ロイヤルの江頭氏と

東京にも進出した。1979年のことである。陣頭指揮を執ったのは、会長の鉦二氏。「長崎ちゃんぽん」の人気に、店の造りを模倣する店も出てきたが、味ではとてもリンガーハットには敵わなかったようだ。ただし、当時のリンガーハットは、まだ長崎や福岡で有名な店にすぎなかった。このリンガーハットを一つの記事が全国区にする。

「昭和54年（1979年）1月3日付けの新聞です。ロイヤル（現ロイヤルホールディングス）の創業者、江頭匡一氏ら3人の座談会があり、江頭氏が＜外食産業への新規参入が目立つなかで、これはと思う企業は＞と聞かれ、まっさきにリンガーハットを挙げてくださったんです。そのうえ将来の上場企業候補ナンバー1だとも。もちろん江頭氏と面識はありません。その後、お礼に伺ったのが最初の出会いです。

江頭氏がああいう風におっしゃっていただけたので、それ以降、大手都市銀行、大手証券会社が次々にやってくるようになりました。当社を取り巻く環境がかわったのは、まさにあの江頭氏の一言からでした」。

取引銀行からも部長が来るようになった。頭取からも一度会ってほしいと打診があった。老舗の料亭で席が設けられた。当時の米�M氏といえば、そんな料亭に出向いたことはなかった。ジャンバーを着て、ライトバンで店舗を巡回していた頃の話である。