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第1100回 株式会社ZENJI 代表取締役 工藤拓也氏

update 25/05/20
株式会社ZENJI
工藤拓也氏
株式会社ZENJI 代表取締役 工藤拓也氏
生年月日 1995年6月6日
プロフィール 高校を中退し、アルバイトをきっかけに飲食の世界に入る。19歳でキャッチ、21歳で正社員となり、2社を経験。いずれの会社でも業績を残し、高い評価を獲得。26歳で、ラーメン店を開業。コロナ禍にも関わらず10坪で月商800万円を達成。2025年3月現在、FC店を含め合計6店舗を経営している。
主な業態 「らぁ麺善治」「油そば専門店 麺と油」
企業HP https://zenji2021.com/

原材料費が高騰するなか、現れた平均30%の営業利益率を記録する「油そば専門店」

今回、ご登場いただいたのは「らぁ麺善治」と「油そば専門店 麺と油」を経営する株式会社ZENJIの工藤社長。インタビュー時で29歳という若き経営者。
コロナ禍の下、2021年12月にオープンした「らぁ麺善治」はコロナ禍の最中に関わらず初日から大行列をつくり、坪売上80万円を記録。
現在は、そのノウハウをもとにフランチャイズ化を進め、開業支援も積極的に行っている。
現在の、原材料費が高騰するなかで注目されているのが、2024年11月にリリースした<油そば専門店「麺と油」>。通常のラーメン店と比べ、「原価率を約12%も削減できる」とのこと。
実際、オープンから平均30%の営業利益率を記録しているというから驚きだ。
もちろん、「油そば」、そのものが旨い。
油はサラダ油ではなく「鶏油(チーユ)」と「豚油(ラード)」の2種類。醤油、塩、赤味噌とバリエーションも豊富で、卓上調味料は10種類、トッピングも10種類(50円〜)用意されていて好みによってカスタマイズできる。
「らぁ麺善治」同様、こちらの「麺と油」でもフランチャイズも進めていて、2025年3月現在、10店舗限定だが、「加盟金200万円が、0円」と大盤振る舞いのキャンペーンを打っている。
原材料費が高騰するなか、ラーメン店の経営者にとっても、気になるブランドだ。
さて、その話はいったんわきに置き、いつも通り、工藤社長の話である。
工藤社長は、1995年、生まれ。
父親は法律関係、母も、今は姉も行政書士という家柄。お父様は、北海道大学出身。
「父親はきびしい人でした。とくに勉強については」。
なんでも、小学生のときには「1日9時間勉強しろ」と命令されていたそうだ。「めざせ、開成中学」。「姉は父親が望むように育ちましたが、私はね」と破天荒な話が始まる。

両親が離婚。父親から解き放たれた少年は。

「小学4年生のときに両親が離婚します。父親から開放されたもんですから、今までの反動で漫画を読み漁り、卒業式にも出席しない少年になりました」。
<開成はどうなりました?>
「もちろん、頭のすみにもない(笑)、進んだのはふつうの中学です」。
進んだ中学はふつうだったが、工藤社長は、ぜんぜんふつうじゃなかった。
地元でいちばん顔が広い、やんちゃな中学生。
「通学が面倒で2年生は学校にも行かず、中学3年生からは心を改め、学校に行くんですが。進学には2年時の内申がカギなんだそうですね。そういうのも知らなかったから。だって、もう3年でしょ(笑)」。
進学したのは「『こころざしを漢字で書け』っていうのが、入試問題の定時制です」。
もう一つの設問は「あめにもまけずを同様に漢字で書け」という問題だったらしい。
もちろん、宮沢賢治の有名な「雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ…」の冒頭の一文である。
ともかく工藤社長は、雨ニモマケズ 風ニモマケズの、やんちゃぶり。
17歳のときには警察沙汰を起こし、退学している。町いちばんのやんちゃものが、野に放たれる。非行に走ったが、受験で書いた一文字、そう「志」はあった。
「ビッグになる」が少年の口癖だったそうだ。

