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第782回 株式会社ラックバッググループ 代表取締役 斉田教継氏
update 20/04/07
株式会社ラックバッググループ
株式会社ラックバッググループ 代表取締役 斉田教継氏
生年月日 1974年2月5日
プロフィール 大学卒業後、機械メーカーに就職し、インドでの営業活動など経験したあと、ドイツの機械専門商社に転職。ドイツ人の仕事観や人生観に衝撃を受ける。金融と営業スキルを修得するため、外資系生命保険会社に転職。個人・法人向けの生命保険販売を行う。2007年3月、現会長の河本賢二氏と共同で創業する。
主な業態 「LoyKratong Resort」「Ginger's Beach」「Colonial Beach」「The Meat & Laboratory」他
企業HP http://luckbag.jp/

ドイツ企業で知った、日本人にはない仕事観。

今回ご登場いただいた、ラックバッググループの代表取締役 斉田教継氏。
「学生時代、サマースクールで1ヵ月ですが海外を経験します。その時から就職したら、海外で仕事をしたいと思っていました」。言葉通り、大学を卒業したあと産業機械のメーカーに就職。東南アジアやインドを舞台に仕事を開始する。
「インドはほぼ全土で営業活動しました。その後、ドイツのパッケージング機械の専門商社に転職します。こちらで、私のその後のキャリアに大きく影響する人生観を学びます」。
どういうことでしょう?
「当時から、ドイツと日本は仕事観が、断然異なっていました。たとえば、私が毎日遅くまで残業をしているとドイツ人の経営者が近づいてきて、『何をしている? 早く帰りなさい』っていうんですね。ドライってわけではないんです。『夕方以降は自分の時間なんだから大切にしなさい。会社は一生守ってあげることはできないから。』っていうんです」。
経営者がですか?
「そうです。びっくりしました。今では日本でもそういう経営者が少なくないと思うんですが、当時の日本人は、はたらき蜂だらけ。私もその1人でしたから/笑」。
「ドイツでは、バケーションはしっかりと取ります。それができる『しくみ』があるんです。Aさんが休めば『Aさんの代役をするBさんがいる』みたいな。バケーション時のフォーメーションを数カ月前に計画的に組むんです。でも日本では、お客さんから担当のAさんに電話があって、『バケーションです』なんていうと、へたすりゃ怒られますよね。
日本、とくに飲食は、そういう風なバケーションもそうですが、『人』重視の環境にならないといけないと思っています」。

生存競争と、過剰な労働と。

実は取材の冒頭で斉田氏は、日本と海外の「飲食事情」の違いを説明してくれた。
「海外の都市によっては、街の店舗数が決まっているところもあります。それ以外の参入障壁もあり、飲食店をオープンできるハードルが高いところも多いです。東京は人口当たりの店舗数も世界一で、そのおかげもあり全体のレベルも高く、ミシュランの星の数も世界一多い」。
消費者にとって、飲食店が多いこと自体は悪いことではない。だが、飲食に関わる者からすれば、笑い事ではすまないと斉田氏はいう。
「飲食店が過当競争なんです。競争に負けた飲食店が次々にクローズしていきます」。
たしかに、飲食業界の生存競争は、熾烈である。これも、飲食の生産性を低下させている要因の一つだと、斉田氏。
「そもそも日本のサービス業の生産性は諸外国に比べ低いんです。なかでも『宿泊・飲食』は、特筆ものです」
「長時間労働がはびこっているんですね。にもかかわらず、一部をのぞいて賃金が低い、当然、休みも少ない」。
「それでも飲食で働いている人は、みんなピュアに飲食が好きだから頑張っているんですね。これって、なんとかしないといけないことだと思いませんか?」。

