株式会社けむり 代表取締役社長 小松大地氏 | |
生年月日 | 1982年3月23日 |
プロフィール | 国士舘大学卒。グローバルダイニングに就職。赤坂「いやま」のオーナーに声をかけられ、オープンから参加。焼鳥の世界に魅せられ、2008年、26歳の時に府中に1号店「炭火串焼けむり」を出店する。 |
主な業態 | 「けむり」「代々木鳥松」「魚きんめ」「和食ごしき」「鮨かんてら」「三茶貝介」 |
企業HP | http://www.kemurigroup.com/ |
大学を卒業し、新卒で入社したのは、グローバルダイニング。
「4年で卒業できていたら、大手の不動産会社に就職していた気がします」と、今回ご登場いただいた「けむり」の小松社長。
大学時代4年間つづけたのはキャッチのバイト。飲食とはその時からの付き合い。
「だからといって、飲食というよりキャッチですから営業に向いているかなと」。たしかに、歌舞伎町を舞台に4年間キャッチをつづけたのは一つの才能だ。
「単位がひとつたりなくて、留年してしまいます。そのとき、暇だったこともあって、図書館で偉人の本を読み漁ったんです。私にとってターニングポイントの一つ。当時のグローバルダイニングの給料はハンパなかったんですね。もともと親父が、大学教授だったもんですから、公務員の様な安定した仕事に魅力を感じなかった。グローバルダイニングを選択した理由の一つです」。
グローバルダイニングさんはいかがでしたか?
「新卒者にも試用期間があるのは珍しくないことだと思いますが、何しろ、当時のグローバルダイニングですから笑。3ヵ月の試用期間、終了後、アルバイトを含めた全員に諮られるんです。『正社員にしていいかどうか』って」。
どうでした?
「笑っちゃうんですが、風見鶏のバイト君をのぞいて、全員一致で反対です笑。それで、アルバイトに降格です。けっこうきつかったです」。
それは、そうだろう。何がいけなかった?
「『接客もできる。優秀かどうかといえば、優秀にちがいない。実際、お客様からの評価は高い。でも、小松君はチームで仕事をしない。どこかで、できない人をバカにしている。そんな人に正社員になってもらいたくない』というのが、みんなの総意です。そういわれて、『たしかに』と反省するんですが、むろん、心のなかでは、『いつかみていろよ』って」。
しかし、満場一致で、反対とは、辛い。新卒者にとって強烈な先制パンチ。月給が時給になった。時給900円。こちらも満場一致の結論の一つ。
「たしかに、凹みましたがグローバルダイニングに就職したのは、私にとって一つの財産です。当時は、すごい先輩たちがいましたしね。ただ、長くは在籍していません。あるとき、お客様に声をかけていただき、あるお店を創業からお手伝いします」。
それが、「いやま」さんですね?
