ジャパントータルロブロス株式会社 代表取締役社長 Yocco氏 | |
プロフィール | 東京都立川市生まれ。祖母の代から続く小料理店に生まれ食に囲まれた幼少期を過ごす。高校卒業後すぐに飲食業界へ。「ロイヤルホスト」やイタリアンジェラートの「ドナテロウズ」で接客オペレーションなどを修得。2004年、現会長の坂井克郎氏とともにジャパントータルロブロス株式会社<LOBROS>を起業。2013年12月に朝日新聞出版から「ヨッコーズフレンチトーストカフェのとっておきレシピ」を出版。 |
主な業態 | 「Yocco’s French Toast Cafe」「Yocco’s Kitchen Bake & Cafe」「LA LOBROS PAN TABLE CAFE」他 |
企業HP | http://www.lobros.co.jp/ https://www.youtube.com/watch?v=eJZ1Xsx7TOs |
Yocco’s Kitchen Bake & Cafeは北海道の食材を厳選し、“Tasty, Healthy, Happy”にアレンジしたメニューが揃う、北海道がテーマのカフェレストランだ。同店はオープン初日から軽快な足取りでスタートし、今も尚、話題を集めている。
「このお店は、私が初めて全面プロデュースしたお店です。イスの高さや座り心地、スプーンの口当たりひとつに至るまで、女性の感覚や視点を大切にして選び抜きました」、とYoccoさんは話す。
店内に入ると、オープンキッチンが真っ先に目に入る。「料理のライブ感をお客様に楽しんで欲しくて」、とYoccoさんはほほ笑む。
何より驚いたのは、北海道の食材を開拓するために部長をわざわざ北海道に移住させたという話を聞いた時だ。
「北海道は食の宝庫なので、以前からずっと気になっていました。何度か視察を重ねるうちに、本気で食材や生産者の方々と向き合うには移住しかないと、元料理人の部長に白羽の矢を立てました。部長が移住して2年経ちますが、有り難いことに今ではLOBROSだからと特別に分けていただいている食材がほとんどです」。
部長は月の半分が北海道、もう半分が東京という生活らしいが、そこまでして「食材」にこだわる理由はYoccoさんの生い立ちを伺うと自然と理解できた。
Yoccoさんは東京都立川市で、代々続く小料理屋の娘として生まれ育った。「祖母の代から私の実家は料理店です。父は大工でしたので、店は母が運営していました。私は幼い頃からこのお店が大好きで、いつもお店の手伝いをしていました」。
何より聞いていて面白かったのは、その家庭のあり方だった。当時を知る、会長であり夫の坂井克郎氏は一つのエピソードを教えてくれた。
「彼女の家に遊びに行った時のことです。台所の床にブルーシートが敷いてあって、その上をみんなが足踏みをして、何度も何度も行き来しているんです。僕はてっきり雨漏りか何かをして修理しているのかと思ったら、実はうどんを踏んでいた(笑)裏庭には梅や大根が干してあって、彼女の家はそれが自然だったんです」
Yoccoさんは続ける。「祖母の代から料理店をやっていたこともあって、お付き合いの幅が広かったんだと思います。家にはカギをかけた記憶もなくて、家族がいない時でも誰かが我が物顔で家にいました。知らない人まで勝手に入ってきて、気づいたら宴会が始まっている、そんな賑やかな家でした。私はそこでツマになるものを作っていました。」
「たまに自宅に知人や友人を招いてちょっとしたパーティーをするのですが、彼女がそこで本当にちょっとしたものでも振舞うと、大絶賛の嵐なんです」と、坂井氏は話す。料理のコツは食材の切り方や厚みだったりするんですけどね、と、Yoccoさんはさらりと教えてくれた。きっと幼少からの経験が、自然と彼女を料理の天才にしたのだろう。
姉妹は姉と弟の3人。しかし実家の料理店に頻繁に出入りしていたのは、真ん中のYoccoさんだけだったそうである。「どうしてでしょうね。私は料理も大好きになったし、人と接することも大好きになった。人好きな母や祖母の性格を兄弟のなかで一番私が受け継いだのかもしれません。そして、こういう環境で育ったことは私にとって、大きな意味を持っていると思います。誰とでも気兼ねなく会話できるようになったのもそうだし、だいたい、誰と会話してもストレスがないし、抵抗も感じない。これってとっても『飲食向きの性格』だと思いませんか?」
「彼女が年末年始に手伝いに行くと、大金を持って帰ってくるんです。どうしたのか聞くと、お客様たちがお年玉をくれたと。それくらい彼女はみんなから慕われていたんです」と、坂井氏もその魅力を惜しみなく話すのだった。
その中でも特に、Yoccoさんの人柄を裏付けるエピソードがあった。
Yoccoさんは高校を卒業後、ロイヤルホスト株式会社に就職し、立川店に勤務する。
