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第1095回 フランチャイズビジネスインキュベーション株式会社 代表取締役社長 山本昌弘氏

update 25/04/08
フランチャイズビジネスインキュベーション株式会社
山本昌弘氏
フランチャイズビジネスインキュベーション株式会社 代表取締役社長 山本昌弘氏
生年月日 1983年6月29日
プロフィール 滋賀県高島市身。英会話スクールのECCとハウスクリーニングのおそうじ本舗で、FC業界のすべてを学ぶ。2020年フランチャイズビジネスインキュベーション(以下:FBI)を設立。2022年9月に「鰻の成瀬」をオープンし、開業からわずか2年3か月で300店舗を達成。2024年6月には海外進出も果たしている。
主な業態 「鰻の成瀬」「本格よもぎ蒸しサロン aUN」他
企業HP https://fbi-consulting.jp/

人の話を聞かない、何を考えてるかわからん奴。

山本氏が生まれたのは、京都にほど近い滋賀県高島郡(現在は市)。山本家は両親のみならず、祖父母や伯父伯母までもがみな公務員。3つ上の兄も教師というお堅いお家柄だ。
― じゃあ、小さいころからずっと「お前も将来は公務員に」って言われたんでしょうね ―
「言われたかどうか記憶にないくらい、人の話を聞いてなかったですね(笑)」。
周りからは「何を考えているかわからん奴」と思われるほど、自由奔放・唯我独尊。地元の小学校を卒業後、実家から電車で45分もかかる大津市内の私立学校に入学したのも、何をしでかすか分からない息子への親の配慮からだった。運動神経は抜群で、陸上部では3000m走で市内2位になるほどの実力を持っていたが、2年生になると毎週実施される英単語や漢字テストの補習に追われ、それどころではなくなる。別に勉強が苦手だったわけではない。親友のせいで、勉強することを“やめた”のだ。
「中学時代、一番仲良かった子が、学校で一番頭良くてね。ほかのことは努力すればだいたいなんとかなったけど、勉強だけはそいつに絶対勝てないし、一番になれない。『僕が勝負するのはここ(勉強)じゃないな』ってことで、勉強するのをやめました。僕が勉強しなくなったのは、絶対あいつのせいですよ」。
中・高時代、特になりたいと思うものはなかった。強いて言えば、海外への憧れだろうか。当時流行っていた「世界ウルルン滞在記」や「あいのり」以外に、母親の存在も影響した。教職を辞め専業主婦になった山本氏の母は、子育て終了後オペラ歌手に転身。日本とイタリアを行き来する生活をしていた。

イタリア留学で生きる術を学ぶ。

「世の中の人はもっと英語を喋れると思ってたんです。だから英語圏に行ってもしかたがないし、人と同じことをしても自分の特徴にならない。人と違うことをしようって」。
そこで選んだのがイタリア・ローマへの留学だ。母親のこともあり、「イタリアなら反対されにくいだろう」という計算もあった。その目論見通り、高校卒業と同時に山本氏はイタリアへと旅立つが、そこで待ち受けていたのは言葉の壁だった。
「ホームステイ先の人があれこれ説明してくれるんだけど、イタリア語だから全く分からないんですよ。バスの停留所が分からなくて終点まで行っちゃったり、お風呂のガスの使い方が分からなくて、4月なのに冷水シャワーを浴びたり。このままじゃ生きていくのもヤバいと思ってイタリア語を必死に勉強しました」。
もともと集中力があるのだろう。イタリア生活が3か月を過ぎたころ、突然先生の言葉が聞き取れるようになった。しかしヒアリング力を身に着けた途端、学校に行かなくなりアルバイトや夜遊び三昧。あれこれ言ってくるホームステイ先に嫌気がさし、ついには家を出てひとり暮らしを始めてしまう。親からの仕送りを“無限”と勘違いし、お金をガンガン引き出して怒られたが、そんなことは気にせず、どこまでも自由奔放だったという。

