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坪売上60万円、繁盛の要因

 ダンダダン6店舗を統括する伊藤上級店長の店長方針は「おいしい餃子を核として、元気・活気ある店づくり」。現在は下北沢店をFCのモデル店舗として位置付け、仕組みづくり(標準化)をおこなっている。
 下北沢店の繁盛の要因は、次の4点だ。
@ブランド力向上
京王線沿いに6店舗目。この地域での認知度が上がり、「おいしい餃子の店」として定着してきた。またテレビや雑誌などでパブリシティとして紹介され、ブランド力も向上している。
A幅広い客層
客層が幅広く、女性客も4割。テイクアウト売上も月間130万円。今までにありそうで実はなかった餃子専門店なのだ。
B入りやすいファサード
「肉汁餃子製作所」の看板が食欲をそそる。「餃子とビールは文化です」という置看板もいい。オープンキッチン、お持ち帰り窓口、元気いっぱいの声が、敷居が低くて入りやすい雰囲気を醸し出している。
C挨拶・声出し・笑顔の徹底
「100%元気・活気がすばらしい」と覆面調査でも記入される店。声を出すことによってスタッフのテンションがどんどん上がるのだ。

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スタッフの“元気”教育

 元気いっぱいの声出しについて、伊藤上級店長は次のような目的でスタッフを教育している。
@店内に活気を生む
活気ある所に人は集まる。繁盛店は常に活気に満ちている。
Aスタッフのプロ意識を高める
ダンダダンの制服を着ている限り、お客様にとっては店長もアルバイトも同じ。全員プロフェッショナルである。
B他店との差別化を図る
他の飲食店よりも声出しがしっかりできていれば、お客様は当店を選んでくれる。
C店への入りやすさを促す
店の外までかけ声が響けば、通行人が気づいて「元気のいい店だな、入ろう」「次回はこの店にしよう」と思ってくれる。

13年前の常連客

 伊藤店長は昨年、ダンダダン酒場・永福町店のオープンに携わった。その時、「らーめん虎ジ」の人ですよね!」と何度も声がかかった。13年前にオープンした、NATTY SWANKYの1号店である浜田山・虎ジのお客様が来店したのだ。1人や2人ではない。何十組ものお客様である。おかげで伊藤店長も、常連客だった皆さんのことを思い出した。浜田山・虎ジは小さな店で、当時は田中代表が店長を務めていた。街に永く愛される店を目指す企業ならではのエピソードである。

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育てたアルバイトが社員に

 伊藤店長は今年度、とてもうれしいスタートを切ることができた。彼が初めて面接し、採用したアルバイトが、4年間働いた末、社員になりたいと望んで3人も入社したのだ。
 泣いて笑ってほめて叱って、4年間を共に過ごしたアルバイトたちである。めったに叱らない伊藤店長ではあるが、時にはガツンと厳しい態度で接したこともある。彼らにとって、自分のことを思って本気で叱ったりほめたりしてくれる上司の存在はさぞかし大きかったことだろう。この会社で社会人を目指して勉強を積み、成長した彼らが就職先として選んだのは、やはりこの会社だった。
 NATTY SWANKYは離職率が低く、出戻り率が高い企業である。企業体質と働く環境のよい会社ゆえに、アルバイトの入社が続いている。

基本の徹底とサービス20大行動

 店舗運営で伊藤店長が気をつけているのは「基本の徹底」である。「声出しと挨拶、作業の標準化に力を入れて、スタッフ教育に取り組んでいます」とのこと。今後の出店拡大に向けて、いま基礎力を徹底させてしっかりとした体制を築くことが重要だと考えているからだ。「A店でできてB店でできないというのは許されません」とは、ダンダダン酒場の統括責任者ならではの発言である。
 声出しや挨拶の教育はLINEを使って動画による「見える化」を図り、全店・全スタッフで情報共有している。
 商品が完璧でない場合、どれだけ忙しくても「作り直す勇気を持とう」と伊藤店長は言う。(いい言葉ですね)「餃子が少し焦げました。作り直しますので、申し訳ございませんが少々お時間をいただけますか?」とお客様におわびをして作り直し、あるべき姿と質の商品提供に徹するよう指導している。
 ダンダダン酒場には「サービスの20大行動という行動指針がある。一部をご紹介しよう。
1.お客様から「すみません」と呼ばれない
2.会話の後は必ずニコ!
3.仕事はすべてハイテンション!
4.失敗したものは勇気をもって作り直す
5.満席時にも門前払いはしない
6.意地でも3度は喜んでもらう
7.他店よりすべては圧倒的に!
 いずれも基本的なことばかり。徹底することが重要なのだ。

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 伊藤上級店長は、人間関係やチームワークをことのほか大切にしている。仕事が終わったら「おつかれさま、ありがとう」と言いながら全員とハイタッチや握手。スタッフの誕生日には、LINEで「おめでとう」と流す。すると20人に及ぶ全スタッフから、お祝いのメッセージが本人に届くのだ。(いいですね)
 「店長やスタッフにとって最も重要なのは、“感謝力”と“お願い力”です」と伊藤店長。「私の仕事は、最前線で頑張っているスタッフをケアし、サポートすることです」と語る。
 夢は、餃子大学の学長になって若い店長や社員を育て、楽しい店づくりを進めることだという。いい話をありがとう、将来の伊藤学長!