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坪売上45万円の繁盛ポイント

 杉下店長はこの店に異動する前のホルモン業態店舗において、MSR(覆面調査)で常に180点以上を獲得し続けた、サービスに強い店長だ。そんな強者店長に、坪売上45万円の繁盛ポイントを尋ねた。
@肉に特化した商品力
フード原価は43%。コストパフォーマンスの高い商品群が武器。
特にランチの和牛ランプステーキ(黒毛和牛)1029円はお値打ちだ。また気軽にワインを飲めることから女性客が60%以上。肉好き女子で大いに賑わっている。
A魅力を最大限に伝えるサービス
前沢牛のすばらしさや期待以上のバリューに自信を持ち、常に商品の魅力をアピールする接客を心がけている。
B強いチーム力
店長・社員・P/Aのチームワークは抜群。日頃のコミュニケーションと、朝礼・終礼・全体ミーティングを大事にしている。終礼では今日の目標に対して良かった点と悪かった点を発表し、次のテーマも考える。目標には「10人のお客様に笑顔になっていただく」「料理の感想をお客様に聞き、5人の方においしいと言っていただく」など、数字で表せるような具体性をもたせている。(すばらしい!)

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採用基準は「親に感謝できること」

 グランドオープン時のP/A採用率は30%(応募者50人中15人)。採用ポイントは以下の3点。
@素直で礼儀正しい人
あいさつがきちんとできる、時間が守れる、礼儀正しい振る舞いができることが基本。
A何かで頑張った人
たとえばスポーツに打ち込んだ、趣味を極めた、グループのリーダーを務めた等々、真剣に何かに取り組んだ人は責任感も強い。
B親に感謝できる人
「ご両親のことが好きですか?」と尋ねて「大好きです」と答える人は、親への感謝の心を持っている人だ。感謝の気持ちがある人はサービス業向きである。

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P/A教育の留意点

 杉下店長はP/A教育に熱心だ。日頃から気をつけている教育のポイントは次の通り。
@客席回転率に集中させる
22坪60席の店なので、回転率が重要となる。1日150人来店すれば2回転半。満席状態が続くことになる。お客様への配慮が不十分だと、このような回転数は維持できない。2時間制であることを予約時に丁寧に説明する、ラストオーダー時のサジェストに力を入れるなどを、全スタッフに徹底させている。また、お見送り時には必ず「料理はいかがでしたか?」などの言葉掛けをするよう指導している。
Aスタッフにも経営者感覚を
スタッフ一人ひとりが経営者感覚を身に付け、全員で経営に取り組むよう指導。前述の「目標を数値で表す」のもその一例だ。それを応援する様々な目標達成賞が用意されている。
(1)売上・原価・人件費の目標が達成できたら店舗に対し2万円(飲みにケーション費)。
(2)今月の目標売上が達成できたら時給50円アップ。
(3)日商38万円を達成できたら大入り手当(P/A1000円、社員5000円)。22時以(ラストオーダー)のワイン追加やデザートおすすめに、全員の力が入る。入口で立ち止まる通行人に「いかがですか?」と大きな声で呼びかけたりもするのだ。(いいですね)
BLINEと全体ミーティング
杉下店長は1日置きにLINEで全員に目標達成率、新商品、改善点などをメールしている。誰がいつ読んだかも確認できる。活躍したスタッフやお客様からほめられたスタッフもLINEで紹介。全員が読むので、本人のモチベーションも上がる。また、全体ミーティングは今月の目標と進捗状況を発表する場。MSRでの反省や改善点を話し合う場としても活用している。
Cほめると叱るのバランスは8:2
「主語はすべてお客様」、杉下店 長が常に言い続けている言葉だ。いつでもお客様のためにとびっきりの笑顔でいることが大切。スタッフが私的な理由で不調でもお客様には関係ない。笑顔がない、声が小さい、身だしなみが悪いなどは、どんな場合でも許されない。「お客様に集中しなさい」と、叱る時は厳しく叱る。だがほめることも忘れない。日々成長していることに焦点を当て、「先日言ったことができているね」と具体的にほめる。また給料明細書には、一人ひとりへのコメントを記した「ありがとうカード」を添えている。

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「店長、大好きです!」

 リーダーシップとは統率力や指導力ではなく影響力だといわれる。杉下店長の影響力は大きい。最初は飲食店への関心が薄かった学生が入社するに至ったり、大手企業に就職した人がアルバイト時代の経験が就活に役立ったと報告に来たりする。
 そんな強いリーダーシップを持つ杉下店長に、最近うれしい出来事があった。
 本部でアルバイトリーダー研修があり、「感謝」をテーマに話し合いが行われたのだが、その際にアルバイトリーダーから手紙をもらったという。そこには「オープン時はそのことだけでいっぱいいっぱいでしたが、杉下店長の指導のおかげで私自身がとても成長できたと思います。ありがとうございます。店長、大好きです!」と書かれていた。
厳しく指導してきたリーダーだけに本当にうれしかったそうだ。
 杉下店長は地域一番店になることを目指している。「名古屋でナンバーワンの肉を食べさせる店」が店長方針だ。そんな彼の夢は、味和居ダイニングのブランドで海外出店し、グローバルなステージで活躍すること。趣味は海外旅行。アジアの国々の食文化を研究するため、休日は海外へ行くことが多い。
 夢が叶う日は近いと思うよ。頑張れ、杉下店長!