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「ビジネスフードファン」代表 岩本留里子氏

世の中に「食(food)のファン(fun 好き)をたくさん作りたい!」。これが飲食業界に15年間携わってきた女性飲食コンサルタント岩本留里子氏の信条だ。これまで飲食業界で5回転職し、チェーン店やレストランの運営に携わってきた。中でも人材教育に注力し、約5000人の“飲食人”を輩出してきた実績をもつ。

プロフィール

1970年生まれ、長崎県出身。
大手ファストフード店に7年間務め、店長やサービスマネージャーを経験。その後は飲食業界で転職を重ね、業態開発、商品開発などを経験しながらトータルで15年間、飲食業界で働く。現在は女性の経営コンサルタント・講師(人材・接客・商品開発)として活躍するほか、幼児・小学生を対象にした食育レッスン「しょく感教室」や農業体験ツアーも開催。

リンク

しょく感教室http://aplt.jp/news/news_plus.html

農業体験ツアー(5月22日)http://ameblo.jp/foodfun/entry-10503937827.html

ビジネスフードファンHPhttp://hwm8.gyao.ne.jp/ru-foodfun/

岩本留里子氏
人を育てる喜び。お金では買えないやりがい。
ビジネスフードファン1
私は独立するまで5回(も?)転職しました。私が渡り歩いた企業はほとんどが飲食企業。大手ファストフード店や上場している飲食企業、経営コンサルティング企業など、トータルで15年間、飲食業界に携ってきました。一度だけ、飲食業界を離れたことがありましたが、やっぱり食に携わる仕事がしたいと思い、またすぐにこの業界に戻ってきました。
最初に働いたのはドーナッツを商材とした大手ファストフード店。当時は20代半ばでしたが、その頃から「いつか独立したい!」という夢を抱いていたので、若いうちから人を指導できる仕事を探していました。それが飲食業界に入ったきっかけです。
入社してからは、最初は現場を経験しましたが、やがて店長になり、念願のサービスマネージャーにまで昇格しました。スタッフ約200人ものサービス教育を仕切るポジションを任されました。
社内では定期的にサービスコンテストが開催されていたのですが、そういったコンテストで自分の教え子たちが見事に受賞していく様子を見るのがとても嬉しかった!「人を育てるのは楽しい」とその頃から強く感じ、その喜びが現在の私の仕事の原点にもなっています。
手を焼いたスタッフほど、受賞できた喜びもひとしお。緊張するとなかなか笑顔が出なくなるスタッフや負けず嫌いで不器用な子、あるいは男性マネージャーとの折り合いを良くするために一緒にメイク法を研究した女の子など(笑)…、たくさんのスタッフたちがそれぞれの方向に成長してくれました。
「私に教育してもらって良かった」と最後に言ってくれるスタッフもいて、「この仕事の充実感はお金では買えない!」と感じていました。
転職するたびに新しいことに挑戦する!
私は転職回数が多かった方ですが、今はそれでよかったのだと思っています。店舗の現場だけでなく、店長として部下を育てるポジションや、業態開発、新規出店、商品開発、コンサルティング…と飲食業界を取り巻くさまざまな仕事をひと通り経験することができたからこそ今があると思っています。
前述の大手ファストフード店に勤務後は、イタリアンレストランを展開する上場企業に就職しました。その時は新規事業立ち上げの部署にいたので、海外も含め19店舗の業態開発とオープニングに携わりました。毎月1〜2店舗を次々とオープンさせていくので、恐ろしく忙しかったです。
人材が十分に育たないうちに、次々とお店をオープンしなければならなかったりして…。久しぶりにオープニングを担当した店を訪れて、がっかりすることもありました。その頃から「出店も大事だけど、出店後の人材教育はもっと大事だ」と思うようになりました。いい人材が育たなければ、いい店にはならないからです。
他には、百貨店内の3坪弱の店で営業したこともありましたし、経営コンサルティング企業で営業も学びました。高級チョコレートの店舗で働いていた時は、派遣店長の仕組みやブランディングについても学びました。
同じ飲食業界の中であっても、業態やポジション、店舗規模、立地などが変わることで、自分の中にたくさんのノウハウを積み重ねることができたと思います。だから自分の中では同じことの繰り返しではなく、常に新しいことに挑戦していました。
「for me!」の前に「for you」
転職を通して、人と人との結びつきの大切さも学びました。
どこの会社に行っても自分にとって“良い人”と“悪い人”はいるものだと知ることができました。そしてすべての出会いが自分にとってプラスにはたらくことも学びました。相性の悪い人と何かあったとしても、「次はこうしよう!」とそこから何かを学べばいい。だから出会いには無駄がないのだと今は思っています。
また、飲食店のピーク時などは特に、「for me(わたしのためにやって!)」と主張するシーンが多いと思います。どうやったら周囲が自分に協力的になるのか――私も現場にいる時は、よくそんなことを考えていました。
でもそのためには最初に「for you(あなたのために)」を実行することが有効であると学びました。いまでは「この人といい仕事がしたい!」と感じたら、その人のために「何か手伝えることはないかな」と考えるようにしています。すると自然と自分のやりたいことを周囲が実現させてくれるのです。
飲食業界は毎日が同じことの繰り返し。でもそんな中で、お客様が「おいしい!」と目を輝かせてくれる瞬間が私は一番幸せだと思います。実は独立した今でも、私は週に何回かはお店に立っています。現場の苦楽をよく知っているので、現場からはもう離れられないですよね。
これからも飲食業界に長く携わりながら、もっと楽しく魅力的な業界にしていきたいと思います。中でも小さな飲食店をすくすく育てるのが今の私の目標。食育教育や農業体験のイベントなども積極的に企画して、飲食の楽しさを次世代まで伝えていきたいと思っています。