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売上向上3つの要因(売上前年比105〜110%)

 今期の売上は前年比105〜110%アップと好調で、数値管理もコントロールでき、黒字に転換。その要因を伺った。
1.商品力向上(スタンダードの徹底)
 豚の熟成管理と適正在庫のコントロール、商品のバラツキのなさを徹底追求。また商品の試食(ごはん、みそ汁、キャベツ、お新香)を毎朝一番に実施。商品力アップに集中した。
2.ホール・オペレーション力の強化
 これまでは新規客への対応が常連客に対するよりも不十分であったと考え、いつでもどこでも誰に対しても、しっかりとしたサービスを行うことに徹した。土日のピーク時は役割分担を明確にして臨んだ。
 「各ポジションの仕事をこなすだけでなく、個性とホスピタリティがプラスされれば完璧です」と、石塚店長は語る。
3.店舗目標の共有化とチームワークの向上
 野田店には今期と今月の明確な目標がある。今期のテーマは「黒字化」で、サブテーマは「スタッフが誇れる店」。これがさらに3つの目標に分けられる。
@働く仲間からありがとうと言っていただける組織づくり
Aお客様からありがとうと言っていただけるサービス
Bお客様からありがとうと言っていただける商品力
このうちのAをスタッフの立場で考えると、「野田店で一番いい笑顔で親切な接客をしよう」という具体的な目標が浮上する。これをさらに細分化し、今月の目標として次の項目を掲げる。
@ピーク時の表情、笑顔の徹底
A提供時間15分厳守
Bお客様サービスの巡回強化
Cとんスキ定食のおすすめ徹底
この目標を朝礼やミーティングで共有化し、実践していくのだ。
 ちなみに取材にあたり、事前に12項目の質問を店長にメールしておいた。その中に「野田店の強みは?」という項目がある。石塚店長がスタッフみんなにこの質問を投げかけてみたところ、全員が「チームワークのよさ」と答えたそうだ。(すばらしいですね!)

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お客様のどんな要望にも応える姿勢

 上記の3つの要因に加えて、「お客様のどんなご要望にもお応えする」というとんQの方針を徹底して実践したことも、売上アップにつながっている。
 とんQのテーブルには、それを具体的に示したPOPが置かれている。一部を紹介しよう。
●とんかつを細かくカットしてほしい
●ごはん・キャベツ・からしの量を調整してほしい
●アレルギーなので卵を使わないでほしい
●ロースの脂身の量を調整してほしい
●食べきれなかったものをテイクアウトしたい
●苦手な具材を抜いてほしい
このような要望にきめ細かく確実に応えていくことが、お客様の信頼を高め、リピーターを増やしていくことになるのだ。

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面接には「笑顔を持ってきて!」

 石塚店長の「P/Aの採用基準」は次の通り。
@素直(人の話を素直に聞ける)
A誠実(聞いたことをすぐやれる)
B笑顔(最高の笑顔がすぐ出せる)
応募者からの「面接当日に持参すべきものはありますか?」という問合せに対し、石塚店長は「笑顔を持ってきてください」と答えるそうだ。(いいですね)
 持ってきてほしいのは、その人の最高の笑顔である。面接の際にはとびっきりの笑顔を見せてもらい、店長はそれをチェックする。もちろん店長も、最高の笑顔で応じるのだ。
 オリエンテーションと1週間の初期教育はほとんど店長自ら行う。その後はベテランに任せるが、進捗状況は随時確認する。
 とんQのランクアップ制度は明確で、テーブルPOPにも明示されている。新人レベル→初心者レベル→標準レベル→安心レベル→感動レベル→プロレベルと、6段階に設定され、時給も上昇していく。たとえば感動レベルについては、お客様へのメッセージの中で、次のように説明している。「感動レベルとは……安心かつご満足いただけるよう日々精進しております。お客様とのコミュニケーションをはかれたらと思います。元気・笑顔・慎重・誠意プラス店の顔といわれる私が、とんQの看板娘(息子)です」
 ランクが1つ上がった時のスタッフの喜びは大きいと、石塚店長は言う。お客様にもレベルが分かる仕組みなので、それを話題に会話が始まることも多い。

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スタッフのスタンプラリー(モチベーションアップの仕組み)

 とんQにはスタッフのためのスタンプラリーがある。スタッフの退勤時、1出勤に対し1個、店長がカードにスタンプを押す。100個貯まれば1000円の割引券がもらえるのだ。モチベーションを上げる優れた仕組みである。また次のような場合には、ボーナスポイントとして2〜3個スタンプが押される。
@欠員時に出勤した
Aスケジューリング困難時にシフトインした
B元気に感じよくお出迎え・お見送りの挨拶ができた
C自らお客様と会話ができた
Dおすすめ商品を積極的にセールス・販売した
Eお客様からおほめの言葉をいただいた
F困っている仲間を助けた
G満面の笑顔でお客様と接した
H店舗問題点の改善提案をした
I率先して店舗の掃除をした
「お疲れさま」だけでスタッフを帰さず、毎日きちんと評価し、店長の感謝の気持ちも伝えていくことが大事なのだ。(読者の皆さんも参考に!)
 またお客様に対する販促システムも稼働。スタンプ3回カード→ブロンズカード→ゴールドとステップアップする仕組みや、携帯会員(3000人)への店長からのニュースレター(キャンペーンや季節のおすすめメニュー告知)などだ。その他、ブラックボードのデザインやお弁当サンプルなど、随所に工夫を凝らしている企業である。

 石塚店長の3年後の目標を伺った。実に明確だ。
@つくば本店で結果を出し、SVになっている
A店長を育成できる力を身につけている
B東京出店・海外出店事業を任されている
目標は実現します。頑張れ、石塚店長!