄味にしましょうか」などの配慮も大切だ。
●汗を多くかくお客様には、おしぼりを多めに出す。またおしぼりが汚れているようなら、すぐに取り替える。
 お客様のことを常に気にかけること、これがサービスの基本である。外食はハレの日のイベントであり、非日常のスペシャルなひとときだ。かゆいところに手の届くような瀧澤店長の気配りが、牛繁での楽しい時間をいっそう特別なものにしている。P/Aたちは瀧澤店長の指導のもと、「気配りのできる人間」へと日々成長している。

牛繁ノートの徹底活用

 牛繁には「牛繁ノート」というものがある。教育用情報交換ノートで、本社への提出義務もある。その最初のページには「優れた店舗への第一歩は、店長によるこのノートの活用から始まります」と書かれている。記入すべき内容は以下の通り。
@本日の強化項目
A店長からの連絡・報告事項・(本日の予約)
Bスタッフから店長への一日の報告
C基本サービスのチェックリスト(全員チェック)
Dスタッフからの問題点・改善ポイント
E営業前点検・閉店後点検
F安全点検
 瀧澤店長はこのノートを適確に活用していることでも、社内トップクラスだ。「楽ではありませんが、毎日コツコツ書いて、継続していくことが重要。これを見ないと一日が始まらないと、スタッフも言います」とのこと。
 地域に根ざした小さな活動の積み重ねがとても大事であることを教えてくれた実力店長である。西新井の地域一番店を目指して、これからもがんばってください。ありがとう、瀧澤店長!