株式会社Human Qreate 代表取締役社長CEO 米田拓史氏 | |
生年月日 | 1991年11月22日 |
プロフィール | 日本大学卒。大学時代から陸上100メートルを始めたが、怪我などがあり、その道をあきらめる。大手ブライダル企業に就職し、周りが驚愕する結果を残すようになったものの、退職。2000万円ちかいオファーを複数社からいただいたが、独立の道へ。2号店、クラウドファンティグを利用し、資金を集める。現在8店舗まで総額2億円。この額は、飲食店では日本はもちろん、おそらく世界一。 |
主な業態 | 「焼鳥 一石三鳥」「和牛料理 一石三鳥」「鮨 鴉巣」「八面六秘」「鮨 豊」他 |
企業HP | https://shop.1seki3cho.jp/ |
料理の代わりに、1万円札を渡された。子どもの頃から外食が多い。かといって、マクドナルドやサイゼリヤなどは、NG。
父も、母も経営者だったから経営の仕事で、いそがしい。テーブルの向こうには、いつも弟1人。「ごくたまに祖母が、マクドナルドなど、NGなファストフードにも連れてってくれて。そりゃ、旨い!ですよね」。そう言って笑うのは、今回ご登場いただいた株式会社Human Qreateの代表取締役社長CEO、米田拓史さん。
「高いお金を払っていいものを食べたって、それだけじゃぜんぜんおいしくない。笑いながらみんなと飯を食う、これがいちばんだっていうのは、こどもの頃のさみしい食卓でみつけた、私なりの『旨い』の本質です」。
以下も、米田さんの子どもの頃の話。
「小学校では、できがよすぎて、イジメにあいます(笑)」。
スポーツも、勉強も、それ以外でもなんでもできるスーパーマンだった。ふつうなら賞賛されていいのだが、逆に怒りをかった。
一つだけ、褒められることがあった。
朝食の話。
「小学生のとき、朝ごはんは私がつくっていたんです。ウインナーとか、卵焼きとか。父や母が褒めてくれる、それが嬉しくて。ただ、その両親は私が10歳のときに離婚しています」。
両親が離婚しても、食卓のスタイルはかわらない。あいもかわらずひっそりしている。
「あの頃ね、ともだちの家でいただいたカレーライスとかが、むちゃくちゃ旨かったんです。怒られるかもしれませんが、カレーそのものは美味しくはないんです。でもね、みんなと食べると、世界がかわるんです」。
「中学、高校はサッカーです。高校は桃山学院といって、偏差値は70くらいです。ただ、私立ですから、スポーツ推薦で進学する子もいて。学力差は、あったかもしれませんね。大学は、日本大学に進みます。こちらで陸上部に入ります」。
入部するのに、2ヵ月、監督に受け入れてもらえなかったという。
「当時の日大の陸上部は、400人の規模です。だれもが高校時代から経験のある優れた選手たちです。そんななかにど素人が堂々と『入れてくれ』っていうわけですから監督からすれば、『舐めているのかこいつ!』ってなるわけですよ」。
「でも、こっちもひくわけにはいかない(笑)。サッカーやって、親にもお金を使わしていましたから、その道でプロになれたらいちばんなんですが、さすがに厳しい。サッカーと100メートルを天秤にかければ、100メートルのほうが可能性があると思って、サッカーを断念して、日大にきたわけですから」。
一度だけチャンスがほしい。そうすれば、俺が言っていることがわかると言い続けた。
「ついに監督が折れて、20種目くらいの基礎体力テストに混ぜて下さったんです」。
<結果はどうでした?>
「400人中1位です。もう、笑うしかなかったんでしょうね。おまえは室伏広治か、なんて冗談でね。とにかく、伝説の奴がきたみたいなって感じになって」。
1年生でオリンピックの強化選手に選ばれている。
「ただ、なまじっかはやく走れるだけに、からだがついてこなかったんです。ほかの選手は、言ったら走る訓練をつづけてきた人たちです。私は、サッカーをやっていたと言ってもね」。
<出力が大きすぎて、からだはついてこないというイメージですか?>
「その通りですね。結果、怪我に悩まされて」。
最高記録は10秒58。
「陸上競技をあきらめた私は、ブライダル業界に就職します。じつは1社しか受けていません。1/1ですね」。
就職談にも、米田という人が表れているので、そちらの話にも耳を傾けよう。
「ウェディングは苦手克服のために選択したんです」。
<どういうことですか?>
「割と簡単な話なんですが、陸上選手って、私もそうなんですが社交性がないんです。個人スポーツですからね。団体競技とは、ちがうんです」。
0コンマを狙うスポーツには、チームワーク精神すら邪魔になるんだろうか?
