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坪売上44万円&売上前年比110%、3つの要因

 永田店長の店舗目標は「笑顔」だ。東京ディズニーランドで働いた経験から笑顔の大切さを実感。「笑顔の伝道師」を自認する。
@チームワークと一体感
 売上好調の要因について、永田店長は「チームワーク」「コミュニケーション」を真っ先に挙げた。これは、売上を伸ばし続けている実力店長に共通の言葉だ。チームワークがよければ店に笑顔や活気があふれ、お客様にそれが伝わって売上が上がる。店長がいつも笑顔でニコニコしていれば、スタッフの安心感と信頼感も高まる。笑顔の伝道師たる永田店長が常にスタッフに声掛けし、コミュニケーションを欠かさないため、チームワークと店の一体感はどんどん向上する。
 コミュニケーションは質より量だといわれる。コミュニケーションの定量分析をしたあるデータによると、業績のよい部門と悪い部門とでは声掛けの量が3倍も違ったという。あなたはスタッフに対し、十分に声掛けをしているだろうか?
A常連客づくり
 常連客の増加は売上伸張に大きく貢献している。常連客だと永田店長が認識して挨拶できるお客様は150人以上。100人以上覚えているベテランスタッフもいる。直接お聞きした名前やカードに記載された名前をメモして覚え、積極的に名前でお呼びする熱心さには、店長も感心するという。常連客の好きな野菜を仕入れて「ありますよ」とご案内をする上、ボトルキープも100本以上。見事な仕事っぷりのスタッフである。
 永田店長は店の外を歩いている常連客に気さくに声を掛ける。「店の周りを掃除する時も、銀行に行く時も、意識的にお客様を探しています」と語る。(すばらしい!)
B本日のおすすめ(旬の食材提供)
 鮮度と旨みにこだわった地養鶏が朝挽きで店へ届く。それらを土佐備長炭で香ばしく焼き上げるのが鶏閧の強みだ。永田店長は鶏をさばく修行もしている。「本日のおすすめ」となる旬の野菜シリーズは生でも炭火で焼いてもOKで、これも女性に人気。本日のおすすめメニュー導入により、月間30万円も売上が向上したという。
 また「釜めし<銀しゃり>」は、魔法の米といわれる「魚沼産ミルキークイーン」を使用。米と鶏と炭にこだわり、旨みを引き出すピンク岩塩を用い、旬の野菜を本日のおすすめとして提供し、心ゆくまで味わっていただく。専門店のこだわりでお客様をうならせ、ファンを増やし続けているのだ。

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子ども大好き店長の地域密着運営

 「人と街の繁栄」を企業理念に掲げるバイタリティ。その想いを胸に、永田店長はグランドオープン前(2年前)に周辺の飲食店を回った。そのとき「お子様お断り」の店が多いことを知り、淋しい気持ちになったという。
 そこで社長と相談の上、「お子様大歓迎、全席禁煙」とした。オープン時には近くの保育園にも挨拶に行った。ハロウィンの時に「子どもたちが仮装して訪れるので、アメを配ってください」と保育園から依頼されたことをきっかけに、子どもたちと仲良くなった。クリスマスにはサンタに扮してお菓子を配り、節分には鬼になり、保育園のナイトスクール(お泊まり)の時は水風船すくいやヨーヨーで遊んでもらったりしている。
 おかげで週末には家族で来店するお客様が増えた。お父さんやお母さんから「子どもがお世話になっています。ありがとうございます」とひんぱんに声を掛けていただくようになった。子どもたちは店の前を通る時、いつも笑顔で手を振ってくれる。勤労感謝の日には「おしごとがんばってください」と書かれた手紙をもらったそうだ。(うれしいですね!)
 店内には、子ども目線で気づきやすい位置に絵本やおもちゃを置いている。(さすが、元ディズニーランドのキャスト!)
 ところで店の前には公園があるのだが、週末になると全国から業者が集まって朝市が行われる。永田店長はその業者と交渉し、コラボレーションメニューを作った。地域での活動に非常に積極的で、すぐに実行する行動力もすばらしい。

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店長はどこを見るか?

 永田店長はキッチンとホール、ともにスキルが高い。「理念に基づいていれば何をしてもいい」という社長のお墨付きもあり、とにかく店長の裁量権が大きい。
 料理は、出された瞬間にお客様から「ワー・キャー・オー」の歓声が上がるほどインパクトのあるメニューが多い。ボリュームにもびっくり。野菜のおけ盛などは食べきれないほどの量だ。
 強いインパクト・ライブ感・できたて感・商品のわかりやすさなどを視覚に訴える、ビジュアル・マーチャンダイジングの手法をフル活用するのも、繁盛店のポイントである。
 商品について特に気をつけているのは、ズバリ「鮮度」だという。新鮮なものをその日のうちに90%以上使い切るとのこと。またホールで意識して見ているのは次の3点である。
@全体の流れ(スタッフの動き)
A入口周辺(お客様の動き)
Bお客様の表情(幸せな気持ちで食事しているか)
「料理を残しているお客様に対してはどうしますか?」と尋ねると、「残されるお客様をほとんど見たことがありません」との答え。(さすが!)

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 スタッフとのコミュニケーションのポイントは、気づいたことがあればその場ですぐ声掛けすること。ショートミーティングの積み重ねである。
 ほめる・叱るのバランスを伺うと、「叱ったことはありません。注意する程度です」とのこと。ほめる8、注意する2、ぐらいの割合だ。
 いつもとびっきりの笑顔の永田店長。店長の笑顔がお客様やスタッフを幸せにするのだと、あらためて感じた取材であった。ありがとう、永田店長!