株式会社RYコーポレーション 代表取締役CEO 横山藤雄氏 | |
生年月日 | 1975年2月28日 |
プロフィール | 2006年、経営不振店の運営受託から事業スタート。「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」のフランチャイズとなって急成長を果たす一方、自社ブランドの構想を練り、ベルギービールとロティサリーチキンをコンセプトにした「LA COCORICO」を上野にオープン。「LA COCORICO」が足掛かりとなり、その後は多種多様な業態を開発し展開していく。その中の1つ、「薪火で焼き上げる極上肉」と「天然酵母の自家製パン」をコンセプトにした「MEAT&BAKERY BURMBO(現在は閉店)」が三井不動産のスタッフの目に留まり、2019年11月22日に開業する「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」への出店が決まる。 |
主な業態 | 「E'VOLTA」「LA COCORICO」「ビストロガブリ」「Merengue」「The French Toast Factory」他 |
企業HP | https://www.ry-corporation.com/ |
<社名のYは、横山さんのYでしたよね? Rは聞いてなかった気がします?>
前回の16年前のインタビューを思い出しながら、そうたずねた。
「Yは、正解、横山のYです(笑)。尊敬する人にも、Yがつく人が多かったってこともあるんですが。Rは、レボリューションのRです。革命というとオーバーかもしれませんが、今までにない文化を育て、新たな時代をつくるという想いを込めています」。
<今や、その想いどおりの会社になられていますね。ホームページをみると驚くばかりです>
「前回はたしか2009年。創業から3年目の頃。会社もですが、私もまだ若かった(笑)」。
<インタビューは六本木に「GABURI SHARE」をオープンされた時で、『ステーキハンバーグ&サラダバー けん』も絶好調という印象でした>
「そうそう。『ステーキハンバーグ&サラダバー けん』が、ぐーーと行く時ですね」。
<「けん」のなかでも初期の加盟店でしたね?>。
「『けん』の創業者である井戸さんとは肉の流通で相談に乗らせていただいていて。そういう関係もあったので。うちの多摩センターがFC2号店です」。
今回、改めて話を聞いて驚いたのは、やはり「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」のこと。
「多摩センターは、そうでもなかったんですが(笑)。次にオープンした国分寺が半端なかったです。毎月残るキャッシュがすごい額になって。『味の素スタジアム』にもオープンするんですが、こちらは、月商2000万円。『けん』のなかでも、トップでした」。
とにかく、オープンするたび爆発したという。
ただ、そこに危うさが潜んでいた。
「ステーキでしょ。サラダもそうですが、カレー食べ放題っていうのが、社会のニーズとマッチしたんでしょうね」。
<井戸さんがハイエナと自称し、マスコミから追われていた頃ですね(笑)>
「そうでしたね。でも、ほんとうのハイエナは、『けん』を真似て食い物にした大手資本の会社かもしれません」。
ちなみに、「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」は、ロードサイドで撤退したファミリーレストランなどの居抜き物件を狙ってオープンを重ねる。
当時、創業者の井戸さんは自身のブログで「ロードサイドのハイエナ」と自称し、マスコミもその言葉を追随した。
「うちは13店舗まで、フランチャイズ契約のレストランをオープンしました。井戸さんの方、つまり、エムグラントフードサービスはFC含め300店弱まで出店されたはずです。ただ、大手資本のファミリーレストランチェーンが、『けん』をコピーし始めると太刀打ちできなかった。オープンすれば爆発するもんですから、人材の育成も追いつかず、体制のブラッシュアップもできていなかったんです」。
<「けん」はFCですが、前回お話をうかがった、「GABURI SHARE」は自社ブランドです>
「『けん』が好調で資金的な余裕がありましたし、創業前から『自社ブランドをつくる』と宣言していたんです」。
<それが今のクリエイティブ系レストランにつながっていくんですね>
「そうですね。ただ、『GABURI SHARE』は、今じゃやらないコンセプトですが(笑)」。
横山さんが、生まれたのは1975年。前回のインタビュー時は34歳だったが、今回(2025年)は、ちょうど50歳になられていた。生まれは茨城県。お父様はお祖父様から続く、精肉の卸業の2代目だった。
「親戚を含め、商売人が多かった」と横山さん。だからだろう。子どもの頃から独立が頭にあったそう。ただ、「起業するにしても、飲食じゃなかった」と笑う。
前回のインタビューでは、その「飲食」をスタートするまでの経緯を追いかけた。こちらでも少しトレースする。
高校卒業した横山さんは進学することなく、ビジネスの扉を開く。
就職したのは、尊敬する親戚の叔父さんが紹介してくれた埼玉県の「精肉店」。「25歳で独立する」と宣言して入社し7年間、ひたむきに修業を続け、宣言どおり25歳で退職。
独立準備を進めたが、修業のため、もう一度より規模の大きな企業に転職することになる。業種はおなじ精肉とスーパー。こちらの会社で、思いがけず飲食業に進むことになった。
改めて、横山さんにその経緯をうかがった。
「親戚の叔父さんからも、まだ早いと指摘を受けて、いったん独立を断念します。そして、より深く、広い視野で学ぶため、前職より大きな会社に転職しました。ありがたいことに、そちらの社長からも高く評価いただき、飲食チェーンのFCに加盟した時、その店をお任せいただいたんです」。
<それが、土間土間ですね?>