「自覚するかどうかは別にして、私はそういうのを知っていましたから、このままじゃあかんと。だから、ウエディングなんです。ウエディングってたのしくない時も笑わないといけないし、申し訳ないと思っていなくても、謝らないといけない。チームワークもいるし。当時の私は、敬語だってできない。礼儀正しく立つことすらできないヤバイで奴だったんです。だから、それを改善するにはブライダルだって」。
<たしかに、ヤバそうですね(笑)>
「ただ、わかっているのに、面接時からやらかしたっていうか(笑)」。
合同説明会にでて、感動したそうだ。
「にもかかわらず、普通なら落としてくださいっていうコミュニケーションしかできないんです」。
では、以下その時の実況中継。
「ぼくは、御社しか受けないんでお願いします」
「そうなの? 大丈夫じゃないかな。キミなら受かると思うよ」
「ぼくは、そういう、受かると思うよ、ってことで言ってないんで。時間がないから、もう受からせてくださいよ」。
まだ、一次面接。
<で、どうなったんですか?>
「エントリシートがいるというので、希薄のエントリーシートをだしました。名前はもちろん書いていますが。前代未聞って、電話がかかってきました(笑)。結果、2次、3次と進みます。いくら強気なことを言っても、社会性がないことは自覚していますから。そんな私に時間をくれる会社に、だんだん、愛情が湧いてくるんです」。
<愛すべき会社って意味ですね?>
「そうです。結果、2万人のエントリーというごく狭い門を突破して、就職できました。が、地獄はそこからです」。
無事採用されたが、配属されたのは宴会サービス。
「華やかなウエディングサービスのなかでも、目立ちたがり屋の自分にとって特に目立たない部署。配属を言い渡された時から心が折れ1年はアルバイト以下の感覚しかなかったです」。
「マジで仕事に行くのもいやだったですね」と米田さん。口調から、相当、イヤだったことがつたわってくる。
<でも、そんな米田さんがトップの成績を残すようになるんですよね?>
「2年目にカフェ&レストランに移るんです。最初は大阪だったんですが、今度は東京です。でも、志があったわけではなく、今までと同じモチベーションです。ただ、くそいそがしいところだったんで、残業代だけで給与が増えると思い、ウキウキして東京に向かいます。でも、やはり地獄をみるんです」。
「4億円のカフェ&レストランです。アルバイトって言ったってむちゃくちゃ優秀なんです。ぜんぜんかないません(笑)。社員なのに、なんでそんなこともできないの?って」。
「だから、むちゃくちゃ凹むんですが、その一方で、お客様から『ありがとう』って。仕事をして初めて褒めていただけるんです。すると、もっと褒めてもらいたくなる。珈琲、一杯1000円です。原価が50円とするでしょ。950円が付加価値です。じゃぁ、その付加価値ってなんだって、初めてそこにも目を向けるんです」。
「つまり、その950円っていうのは、私たちがつくる価値、そのものなんですね」。
お客様の服、オーダーされた食事、もっていらしたバッグの色まで、すべて顧客リストに記載した。
「今日のバッグは緑なんですねとか、元気が欲しくなったらまた来てくださいねとか。私たちのサービス一つで、実は1000円の珈琲が、2000円にもなるってことにも気づくんです」。
<地獄が、天国にかわる?>
「まぁ、いそがしいから天国とはいきませんが、そのぶん、残業代がつき、給料も入社2年目で50万円ちかくになりました」。
来店数は日に700〜800人。それを15名のスタッフで回す。米田さんは、スタッフをコントロールするようになっていく。