「近くに米軍の基地があるのですが、彼女が勤務している日には彼女に会いに来る米軍の隊員たちで行列ができるんです。こんな店員、見たことないと度肝を抜かれましたね。しかも彼女は広い店内を一人で回しているんです。そこにも驚きました。彼女は僕が勝てない存在の一人です」と、坂井氏は話す。
Yoccoさんがいるだけでお店の雰囲気が変わると言われるほど、Yoccoさんは自然と誰とでも打ち解け、空気感さえも変えてしまう。そんなYoccoさんの明るさが、彼女のファンを増やしていったのだろう。
「ロイヤルホストでは7年くらい勤務していました。その後、お声掛けいただいてイタリアンジェラートの『ドナテロウズ』に転職しました。こちらでは作り手の気持ちを知りたくて、販売のみならず製造も担当しました。その後も様々な経験を通して飲食店経営のノウハウを学び、会長と一緒にLOBROSを立ち上げたのはこの後です」。
LOBROSの社長と会長は、ご夫婦である。会長もインタビューに同席されたこともあって、仲睦まじいご夫婦の様子が伺えた。会長の坂井氏は、株式会社サザビーリーグでアフタヌーンティーなどの飲食部門の責任者を務めた後退職し、LOBROSを起業。苦しい時期も少なくなかったが、常に傍らにあり、サポートしていたのが Yoccoさんだった。
結婚して20年。付き合っていた期間を含めれば高校時代にまで共通の記憶を遡ることができるそうだ。
「まったく正反対の環境で育ってきた2人です。彼の家は逆にエリートと言うのでしょうか、物静かで、お正月もホテルのレストランで、みたいなお家でした。」Yoccoさんの言葉を受け、会長も続ける。「でも、かえってその違いが、私たちには良かったのかもしれません。僕も彼女もそれぞれお互いの文化の違いを知ることで、一層世界が広がったと思います」。
しかし経営となれば言い争うこともあるのではないか。「山もなければ谷もない。大きな喧嘩をしたことがないですね。話を詰めていくと、考えていることが二人とも同じなんです」と、二人は顔を見合わせるのだった。
LOBROSは全国各地の商業施設からオファーがかかる超人気カフェだ。
代表的な店舗は渋谷ヒカリエにある「LA LOBROS PAN TABLE」だろう。常に行列が絶えない繁盛店だ。それは、食に対する真剣な想いが根底に流れているからだと取材を通して感じた。
「食べることは人間の“生”に直結します。一番基礎的なことなので、そこを疎かにしてはいけないと思ってるんです。そのために自由が丘に店舗をオープンするときは有機野菜にもこだわっていました。今から約10年前のことです。」とYoccoさんは話す。
「ご覧いただいたら分かりますが、LOBROSの客層は大半が女性です。9割以上と言っても良い。だからこそ、女性目線の店舗づくり、女性にしかできないお店づくりを彼女にしてもらいたいと思っているんです。次世代につながる食文化を育み、女性が女性を幸せにする企業を目指したい」と坂井会長も期待を隠さない。
そして、Yoccoさんが全面的にプロデュースしたというのが、さいたま新都心にオープンした「Yocco’s Kitchen Bake & Cafe」だ。そのこだわりについては、すでに冒頭で記した通りである。
LOBROSの店舗数は11店、さらに10月末にはららぽーと海老名に新業態「LOBROS×Yocco’s RICO TABLE(ロブロス バイ ヨッコーズ リコ テーブル)」がオープンし、12店舗となる。今後の展開にも興味が湧く。
LOBROSの企業理念は「街づくり」だが、一方で「日本の家庭食を世界へ」という夢もあるそうだ。
「今の若者は日本食の良さを多分あまり分かっていなくて、逆に海外の方のほうが日本食を良いと思って下さっている。今の若い人たちに日本食を好きになってもらって、もっと近くになってもらいたいと思っています」。それは、祖母、母と続く小料理店の娘、Yoccoさんの素直な思いだろう。
そして、最後に店舗づくりの秘訣を教えていただいた。
「思いやり、気遣い、心遣いがあるのか。かたちではなく、それが1番大事なことだと思います。例えそれはスタッフ同士でも一緒です。LOBROSのメンバーには、誰に対しても、『ありがとう』をたくさん伝えるようにと教えています。ありがとう、はただそれだけで人を幸せな気持ちにしてくれます。実はこれは父から教わったことなんですけどね」と、Yoccoさんは少しはにかんで話してくれた。
食と人と常に真剣に向き合い続ける、だからこそ、LOBROSというブランドの魅力が同業他社とは異なる輝きを持って支持され続けるのだろう。これからもその動きから目が離せない。
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