「そうです。焼鳥業態にも関心がありましたし、お店を立ち上げから経験できるわけですから、お声かけいただいて、すぐに『お願いします』とご返事させていただいたんです」。
客単価7000円の焼鳥業態。客を虜にするプロの職人は、小松社長の心もわしづかみにする。
「かっこよかったですね。グローバルダイニングとはまた違ったプロの世界です。私は、こちらを辞め、『けむり』を創業するわけですが、焼鳥業態を選択したのは、『いやま』で勉強させていただいたから。もっとも客単価はまったくちがいますが笑」。
「けむりは、住宅エリアということもあって、格安です。とにかく、お客様においでいただきたかったから」と創業当時について話す小松社長。
ビールはキリンのハートランド500円。旨い焼鳥が1本190円。キャベツとウーロン茶は飲み放題。
「お通しもなかったから、キャベツとウーロン茶だけなら、無料です笑」。
キャベツ無料はなくはないですが、ウーロン茶も無料って
「そうなんですが、お酒が飲めない人にも、うちの旨い焼鳥を食べてもらいたかったんです」。
ホームページをみると、驚くのが、「まずければお代は頂きません」の一言。絶対的な自信の表れ。サブキャッチは、≪毎朝、山梨県産、朝引き健味鳥を丸で仕入れ、自ら解体する最高の鮮度! フォアグラの様にとろける鳥レバーや刺身用の内蔵類を絶妙なレアーで焼き上げる≫とつづいていく。
「賃料は高かったですし、スケルトンからなんで投資もけっこうな額かかりましたが、ロケーションも抜群で、おかげ様で初月から好調。2号店をだすのも早かったです」。
資金は、独立のため、たばこもジュースもやめ貯めた数百万円と父親が結婚式のためにとっておいてくれた数百万円、そして、金融機関からの借り入れ。
返済も無事、うまくいった。
「じつは、『いやま』で仕事をさせてもらっているとき、今も付き合いがあるんですが、ある店のオーナーに『とっととでてけ!』って一喝されるんです」。
酒を飲みながら、そのオーナーにぐちっていたそうだ。「何にもわかってない若造が、いやまの方針にぐちぐち文句を言っていたんです。そしたら、その店のオーナーに『お前よりオーナーのほうが100倍偉いわ。ぐちぐちいっている奴はとっととでてけ!』って店を追い出されてしまったんです。今思えば、私の間違いをただし、そして、背中を押してくれた一言でした」。
「いやま」のオーナーは、絶対的なお手本でもある。しかし、小松流でいくなら、独立するしかない。
「儲かりましたが、たいへんでしたよ。10時から仕込みをスタートして、最初は24時までだったんですが、だんだん長くなって、けっきょく朝5時まで。始発が動き出した頃に自転車で自宅に帰り、またすぐに『いってきます』です。それでも、ちかくの同業さんから、『小松さん、めちゃくちゃ楽しそうだね』って言われるんです。『なんでわかるんですか?』って、いうと、『だって、だって朝からスキップして仕入れで八百屋に行っているオーナーなんてみたことないもの』って」。
「そうそうなんです。たしかに、スキップしていた気がします。店に行くのが楽しみで仕方なかったから」。お客様の笑顔は、小松流が、賞賛された証。楽しくない人間は、まずいない。
現在、「けむり」は6店舗、代々木鳥松、魚きんめ、和食ごしき、鮨かんてら、三茶貝介の直営店合計11店舗と暖簾分け6店舗のグループで17店舗。小松社長が、仕事を楽しみ、スキップをつづけてきた結果でもある。
ちなみに、グルメサイトでは、いずれの店も高評価されている。「ただし、」と小松社長。新たなチャレンジを宣言する。
「たとえば、」と言って小松社長は、構想を語りはじめる。「上司が、部下の女の子を食事に連れていくとするじゃないですか。焼鳥のお店なんですが、白木のカウンターなど、高級な鮨店のようなたたずまいで、店内のイメージからして焼鳥屋の内装と全然違う。じつは、鶏肉も、成熟させます」。
「代々木 鳥松」客単価は7000円〜8000円。。
「『けむり』はたくさんのお客様からご好評をいただいているわけですが、いうならば、どの町にも1軒はあるような店です。もちろん、それ自体は、大事にしていきたい日本の文化です。ただ、それとは違った焼鳥の文化があってもいいと思っているんです。素材の価格も上がり、炭だって値上がりしている。人件費はもちろんですし、そういう原材料費などの値上げにも耐性がある、既存の焼鳥店をアップデートしたお店です」。
日常使いの「けむり」とは一線を画す新たなチャレンジ。いうなら、焼鳥のイメチェン計画。「今からのうちのチャレンジに賛同してくれるような人材にも参加いただきたいですね」。
その昔、降格の烙印を押されて、スタートした飲食人生だが、それも悪くない。2022年、今年、めでたくゴールインもされている。
22歳。学生の時 | 2015年。会社のバーベキュー | 2018年。会社の忘年会 |
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