「当時の話になりますが、若いながらに気づいていました。実は、1回目は左遷でした。ですが、もう一回、左遷されます。今度は『みなとみらい』。ぜんぜん、お客様がいらっしゃいません。ハッキリ言って暇です。で、終わったなって思いました。だって、残業ができないから、前年の給料45万円から、真っ逆さま。前年の税金も引かれて、手取りが16万円(笑)」。
<それはヤバイ!>
「でしょ。だから、これは本気ださなあかんと思って」。
もともとマーケティングの仕事をしたいと思っていた米田さんらしい取り組みを開始した。
「おばあちゃんに100万円借りて、横浜中のカフェレストランすべてを回ります。すべての店をデータ化して、それを緻密に分析していきます。すべての店を丸裸にしたデータをもとに、運営を行いました」。
「1年目2000万円だった赤字が200万円まで改善され、翌年は1億円を叩きだし、2000万円の黒字を計上。もう、だれも私を疑わなくなりました」。
だが、自分の立ち位置はどれほどなのかを試したくなり、転職活動をスタート。
「すると複数社から2000万円近いオファーを頂きます。意外と自分の価値は高いことに気が付きました」。
市場価値2000万円だとしたら、あとで勝負してもいいと思ったそうだ。何のあとかはもうお分かりだろう。そう、ついに独立。
1200万円を借り入れ、スタートしたのが、今は予約も取りづらい高級焼鳥店「一石三鳥」。2020年10月のコロナ禍の下、法人需要が減り、アッパーなブランドが軒並み大打撃を受けなかで、「一石三鳥」はオープン以来、圧倒的な支持を集めた。
彗星のごとく現れた新人類的な経営者は、その勢いのまま次々、新店舗をオープンする。原動力となったのが、クラウドファンティングだ。
米田さんの仕掛けは、次々とハマる。クラウドファンティングの獲得額からも、米田マジックを評価することができる。その額、2億円。飲食店としては日本一。おそらく、世界でも一位だ。
ただし、ついその金額に目を奪われがちだが、予約が取れない人気店の秘密は、マジックでも、緻密な戦略でもない。
米田さんはこう言っている。
「いくら高級な店に行って、目が飛び出る金額の料理をいただいても、だからって美味しいって言えないと思うんです。たしかに、評論家の人はそれが仕事ですから、美味しいかどうかをシンプルにジャッジをします。たぶん、正解なんでしょう。でも、私たちはちがいます」。
「高級な食材をふんだんに使ったらそりゃまずくはない。でも、本当のおいしさって私は違うと思っているんです。たとえば、初デートで行ったファストフードで食べたハンバーガーって、むっちゃくちゃ旨い。初デートで、公園で食べたおにぎりやサンドウィッチも最高やと思うんです。私はブライダルっていうエンターテイメントな世界にいましたから、空間の大事さもわかっている。それも、おもてなしの一つです」。
「でも、本質は、そこではありません。やはり、大事なのは、どこで、何を食べるかより、だれと食べるか。そしてそれを食べて元気がでるかなんです」。
小さな頃の食卓は、まだ米田さんの頭のなかにある。だからこそ、だれかと一緒に食べる幸せを、つくる。その想いが快進撃の秘密だと言っても、けっして間違ってはいないだろう。
ちなみに、ホームページをみれば明らかだが、気軽に入れそうなたたずまいではない。予約も簡単には取れない。だとしても、あなたの大事な人と、一度だけでもいいから、おとずれてみて欲しい。米田さんが、あなたを思いつくった世界が、扉を開けたその瞬間に広がっていく。
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