26歳。ビッグになる一歩を踏み出す。

「やんちゃ」だが、ご両親譲りなんだろう。頭は、いい。ビッグになるという「志」もある。ただ、何をしていいかわからない。アルバイトの、その先に、飲食があった。
「飲食のアルバイトが、この世界に入るきっかけです。19歳からは飲食のキャッチをはじめます」。
21歳で、キャッチを卒業した工藤社長は、そのあと飲食店を2社、経験。人生の師匠という人物にも出会い、26歳のとき、かつての暴走少年は、事業家としてスタートする。
そのときの話もうかがった。
「デリバリーからのスタートです。業務委託のようなスタイルで、オリジナルでバーチャルレストランをはじめ資金をためて、いきおいにまかせて起業します」。
<それが2021年12月、横須賀にオープンした「らぁ麺善治」ですね?>
「横須賀に縁もゆかりもなかったんですが。もともと単価900円の飲食店が6年つづいていたもんですから、6年は大丈夫だろうと(笑)」。
<ビッグになる、一歩を踏み出したわけですね?>
工藤社長は、ちからづよく頷く。

直感力×マーケティング。ロジカル思考は、ご両親譲りか。

さすが、前職では若くして事業部長を経験している工藤社長である。
「いきおいで」とのことだったが、話を詳しく聞くと、マーケティングにもそつがない。やはり、ご両親同様、ロジカルな思考が得意なんだろう。
「横須賀は濃厚なラーメンの聖地で、ラーメン激戦区です。ただ、ラーメン店は多いものの、あっさり系が意外になかった。人口を調べてみると、若者だけじゃなく、60代以上の方も少なくない。だったら、その方々をターゲットにして、細麺のあっさり系で勝負してみるのもありかな、と」。
「あっさり系と、もう一つは濃厚なラーメン」と工藤社長。2本立てだが、あっさり系のラーメンがプラン通り年配者の志向をキャッチ。初日から大行列をつくり、わずか10坪で月商800万円。つまり、坪売上80万円を記録したのは、すでにお話した通り。 額にも驚くが、コロナ禍の下での記録というから、なおさら。
「ヒットしたのには、もう一つの仕掛けがあって」と工藤社長。
<もう一つの仕掛け?>
「ええ、じつは、380円のうな丼をメニューに入れていたんです。原価は60%でしたが(笑)」。「ミニサイズ」といいつつ、写真をみさせていただくと、ちょうどいいボリューム。
「横須賀って米軍の人もいるでしょ。彼らの志向を調べると『EDO(江戸)』が一つのキーワードになるとわかって。江戸って言ったら、天ぷら、あなご、うなぎ。そのなかから再現性が高い『うなぎ』をやろうということになって」。
<ラーメンとうな丼?>
「セットではなく、単品です。ミニサイズですが、380円でうなぎが食べられるのはうれしいでしょ。最初は、うな丼をめあてにしていらっしゃるお客様も多かったです」。
<思い切った発想が功を奏したわけですね。奇抜ですが、大きな差別化のポイントですね?>
「そう、ちなみに、月商は今もキープしていて、昨年12月には1000万円台を記録しています。善治のラーメンファンが多くなった証です」。
ちなみに、横須賀店の隣に出店したラーメン店(こちらは豚骨)が、今の「油そば専門店 麺と油」。2店で工藤ワールドをつくっている。

