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山ちゃんサミット全国ナンバー1の要因

 山ちゃんサミットは、売上伸率、利益改善、モニター調査などへの取り組みについてスタッフが発表し、評価する制度だ。浅草橋店は売上前年比110%、利益改善額1791千円、外部モニター調査85.1%。外部モニター調査は「再度来店したい」数値を表すもので、全店中トップだった。
 浅草橋店がナンバー1に輝いた主な要因は、次の4点だ。
@チームワークと基本の徹底
 渡部店長が異動してきたのは3年前。当時は中国人留学生のスタッフが多く、教育が行き届かなくて、挨拶や規律が遵守されず遅刻も目立ったという。
 そこで、時間やハウスルール、決定事項などを守るといった、基本中の基本を徹底させた。人間関係の改善やチームワーク向上までには1年間を要したが、とにかくコツコツと基本を積み重ねた。今では一体感のあるいい雰囲気の店になった。
Aオペレーション改善で人時売上高向上
 作業が遅く、1ポジションしかこなせないスタッフが多かったため、個々のスピードアップと全ポジションの実現を図りつつ、キッチンの作業効率アップやタッチパネル導入も実施。これにより人時売上高は4500円から5000円に向上。
 またキッチンのスタッフがホールの応援に入ったり、キッチンが忙しい時にはホールが手伝いに入ったりすることで、チームワークもよくなった。
B第一印象のよさ
 「入口の元気のよさには100%自信があります」と渡部店長は言う。元気さはモニター調査でも好評価だ。「飲食店の評価は最初の7秒で決まる」といわれ、入口での第一印象がよいと、その後の評価も上がる傾向にある。お客様は期待感いっぱいで来店する。どんなに評判のよい店でも、最初の出会いでしくじってしまったら終わりなのだ。
C看板メニューのチョイスコース
 浅草橋店では新規客のために、看板メニューを揃えたチョイスコースを用意。手羽先に前菜やサラダ、厳選やお勧めの一品などがセレクトされている。初回客に看板メニューを勧めるのは、繁盛店のポイントの一つだ。
 また現在、3回クーポン券も配布中。1回目は手羽先サイコロゲームに挑戦できる。サイコロの出目数だけ手羽先をプレゼント。渡部店長は、まずは3回来ていただくことで常連客へと導く効果をよくわかっている。

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クレームからファンを生む

 「クレームを受けたお客様の顔は絶対に忘れません」と渡部店長。ある時お父さんと息子さんの親子連れが来店した。食事メインとのことで、スピーディに提供しようと張り切りすぎたせいか、ニンニク料理にクレームが出た。「子どもに生のニンニクを食べさせるのか」とお叱りを受けたのだ。もう二度と来店していただけないだろうと思っていたのだが、2カ月後にまた親子で訪れてくださった。
 店長はすぐ入口へ飛んでいき、「前回は申し訳ございませんでした。再びチャンスを与えていただき、ありがとうございます。今日は十分に気をつけて料理をお作りします」と言ってお迎えした。するとお客様は「大勢のお客がいるのによく覚えていてくれたね」と感心し、以来常連客になってくださったのである。

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ヤマリンピックで店長号泣

 山ちゃんのスタッフの7割は中国人だ。渡部店長は以前、彼らと信頼関係を築くのに苦労したとのこと。東日本大震災後には多くの中国人が母国へ帰るのを見て、店のスタッフも帰国してしまうのかと不安を覚えたそうだ。ところがその時ほとんどのスタッフが、「店長、大丈夫です。僕たちは帰りません」と言ってくれたのだ。店長として本当に嬉しく、心から感謝し、信頼感を強めるようになったという。
 ところで、世界の山ちゃんにはオリンピックがある。お店のために日々頑張っているスタッフに感謝し、激励するため、特に輝いているスタッフを表彰する「ヤマリンピック」だ。開催は1年に2回(夏季・冬季)。今年の夏季ヤマリンピックで、こんな出来事があった。
 会場には関東の全店長とスタッフが集まっていた。渡部店長は浅草橋店の中国人留学生に対する感謝の手紙を読むため、壇上に上がっていた。中心メンバー4人が卒業して帰国するのだ。だが読みはじめるや、震災の時の時の彼らの頼もしい言葉がよみがえり、また彼らが店のために尽くしてくれた様々なシーンが次々と脳裏に浮かんできて、涙と嗚咽が止まらなくなった。
 号泣しながら手紙を読み続ける渡部店長を見た中国人スタッフも、感極まって泣き出した。会場内の他の店長やスタッフも、みんな感涙にむせいだのだった。(すばらしい話ですね!)
 スタッフへの感謝の気持ちで胸がいっぱいになって泣く店長は、愛情あふれる素敵なリーダーである。(最近あなたはスタッフのために泣いただろうか?)

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明るく元気になるプラス言葉

 店舗運営で渡部店長が気をつけているのは、ぞっこんキャベツ(200円)などの低価格メニューも真剣に作るよう指導することだ。少しでも完成度が低ければダメ出しする。
 スタッフとのコミュニケーションにも手を抜かない。月1回、30分〜2時間かけて面談する。あるベテランスタッフが部下に対して感情的に指示をし、指示された側が傷ついたことがある。店長はすぐそのベテランと面談。「感情をぶつけてはいけない。あなたの姿勢で店は変わるんだよ」と熱を込めて諭し、ベテランを泣かせた。しかし翌日からそのベテランは変わったという。店長の熱い想いは伝わるのだ!
 店のナンバー1を決める総選挙もやったという。24人中15人の票を獲得した女性スタッフは、それまで以上に頑張りを見せ、全員のやる気にも火をつけた。みんなが彼女のよいところを学びはじめたのだ。
 山ちゃんの企業理念に「明るく元気になるプラス言葉」という項がある。嬉しい、楽しい、幸せだ、豊かだ、大好き、素晴らしい…と続く。渡部店長はいつもこのようなプラス言葉を発している。発し続けていれば、その通りの人生になっていく!
 夢は居酒屋で独立すること。
山ちゃんナンバー1の実力店長だから、夢は必ず実現するよ。ありがとう、渡部店長。