フォーシーズンズホテル椿山荘東京前総支配人で「フォーシーズンズが実践する ホスピタリティの黄金律(ゴールデンルール)《(PHP研究所)の著者でもある塩島賢次さん。「フォーシーズンズマジック《と呼ばれる数々の感動体験を通して、彼が行き着いた先に見えたものは“ホスピタリティ”だった。今回はインタビューをまるごとお届けします。
T:「ホスピタリティの黄金律《を読み、まず“サービスとホスピタリティは似て非なるもの”ということに改めて気づかされました。
塩島さん:「ホスピタリティ《という言葉は、「おもてなし《「癒し《などの言葉とも言い換えられますが、我々のビジネスにおいてどのように行動に落とし込んでいくのか、と具体的に考えることがとても大事だと思います。
T:そうですね。“ホスピタリティ”という言葉だけが一人歩きしているような感じですね。
塩島さん:お客様の気持ちをくみとって、変幻自在に、しかも自然に対応できるかどうか、というのがホスピタリティだと思います。100人のお客様がいたら100人に同じことをするのはサービスです。これはマニュアルがあればできる接客です。ファストフードをはじめ、多くの店ではこの現状に満足してはいけないと思います。 高級店・ラグジャリーになればなるほど、カスタマイズされたサービス、つまりホスピタリティが求められます。100人には100通りの方法でもてなすのがホスピタリティです。 また、サービスする側はお客様の“サポーター”ではありません。“パートナー”であるべきです。接客される側とする側が一体化してこそ、ホスピタリティは実現するのだと思います。一心同体の関係なのです。そういう意味では、お客様の方にもホスピタリティは存在するかもしれません。
T:良い接客を行なうのに、“向き・上向き”はあるのでしょうか。
塩島さん:自分がよい接客をできる人間かどうかを知りたい人は、「お客様の喜びを自分が喜べるかどうか《を考えてみてください。これはいわゆるホスピタリティ最終目標。この目標がブレなければ、いい接客ができる(素質がある)と思います。 時には目標のために調理スタッフとケンカしたり、周囲を巻き込んだりしなくてはいけません。ホスピタリティは一人で実現できることではないのです。非常に骨の折れる仕事でもあります。しかしだからこそ、目標を達成したときの充実感はひとしおなのだと思います。
T:現在、塩島さんはゴルフカントリークラブの総支配人でもありますが、現在でも現場に細かく声がけをされているのでしょうか。
塩島さん:私はとても細かい人間ですよ(笑)。 例えば、例えばお客様にサービスするお水にしても、氷をグラスに入れっぱなしにしておかないように注意しています。普通ならグラスにあらかじめ氷を入れておき、お客様が席につかれたら、水を注いで素早く席にお持ちします。しかし、グラスに入れっぱなしにした氷の角は溶けて、丸くなっている。僕はそういう水はあまり気持ちがいいとは思いません。氷を入れてから時間がたっているような水なんて、気持ちがいいわけありません。 細かいようですか、こういうところまできちんと気配りができてはじめてホスピタリティを実現できるのです。
T:最後に、飲食店で働くみなさんにアドバイスを一言お願いします。
塩島さん:お客様のことを毎日、5分間考えてみてください。ただ何となく毎日を過ごしていたのでは、行動はなかなか変わらないものです。お客様のことだけを考える時間を5分でいいから作ってみてください。ちょっとした努力で大きく変わることもあると思います。 また、ある程度、自分のサービスに自信のある方は、現状に満足しないように努めてください。人間は“これでいいのだ”と思った瞬間に成長が止まってしまいます。 "Raise your bar globally !!(グローバルに自分の目標のバーを上げよう!!)"ですよ、何事も。
T:なるほど。貴重なお話、本当にありがとうございました。 |