「そうです。昔、飲食で独立するとは思っていなかったんですが、縁があり、独立とまではいきませんでしたが、晴れて私の店をもつことができました。ただね…いくらがんばっても、一度も黒字にならなかったんです」。
横山さんが苦笑する。
<初期投資が重く、どうしたって赤字になってしまうとおっしゃっていましたね>
「当時の社長が『撤退だ』といい、私にだけ『会社に残れ、スタッフはどこかに引き取ってもらうから』と言ってくださったんですが、採用したスタッフたちを見捨てる真似はできませんでした。それで、社長にお願いして運営を私に委託していただきました」。
<赤字覚悟のスタートですね?>
「これも、縁だと。まさか失敗するとは思っていなかったし、その店の運営を委託してもらって独立するとは、これっぽっちも思っていなかったから、不思議な縁ですね(笑)」。
人は縁によって結ばれ、縁によって新たなスタートを切る。ロードサイドのハイエナこと、エムグラントフードサービスの井戸実社長との出会いも、その一つ。
「一つのご縁を大事にすると、もう一つのご縁が生まれていくんですね。自社ブランドの『GABURI SHARE』をオープンする時に、ジョインしたのが、今の専務です。彼とは、もともと縁があったんですが、クリエイティブなアイデアマンで、今のブランドの多くのコンセプトは彼がつくってくれています。もう一人は、総料理長です。彼は『GABURI SHARE』をたたみ、上野に『LA COCORICO』をオープンする少し前に縁あって参加してくれました」。
なんでも、イタリアのミシュランガイドの星付きレストランで修業したのち、帰国。有名ホテルの総料理長などを歴任された実力シェフだそう。「そんな人が、まさかね。とても人格者で、専務のアイデアを、かたちにしてくれたのは、すべて総料理長です」。
<土間土間、ステーキのけんが第一章。そして、自社ブランドをきっかけに第二章の幕があがります>
「そういう位置づけができると思います」。
<いよいよ「R」を体現されていくことになりますね>
「そうですね」。
「R」は冒頭で横山さんが言った通り、「レボリューション」という意味だ。
コンセプトは、専務と総料理長と3人で、という。強力なトリオ。役割がはっきりしている。
<六本木を閉店されたのはなぜ?>
「実をいうと漏水がやっかいで。直しても、直してもすぐに漏水するもんですから、保険でもカバーが難しくなって。それで、そちらをクローズして、上野で再チャレンジします」。
上野駅から徒歩1分、岩倉高校のそば。
「当時は10人に相談すると10人とも反対するようなロケーションでした。でも、最終的には直感を信じて『LA COCORICO』をオープンします」。
<ベルギービールとロティサリーチキンですね?>
「当時でいうと、ぜんぜんロケーションにそぐわないブランドでした。当時の上野は、ビールとやきとりが文化の街だったんです」。
<その文化をひっくり返す?>
「最初からとはいきませんでしたが、メディアも注目してくださって」。
<『LA COCORICO』が、もう一つのはじまり…、つまり、第二章の幕開けですね?>
「そうです。『LA COCORICO』を皮切りに、多種多様な事業を展開してきたおかげで、声がかかるんです」。
声の主は、三井不動産のホテルを開発する担当者だったそう。
「その担当者から、2019年11月22日に開業する「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」への出店オファーをいただきました」。
提案された条件は破格。
「私自身ブライダルやホテルに興味があったもんですから、私一人なら、すぐに『やります』なんですが」。
<横山さんでも、やはり悩むものですか?>
「そうですね。悩みます(笑)。だって、ホテルとなると朝食、ランチ、アフタヌーン、ディナーでしょ。やったことがない。二度とないようなスペシャルなお話だと思いながらも、なかなか決断できませんでした」。
<でも、やるとなった?>
「スタッフのなかにホテル業界にネットワークがあって、知人がいるからなんとかなる、なんていってくれるのがいて。みんながやりたがっていたんですね。だったら…だったらやってみるか!と」。
<そのあと銀座にも、みなとみらいにも出店されています>
「そうなんです。スタッフたちが私の背中を押してくれたおかげで、出店させていただくことになり、私はまだまだと思っていますが、三井さんには高くご評価いただき、『三井ガーデンホテル銀座プレミア』『三井ガーデンホテル横浜みなとみらいプレミア』の時もオファーをいただき、オープンさせていただくことになりました。じつは、三井さん以外にも野村不動産からも声をかけていただき、そちらでもオープンさせていただいています」。
ホームページをみると、つぎつぎと素敵なブランドが姿を現す。
そのなかの一つ、<ハワイ カフェ レストラン「Merengue」>が気になったので聞いてみた。
「リスクヘッジという意味合いもあって。夜の業態だけではリスクがあると、昼の業態も視野に入れていたんです。カフェといったらベーカリーカフェなんですが、それじゃ、面白みがないし、夜が取り込めないでしょ。そういう時に、ハワイアンブームがあって。ブームってすぐ終わるイメージがあるんですが、そうじゃなく文化にすればいいと。プロ集団のうちがやれば、ブームをカルチャーにアップデートできるんじゃないかと」。
ふわふわのパンケーキが、食欲をそそる。ディナータイムにはステーキも、ロコモコも、ワインもある。「オープン直後から周囲の評判も良かった」とうれしそうだ。
RYコーポレーションは今、16年前にはまるで想像できなかった世界観をもったレストラン・カフェ企業に変貌している。
業績も70億円を突破して、海外出店やホールディングス化も視野に入れているという。
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