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第1017回 株式会社MOTHERS 代表取締役 保村良豪氏
update 24/07/02
株式会社MOTHERS
保村良豪氏
株式会社MOTHERS 代表取締役 保村良豪氏
生年月日 1975年9月3日
プロフィール グローバルダイニングで、創業者である長谷川耕造氏という稀代の経営者から店づくりを学ぶ。2001年、25歳で起業。東大和にイタリアンレストラン「MOTHERS 東大和店」をオープンする。2024年現在、社員数233名、総従業員数713名、店舗数は受託店舗、独立支援店舗を含め25店舗になる。
主な業態 「MOTHERS ORIENTAL」「MOTHERS」「Boulangerie Bistro EPEE」「CICON by NOHGA HOTEL」他
企業HP https://www.mothersgroup.jp/

2001年、1人の青年がイタリアレストランを開業する。

24年前の2001年。グローバルダイニングの創業者、長谷川耕造氏から強烈な影響を受けた1人の青年が東大和にイタリアレストランをオープンする。
店名は「MOTHERS」。この「MOTHERS」の創業者が、今回、ご登場いただいた保村さん。1975年9月生まれだから、今回のインタビュー時で48歳。実は、2014年にも取材をさせていただいている。当時と比較し、この10年で活動領域がずいぶん広がった印象だ。
さて、保村さんのプロフィールは、前回のインタビューでおよそうかがっている。小学生〜中学生までは生粋の野球少年。高校生になるとリーダー的な存在となり、参加者1100人を超えるパーティイベントをプロデュースしている。
19歳、グローバルダイニングの旗艦店の一つ「ラ・ボエム」で食事をしたことがきっかけで、グローバルダイニングで、アルバイトを開始する。のちに正社員となった保村さんは、アルバイトをするきっかけともなった、あこがれの先輩がもつ店長昇格のレコードを更新する。
グローバルダイニングで数々の実績を残した保村さんは、前述通り「MOTHERS」を東大和市にオープンしたのち、立川、吉祥寺にも、次々と新店をオープンする。ホームページの沿革を参照すると、2001年に創業以来、年を追うごとに出店スピードが加速しているのがわかる。
2018年と、コロナ禍の2022年には、年間で4店舗をオープンしている。
2018年の4店舗は、すべて新宿にある「HOTEL THE KNOT TOKYO」でオープン。ホテルはIDEEの創業者である黒崎輝男氏が、飲食部門は全てMOTHERSが提案する形でスタートしている。
今回の取材も、そこからスタートした。

ミッションは、にぎわいの創出。

「2017年、新宿にある『HOTEL THE KNOT TOKYO』さんから、ホテルの飲食のオペレーションを、というオファーをいただきます。実は、私たちで31社目だったそうです(笑)」。
「私たちといえば、この年、二子玉川に185席のCHICAMA(チカマ)をオープンしたんですが、回収が遅れていました。そのとき、お声をかけていただいたのも、一つのご縁だったのかもしれません」。
KNOT HOTELは日本にはまだ少ないライフスタイルホテル。ライフスタイルホテルとは、宿泊客だけでなく近所の方々や、会社員、主婦など様々なお客様が遊びに来る場所のこと。その起源はブティックホテルである。ちなみに、ブティックホテルとは、客室数が10〜100室程度と比較的、規模が小さいながらも、独創性が溢れる独特なデザインや宿泊に留まらない付加価値サービス等をコンセプトにしているテーマ性のあるホテルのことである。
「オファーをいただく前から、私自身、このカテゴリーのホテルに興味があったんです。それに31社目だったからでしょうか。破格な条件だったので、快諾させていただきました」。
託されたミッションは、「にぎわいの創出」と保村さん。飲食店があることで、ホテルの価値が上がればいい。これがホテル側の本音。
単純に運営するだけではなくコンセプトからすべて、保村さんがデザインしている。ベーカリー、ティースタンド、ダイニング、レストランが、お披露目される。オープンしたのちの、業績を保村さん流に表現すると「炸裂」した。
食事を楽しみにする様々なお客様が、ホテルにやってくる。ホテルの価値向上とにぎわいの創出を、軽やかに創造してみせることに成功した。