証明してみせたのは、修業しなくていい、という事実。

話を聞いていて、浮かんだ疑問を、そのまま質問してみた。
<いつ修業されたんですか?>
「ラーメンですか?」
<そうです。ラーメン店では勤務されていませんよね?>
「そうですね。じつは、そこが私の話の、また今の事業のなかでの、ポイントなんです」。
どういうことだろう?
「みなさん、ラーメンをどこで修業した?と、おっしゃるんですが、飲食の人って、キッチンでも、はたらいているから、何でもつくれちゃうでしょ。パスタだって、〆のラーメンだって。そもそも、ラーメン店って修業しないとオープンできないって思い込みにすぎないんです」。
「事実、私はラーメン専門店で、修業はしてないですから」。
「私に言わせれば、ぎゃくにそのほうがいいんです。ラーメンの経営者って、みんな『あとちょっと』って言うでしょ。たとえば『塩をあと少し、醤油を』なんてやる。それで味がブレちゃう」。
「だから、最初からOEMでと決めていた」と工藤社長。「もちろん、OEMと言っても、うち独自のレシピでつくってもらっています」。
<独自のレシピ?>
「私の祖父が飲食をやっていて、その時のレシピが残っていたんです。それを祖母から譲り受けて。じつは、『善治』は、祖父の名前なんです」。
<お祖父様のお名前?>
「そうです。ストーリー性もあるでしょ」。
たしかに、たしかに。
善治さんの手によって生まれ、工藤社長によって令和に再現された、ひとつのヒストリー。ネーミングも鮮やか。
「もうおわかりいただけたと思いますが、ラーメン店は修業しなくていいんです」。
乱暴なようだが、お手本が目の前にいる。
「もちろん、飲食の経験は大事です。ただ、うちではそれもゼロから指導していますので、まったくの未経験でもスタートいただけるパッケージになっています」。
ブレないことで、味が保証される。
もちろん、工藤社長は修業を否定しているわけではない。一杯のラーメンのオリジナリティを高めることも、否定はしない。しかし、ラーメン店の経営は修業をしなくてもできる、これが、事実。
それも、とびきり繁盛するラーメン店をつくることが可能だということを証明している。実際、繁盛ぶりを目にすれば、反論はむずかしいだろう。

ラーメン業界の新人類。

もちろん、ラーメンが旨ければ、それだけで儲かるわけではない。いくら旨いと言っても、オペレーションが悪ければ、お客様は離れていく。
工藤社長が、運営を支援する理由でもある。
ちなみに、工藤社長についてもう少しお話する。
19歳でキャッチになり、21歳で本格的に飲食の世界に入った工藤社長は、初めての会社で、当時、最短で店長に抜擢されている。数字、経営を学ぶために転職した飲食店では、営業部長となって業績に貢献。個人を表彰するイベントでは、軒並み優秀なスタッフがいるなかで、7つの金賞のうち5つを獲得している。
<そのあとに起業ですね?>
「そちらの会社で部長になって、ブランドを育てたあとですが、コロナ禍ってこともあったんでしょう。会社の業績も厳しくなって、店舗を買い取らないかという話がありました。私はまっさきに立候補します」。
これが、25歳のとき。
任されたのは、コロナ禍の下で苦戦していた北千住店の肉バル店だった。
「買い取らせてもらうという約束だったんですが」。なんでも、Uber Eatsを導入して、V字回復したことで、約束は反故にされてしまったそう。
「それじゃ、約束もちがうでしょ。なので、特別、プランがあったわけじゃないですが、そちらを退職。そもそも、私が飲食の世界に入ったのは、人が好きだったから。デリバリーだとお客様とのコミュニケーションがむずかしい。ただ、コロナ禍だったんで、さきほども言いましたが、起業の前に委託されて、バーチャルレストランを運営します」。
オリジナルでスタートしたバーチャルレストランは、すぐに300万円を売り上げることになる。「そこで、開業の費用を貯め、2021年12月に、祖父の名をもらった「らぁ麺善治」をオープンするんです」。
オープン時の話も伺っている。
「365日、休みなしです。朝10時〜深夜2時まで。それこそ、お店で寝泊まりして、ネットカフェでシャワーを浴びて。そういう生活がつづきました」。
コロナ禍でオープンしたから、国の「支援金」も貰えなかったそうだ。だが、考えてみるとそれもまた工藤社長を育てる結果につながった気がする。
それにしても、まだ起業して4年目。その点にも驚かされた。2028年までに直営店12店舗、FC10店舗が今の目標。最終的な目標は「上場」だという。
「特定技能制度」を利用して飲食店で働く外国人の研修を請け負う事業など、構想の幅も広い。
ラーメン店の店主といえば、職人気質の人が多いと思っていたが、工藤社長は、今までにお会いしなかったようなラーメン業界の新人類。
営業利益率平均30%。
新人類が生みだした世界は、どこまで広がるんだろう。ちなみに一般的なラーメン店の平均的な利益率は5〜8%と言われている。

思い出のアルバム

 

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