岩谷店長は、米国の大学のホスピタリティマネジメント学科を卒業後、物語コーポレーションに入社。入社5年目、店長経験1年半でありながら、主力店の府中店を任されている。異動前の梅島店ではチームワーク抜群の店で、最高月商記録を達成し、その手腕を買われて府中店に配属されたのだ。異動後の売上前年比は7月102%、8月109%、9月109%、10月111%、11月114%で、12月も115%を上回って更新中である。(見事ですね!)伸ばし続けている要因を伺った。
@再来店を促すサービスの徹底
焼肉きんぐには、サービス向上のためのサービスレシピと行動基準がある。たとえば、
・玄関へは素早くとびっきりの笑顔でお出迎えします。
・1秒でも早くお客様のもとに料理をお届けします。
・凍った肉は絶対に提供しません。
・チームワークを意識して、キラキラなアイコンタクトで仲間と連携をはかります。
などの30項目があり、これらを全スタッフが徹底することで、お客様の再来店を促している。
A客席回転率を上げる営業力
焼肉きんぐは時間制(100分)の食べ放題。制限時間30分前に追加注文の声がけやデザートのお勧めをする。この最後の声がけでお客様に時間を意識していただくことにより、入替をスムーズにして回転率を上げる。
また6時の予約が希望のお客様には5時や5時半、8時希望なら8時半や9時をお勧めして、その間の時間を空ける。(7時からのピークには予約がなくてもウェイティング状態となる)
こうして5時〜7時、7時〜9時、9時〜11時の3回転を目標に、客席回転率を上げている。
B先輩が後輩を教える社風
府中店では毎日の朝礼で、売上だけでなく全店における順位や1位との差なども発表。トップクラスの店で働いているという誇りも全員で共有しているのだ。先輩が後輩を教える文化が根付いており、店長も日頃から「仲間意識を高め、チームとして頑張ろう」と、サポートし合う姿勢を奨励している。
コール&レスポンスも徹底。「1番様、行きます」という料理を運ぶ声が上がれば、全員で「お願いします」「ハイよ!」と答える。これが、店内の活気ある雰囲気づくりやチームワーク向上につながっている。
C63人全員の個人目標を毎月設定
今回の取材で最も驚いたのは、63人のスタッフ全員の能力アップのために、岩谷店長が毎月個別に目標を設定していることだ。
・3000円、3500円コースのお勧めで客単価を上げよう
・提供スピードが遅れないよう、しっかりフォローしよう
・新人のトレーニングをしっかりやろう
・その笑顔をみんなに広めよう
…というように、目標は一人ひとり違う。本人のレベルを見ながら、来月はこうなってほしいという店長の想いを込めつつ、1カ月で達成できそうな目標を与えているのだ。こうして全体のレベルが向上していく。
「全員の能力がわかっていないとできないことですね」と私が言うと、「僕の仕事のほとんどは人間観察です」との答え。「スタッフがどんな気持ちで働いていて、何ができて何ができないか、何をしたいと思っているのか、すべて把握しています」と言う。店長のみならず先輩スタッフも後輩の目標を掌握していて、ちゃんとフォローしてくれるという。(すばらしい!)
上司にとって重要なのは、部下に対して「君が次にやるべきことはこれだよ」と言えることだ。
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