飲食×〇〇が生み出すイノベーション。

このKNOT HOTELでの実績は、新たな地平をひらくことになる。実は、ステージもかわり、2020年には「THE KNOT HIROSHIMA」に、MORETHAN HIROSHIMAをオープン。2022年にオープンした4店舗のうち3店舗は「NOHGA HOTEL」内のイタリアレストラン、BAR、ベーカリーショップである。
この間には、「中國酒家 亭亭」など、新たなブランドをオープンするなど、積極的な出店がうかがえる。さらに現在では、ホテルの企画まで領域を広げている。保村さん曰く、「飲食からつくるホテル」が、その好例。
「実は、コロナ禍になる時に、台湾、ベトナムの出店を計画していたんですが、内装が入る前で、コロナ禍で頓挫します。それが逆に功を奏して、国内のオファーに必要なスタッフの配置が順調に進みました」。
2024年、現在、すでにホテル業界との強力なパイプができあがっている。それ以外にも、大手不動産会社などとの計画が進んでいる。運営委託の立ち位置で、MOTHERSが「ホテル経営を行う」という。
このようなフィールドへ進むことになったのは、コロナ禍のとき、飲食の負の世界を改めてのぞいたことが一つのきっかけになっている。
「コロナ禍の下で、人材募集をかけると600人の業界経験者から応募があったんです。評価いただいた点は喜ばしいことですが、そのほとんどが年収600万円程度の中間管理職でした」。
保村さんは、これを華やかな飲食の裏側だという。
「あまり光があたらない現実ですが、40歳を過ぎると受け皿がなくなる。コロナ禍が、この現実を浮かび上がらせたんだと思います」。
同時に、収入もある程度までいけば、そこで頭を打つ。これを保村さんは2つのブラックボックスだという。言い換えれば、飲食の負の世界。
「改めてその現実と向き合ったとき、私たちが行ってきたフラットな組織が、いかに正解だったかを思い知りました」。
保村さんは、このフラットな組織を「DAO(分散型自律組織)」だという。DAOは参加者同士が協力し合いながら組織を運営する方法。
従来の中央集権型組織とは異なり、分散型であるため、参加者全員が意思決定に関与できる。いうなら、スタッフ全員が、自走するということになるのだろうか。
ともかく、その結果、MOTHERSではスタッフ1人1人の価値が高い。昨年の、総スタッフ平均年収533万円、責任者の平均年収907万円がそれを証明している。
「簡単にいうと、みんなでよくなろうよ、という思想です」。
目指しているのは、高年収と、辞めなくて済む飲食会社をつくること。そして、この2つを実現するキーワードが、飲食×〇〇だ。
「飲食と、何かを掛け合わせることで、飲食にも、また、掛け合わせたもう一つにもイノベーションが起こる。私たちがKNOT HOTELと組むことで、生まれたイノベーションも、その一つです」。
たしかに、飲食×〇〇は消費者を動かすイノベーションになるのは、まちがいなさそうだ。

つくりだすのは、飲食業界の新たな世界。

飲食×〇〇。言葉にするだけではない。保村さんは、すでに動き出している。
「7月に阿蘇の産山牧場をリノベーションし、上村畜産さんと組んで、新たな試みを介しています」。
阿蘇産山牧場に、UBUYAMAplaceをオープン。第一期としてピザショップとチーズ工房を開店、第二期としてハム工房とグランピング施設の開店を予定している。
観光客だけではなく、飲食業と畜産業を掛け合わせることで、「乳搾りからチーズ作り、ピザ作りという一連の流れの中で畜産業と飲食業の両方の体験ができる」と保村さん。
「食育で飲食と畜産の素晴らしさを伝え、この仕事の入り口を作る。またホテル経営や畜産業や農業を行う事で、長期雇用と高収入の実現が可能になる。この2つを同時にチャレンジしているんです」と保村さんは言っている。
「飲食では40歳を過ぎれば、もうベテランですが、農業や畜産業では40歳すぎても若造です。つまり、まだまだ仕事ができるということです」。
これも、掛け算の答えの一つ。
ちなみに、MOTHERSの離職率は、きわめて低い。さらにこの24年、MOTHERSから独立した卒業生は軒並み繁盛店を運営している。これも、特筆すべき事実の一つではないだろうか。少なくとも同様の話は、聞かない。
いずれにしても、日本のいたるところで保村さん流の経営を受け継いだ卒業生たちがにぎわいを創出しているのは、消費者にとってもうれしい限り。
改めて、表記する。
「飲食×〇〇」。
保村さんが生み出すイノベーションに、飲食の未来が広がっている。人を動かす、そのパワーをもっているのは、飲食の二文字。今回、保村さんの話を聞き、改めてそのちからと事実に思い至った。

思い出のアルバム
 

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