ECCで「使えないヤツ」から「トップセールスマン」に。

3年間のイタリア遊学、もとい留学を終えた山本氏は、帰国後英会話スクールのECCに就職するも、入社早々「使えないヤツ」とのレッテルを貼られてしまう。イタリアで悠々自適に暮らしていたため、PCスキルはおろかクラブやサークル活動を通じて社会性を学んだ経験もなかった。その上、面接時の「英語以外の言語が話せますか?」という質問には、「(英語は話せないけど)イタリア語が喋れます」と答えての入社だ。普通なら萎縮しそうなものだが、「どうやったら周囲をぎゃふんと言わせられるかなー」と考えていたというから驚きだ。
「自分のことを全く知らないお客様と対峙する新規営業(入会案内)なら、他の社員と同じスタート地点で戦える」と踏んだ山本氏は、そこに全力を注いだ。こうして、落ちこぼれだった新入社員が半年後には中部地区でダントツの営業成績を収める。さらに、FCであるECCジュニア(子供向け英会話教室)の収益に注目し、FCビジネスにも興味を抱くようになった。
トップ営業マンから店長に昇格した山本氏は、現場の仕事よりも責任者としての業務に忙殺されることが多くなっていった。会議に出席したり、ハンコを押したり、そんな日々を続けるうち、胸中に危機感が芽生えていく。「このままでは井の中の蛙だ。個人の能力を高めるためには、新たな世界に飛び込んだほうがいい」そう判断した山本氏は、トップセールスという栄光の座を自ら放棄した。

加盟店の目線に立ったサポートで、再びトップの座に。

山本氏が次に選んだのは、ハウスクリーニングのおそうじ本舗だった。入社後はとにかく大人しく、目立たないようにした。上司の言うことには「はい」と答えつつ、水面下で独自の営業スタイルを構築。そして1年後、再び営業の頂点に立った。
― お仕事はなんだったんですか? ―
「スーパーバイザー(SV)です。売上げアップのためのアドバイスやサポートと、本部が提供する販促品を加盟店に購入してもらうこと。本部と加盟店、両方の利益を考えるんです」。
― 成績を上げるコツは? ―
「加盟店のオーナーさんに、『山本は味方だ』って認識してもらうことですね。あれこれ指示するんじゃなく、『オーナーさんが今できそうな方法はAとBとCがあるけど、自分ができそうなものはありますか?』って、自分で決めてもらうんです。初期費用払ってFCで独立しようって人が、他人から命令されたいはずはないじゃないですか。自分で決めたことだと思わせたほうが、オーナーさんのモチベーションを維持しやすいんです」。
山本氏には「いくら店長といっても所詮は雇われなのに、本部は本当にうるさい。しかもごちゃごちゃいう癖に、責任だけはこっちに取らせようとする」というECC時代の不愉快な思い出があった。加盟店に寄り添ったサポートの重要性に早くから気づいていたのは、そうした経験をしていたからだ。

スクラップ&ビルドではなく、持続可能なFCビジネスを。

多くのFC本部ではその当時、売上げの伸びない加盟店はさっさと切り、新規加盟店を募集するスクラップ&ビルド方式が取られていた。27歳で110店舗を管理し、解約率を約1割に抑えるという驚異的な成績を達成した山本氏は、業界のこうした悪しき習慣に違和感を覚えていたという。勤務10年でSVから加盟店開発、FCのパッケージ作りや契約書の作成を含め、FCの入り口から出口まですべて経験した山本氏は「本部と加盟店の両方が一緒に儲かるFCビジネスを自分でやろう」と考え2020年に退職。FC本部支援を行うコンサルティング企業、FBIを起ち上げた。
2022年9月、自社でFC開発した「鰻の成瀬」を横浜・平沼橋にオープンしてからの勢いは、業界関係者ならずとも誰もが知るところだろう。ヤフーニュースを始めマスコミの注目度も高く、カンブリア宮殿にも出演。2024年12月には、外食産業記者会が外食業界で活躍した事業者を表彰する「外食アワード2024」の外食事業者部門賞も受賞している。
「僕は飲食やってまだ2年3か月なんで、ヒヨッコっスよ。天狗にはならないけど、だからといって飲食自体を学ぼうとも思ってない。素人ならではの良さがあるでしょと思ってる」。

「うちはフランチャイザー(鰻の成瀬やaUN)だけでなく、フランチャイジー(癒し〜ぷ、ブロッサム)もやってます。だからフランチャイズっていうものを“ザー”として、“ジー”として、コンサルとして見るっていう、いろんな角度から見ていけるんです。だから強くいけるんですよ」。
『飲食の戦士たち』と銘打ったシリーズで「僕がやっているのは飲食ではなくFCビジネス」と豪語する山本氏。そんな社長の登場に、新たな時代の潮流を感じる。加盟店希望者が後を絶たない「鰻の成瀬」の創業者から学ぶべきところは多い。

思い出のアルバム

 

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