現会長、河本氏と、創業。

そもそも斉田氏が、飲食に入るきっかけは何だったんだろうか?
「ヨーロッパの機械メーカーの日本市場開拓を手伝ったり、展示会やセミナーなどで講師を務めたりしていました。そのあと、外資系の保険会社に就職します。業界最強の営業トレーニングを受け、金融知識を学ぶことができました」。
営業力では、当時業界ナンバー1の会社だった。そのぶん、競争もはげしい。
「そのなかで結果を残していかなければいけないので力もつきます。そちらの会社では、個人・法人に生命保険のコンサルティング営業をから多くのことを学べました。ラックバッググループを設立するのは、そのあとです」。
経緯は、単純だ。
「現会長で共同経営者の河本が、ハワイアンカフェの店長でした。彼は人望もあつく、オペレーションもうまい。私がパートナーになれば、彼の”ちから”を何倍にもできると思ったんです。じつは当時、私は彼の店の常連客だったんです/笑」。
それで2人で、2007年3月に創業されるわけですね。
「そうです。六本木に小さなレストラン&バーをオープンします」。
沿革をみると、以降、次々と出店を重ねていることがわかる。
同年10月、麻布十番にフレンチレストラン「サンス麻布十番」をオープン。翌2008年9月には、横浜駅東側に「Ginger’s Beach」をオープン。2009年10月にも横浜元町に「Oriental Beach」をオープン。それからも、年に1店舗以上、オープンしている。オープンがなかったのは、2012年だけだ。
ここで特筆すべきは、坪数だろう。100坪ちかいレストランも少なくない。
「20019年秋に横浜みなとみらい新港ふ頭のハンマーヘッド2階にオープンした『COLONIAL BEACH』は約133坪です」と斉田氏。
いずれのレストランも洒落ている。
「コンセプトは、リゾートですね。会社帰りにいけるリゾートです」。なんでも、ドラマや映画の撮影につかわれることも少なくないんだそう。
「恋ダンスでも有名になったあのTVドラマでも何度か登場しています/笑」。

おもてなし日本代表。

では斉田氏は、今からどんな仕事をしていきたいと思っているのだろうか。
改めて聞いてみた。
「とにかく最初にお話しした通り、飲食というのは生産性が低いんです。それを前提にすると、会社としても成長しない。よってスタッフたちの給料もアップしないし、休みも充分には取らせてあげられない」。
生産性が低いままだと、たしかにそうなる。
「そういう意味で、生産性のアップは当然やっていかなければいけない。ただそのためにも、私は評価制度が大事であると思っています」。
「たとえば、単純な作業の評価ではなく、理念に基づいた行動ができているかを評価する『ステップアップシート』や『360度評価』といった評価制度を用意し、昇進などに用いています」。
オープンで、公平な評価制度だ。斉田氏は、仲間1人1人に焦点をあてつづける。
「先日、うちの店とそっくりな店がオープンしてびっくりしたんですが、少し流行ると、ご存知のようにすぐにコピーされてしまいます/笑」
たしかに店名までパクるのが、飲食業である。
「ですが、飲食店の重要なポイントは内装とかしくみとか、そういうのではなくて、結局は『人』であると私は思っています。良い意味で『人』のクオリティに依存した業態はコピーできません」。
企業目標は何ですか?
「私たちは、『おもてなし日本代表』を企業目標に掲げています。同時に掲げているのが『好きなことを仕事にして、そして人生の成功者になれる会社』です。いずれも簡単ではないですが、できるだけ早く実現していきたいと思っています」。

飲食の世界にさす光に。

飲食出身でないからかもか、飲食の経営者のなかで、斉田氏はたしかに異彩を放っている。そんな斉田氏は今、2つの覚悟を挙げている。
まず、会社の覚悟として<業界内で最高レベルの待遇と環境を必ず作る覚悟>を挙げる。そのうえで、社員にも覚悟を求めている。それは<必ず業界内で一流のプロになる覚悟>だ。
たしかに、この2つの覚悟がそろえば、より大きな歯車が動きだす、そんな気がする。
現在、ラックバッググループでは、独自の評価制度や教育に注力する一方で、アルバイトの活用にも独自の発想で切り込んでいる。社員とアルバイトを上下関係ではなく、並列関係にする人事制度をスタートさせた。
これがうまくいけば、学生アルバイトがステップアップし、新卒入社時には、平均的な新卒給与よりもはるかに高い額になることもありうるそうだ。むろん、残業の削減、有給休暇の取得日数の改善など、労働環境にも目を向けている。
斉田氏は、先日開催した「2019年度の全社イベント」で、「本気で夢中になれる仕事をしていますか?」とスタッフに問いかけている。
次の一文も掲載する。
「チーム内で自分がそんな活躍ができるのか? そんな貢献ができるのか? 不安な人はたくさんいると思います。ただ心配することはありません。全員がリーダーシップを発揮しなければなりませんが、全員がエースである必要はありません。各個人が、自分が貢献出来ることを探して、その役割を果たすこが最も重要なのです。
仕事というのは決して会社のためにするものではありません。自分の目標や夢を実現するためです。チームのみんなで共に目標達成する喜びを味わいたい。そんな人に働いてもらいたいのです」。
この一文に、斉田氏という人の思いが詰まっている気がする。
結局、仕事というのは、自分と自分を含めた誰かを幸せにすることなのだろう。会社というのは、そうした個人があつまることで、効率的かつ感動的に、幸福を追いかけていくことができる装置であるべきかもしれない。
今回も、いい話を伺った。
斉田氏とともにラックバッググループは、飲食という世界にさす、新たな光になるかもしれない。

思い出のアルバム
 

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